Don’t steal my posts. All posts on this blog are written by me.

House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS 戦争は人が作る…「なぜ戦争はよくないか Why War Is Never a Good Idea」

<<   作成日時 : 2013/06/18 23:31   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

目を閉じて、思い浮かべてごらん。戦争が何をしようとしているのかを…

なぜ戦争はよくないか
偕成社
アリス ウォーカー

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「なぜ戦争はよくないか Why War Is Never a Good Idea」
アリス・ウォーカー Alice Walker:文 ステファーノ・ヴィタール Stefano Vitale:絵
長田 弘:訳 (偕成社)

戦争は、なんでもできる。どんな国の言葉も話すことが出来る。
池のそばに暮らすカエルは、すぐそこに迫る雨の季節を感じてる。でも、何もかもを押しつぶしてゆく、戦争を運ぶ巨大なタイヤに、あっという間にぺちゃんこにされてしまう。
戦争は自分が今誰を襲おうとしているのか、わかろうとしない。
わら束の匂いをかぐロバと、わら束の山の上に腰掛ける少年は、夕食やデザートのことなんかのんきに考えてる。焼け焦げた車の残骸のような戦争が、今しも自分たちの頭の上に落ちかかってくることなど思いもしない。
戦争は数え切れないほどの目となって、地上と地中のあらゆる美しいものをじっとりと見つめてる。

画像

戦争は何処ででも目を光らせてる。でも、小さな赤ん坊を抱いて、子守唄を歌ながらおっぱいをあげる若い母親のことなど見ようともしない。母親と赤ん坊は、大地の色に溶け込む迷彩色の戦争が、丘を登ってゆっくりと近づいていることに気づいていない。そして、やがてヘドロのような戦争の汚泥に飲み込まれていく。
戦争はたくさん経験を積んでも少しも賢くならない。戦争が生まれるうんと前からある、美しくて古い遺跡も平気で壊していく。
澄んだ河、緑濃い木々、色とりどりの花。インコやカメやヒョウ、ヘビが生きる森。その上の空高い場所で、戦争は地表を覆いつくす灰色の死の雲になる。なにもかもを死滅させる雲に。
まるで巨大な墓のようになった廃墟。戦争がよだれをたらしながら、全ての生きとし生けるものを食べ尽くした痕。

空に照準が合わされる。そこから、ミサイルが地上に向かって雨のように降り注いでくる。村の真ん中に大きな真っ黒い穴がぽっかりと開き、そこから戦争があらゆるものをむしゃむしゃと貪る。戦争が食べ尽くした後に残るのは、大地に溜まったぬるぬるとした黒い水溜り。それはやがて地下水に染み出して、井戸水と混じりあう。
戦争はいやな臭いで、酷い味。でも、人の身体の中にいつのまにか入り込んでは、病気を蔓延させる。銃を抱えて這い蹲る兵士たちの魂を飲み込んで、戦争は、やがて死臭のするヘドロの怪物となる。そして、鼻をつまんで息を止める人々に挑みかかる。
満月の夜、井戸の中を覗いてごらん。もし戦争が正しいというのなら、いずれそこには戦争のしみ込んだ汚水が溢れてくるだろう。

“戦争が、姿をたくみに隠し、人々の平和な日々にしのびよる…そのおそろしさを伝えることが、子供たちを守るひとつの手立てになると信じています”−アリス・ウォーカー Alice Walker

自伝的要素の強い小説「カラーパープル The Color Purple」で、黒人女性作家として初めてピューリッツァー賞(フィクション部門)を獲得したアリス・ウォーカー Alice Walker。彼女は強固な信念を持つフェミニストとしても知られ、時にその著作の意義について批判の矢面に立たされることも少なくはない。特に、スピルバーグ監督によって映画化もされた「カラーパープル」では、社会の中にある人種差別・女性蔑視という差別構造を強調するあまり、登場人物のキャラクターや人間関係を類型化しすぎているというネガティヴな評価も根強いのだ。しかし彼女はこれまでの作家活動を通じ、人間…特に女性が潜在的に持つパワーと善性、可能性、次世代を担う子供たちの未来を信じ、守るという立場を貫いている。
「なぜ戦争はよくないか」は、2001年9月11日の同時多発テロに対してアメリカが行った報復攻撃がもたらした悲惨な結果を憂い、ウォーカーが子供たちに向けて発信した反戦のメッセージである。詩人でもあるウォーカーらしく、平易な言葉を選び、時にユーモラスな表現を交えながらも、心地よく編まれた韻律の中に怜悧な暗喩が込められた作品となった。人種の別なく、また文化や社会の別もなく、世界中の全ての子供たちとその母親たちに送られた、祈りにも似た絵本である。
戦争という概念を子供たちに具体的に伝えるため、ウォーカーは戦争を生き物のように表現する。戦争がいかに自然を破壊し、人間社会を破壊し、また人間の生命を脅かしていくのかを、戦車や戦闘機、あるいはミサイルという、戦争に関連のあるモノの姿を借りながら、読む者に想像させるのだ。
そして、読む者の“想像”という作業をより明確に導くのが、ステファーノ・ヴィタール Stefano Vitaleという稀有なイラストレーターの挿絵である。今作に関しては、むしろヴィタールの作画の方が、戦争のむごたらしさと恐怖を圧倒的な迫力で表現しているといってもいいかもしれない。
どこか東洋にある風景、あるいはアフリカ辺りの風景か、優美な描線に施された色とりどりの鮮やかな色彩は、西洋にはない伝統的な情景を映し出し、私たちの視覚を捕らえる。が、ウォーカーの言葉の通りに、やがてその色彩が戦争によって踏み荒らされ、戦禍の汚物でもって押し流され、色彩の中で暮す人も自然も一様に、戦争という怪物に呑み込まれていく。その様子を、もはや“挿絵”の域を超えた視覚を侵す魔力で描いているのだ。ヴィタール独自の挿絵の上に、さらにタイヤの写真や焼け焦げた紙片、釘といった素材を重ねる手法は、今作の特異さを強調しているだろう。

画像

また、圧巻なのは“戦争”そのものを描写した挿絵だ。絵の具をもりあげて、怪物のごとき形相の“戦争”を立体的に描いている。この化け物に目を凝らすと、銃を抱えた兵士たちが、幾人も汚物の中でもがいているのに気づく。必死に前進しようとするも、もはや汚泥に同化してしまって為す術もないのだ。戦争は、行く先々で市民に被害を与えるばかりではなく、その中で戦う兵士たちの魂をも貪り食っているのである。だから戦争が通った後には、もはや骸骨のごとき廃墟しか残らない。

ヴィタールの挿絵は、ウォーカーの言葉を忠実に画像に変換しながら、さらなる圧倒的イマジネーションを加え、読む者に戦争の原罪を突き付ける。そこで、私たちは気づかねばならない。“人間を苦しめ、自然を破壊する戦争は、他の誰でもない、私たち人間がこの世に放ってしまった怪物である”ということをだ。ウォーカーがあえて言葉にしなかった“戦争によって苦しめられるのも人間なら、そんな戦争を始めてしまうのもまた人間である”という冷厳とした事実は、私たち親が子供に伝えなければならないことだろう。


画像

(画像はヴィタールが提供したパウロ・コェーリョ著「The Alchemist」表紙イラスト)

ステファーノ・ヴィタール Stefano Vitale

1958年、イタリアはパドヴァ生まれ。ヴェローナの大学を卒業後、経済学を学ぶため、奨学金を得てロサンジェルスのUCLAに入学した。昔から歩くことが大好きなヴィタールだったが、ほどなくロスでは車なしでは生活できないことに気づく。途方にくれた彼は、カリフォルニアの穏やかな気候に憧れてUSCに転校し、経済学と社会学での学士号を取得した。しかし、芸術こそ、自分のアイデアを自由に表現できる場であると考えたヴィタールは、カリフォルニア州パサディナにあるArt Center College of Designに入り、一つ目の女性画で名前を知られることになる。
カリフォルニアで過ごした時期、彼は頻繁にメキシコや中央アメリカを訪問する。そこで触れた土着の伝統芸術は、今日の彼の作品に顕著な影響を与えた。Art Center College of Designを卒業後、仕事を求めてニューヨークに移る。15年間ニューヨークに滞在し、何百もの地下鉄に乗り、数え切れないほどの新聞や雑誌のイラスト、本の装丁、絵本の挿絵を手がけ、広告媒体のデザイナーを務め、数々の展覧会にも作品を出品するなど大変充実した日々を送った。だが、彼は2人の子供と妻を連れ、生まれ故郷のイタリアに戻ることを決意。最近ではヴェネチアに暮しているという。
世界中の伝統絵画を研究し、独自の画風を構築していった人らしく、そのイラストは、時に素朴でまた時にはピカソを思わせる怜悧な抽象性を持つ。現代性と大昔の壁画のごとき伝統性が同居する、摩訶不思議な絵世界が身上である。

●作品履歴

・絵本挿絵
『The Story of Easter』by Aileen Lucia
『When the Wind Stops』by Charlotte Zolotow
『There Is a Flower at the Tip of My Nose Smelling Me』by Alice Walker
『Sleepy Book』by Charlotte Zolotow
『If You Listen』by Charlotte Zolotow
『Pond Circle』by Betsy Franco
『Too Much Talk』by Angela Shelf Medearis
『The Folks in the Valley: A Pennsylvania Dutch ABC』by Jim Aylesworth
『Come and See: A Christmas Story』by Monica Mayper
『Magic Words』by Edward Field
「ながれ星がはこんできたおはなし」ヴァリスカ・グレゴリー作(偕成社)
『The Rose's Smile: Farizad of the Arabian Nights』by David Kherdian
『Can You Guess My Name?: Traditional Tales Around the World』by Judy Sierra
『Christmas Lullaby』by Nancy Jewell
『The Girl Who Helped Thunder and Other Native American Folktales』by James (RTL) Bruchac、Joseph (RTL) Bruchac
『Nursery Tales Around the World』by Judy Sierra
『Sailor Song』by Nancy Jewell
『There Was an Old Man Who Painted the Sky』by Teri Sloat

・新聞、雑誌イラスト
The New York Times Magazine, Child, Time, Business Week, Parenting, Travel + Leisure, Golf, National Geographic, Esquire, Reader’s Digest, Town & Country, Discover, Mens Journal, Forbes, San Francisco Focus, Bon Appetit, Latina, Condè Nast Traveler, Health, Bloomberg, Boston Globe, Metropolitan Home, Arizona Highways, Yoga Journal, New Woman, Ms., New York Magazine, Milwaukee Magazine, Sports Illustrated, Premiere, Wall Street Journal, Entertainment Weekly, Playboy, Los Angeles Times, Newsweek, Chicago Tribune, The Washington Post

・広告デザイン
Mercedes Benz, Sony, Absolut Vodka, Marlboro, University of Texas Performing Arts Center, Oregon Music Festival, Marriott Hotels, Princess Cruises, New York University, Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Kraft, Heifer International, Robin Hood Foundation, Flomax, Xerox, United Airlines

・ワインのラベルのデザインやパッケージのデザイン
Tenuta Donnafugata, Paraiso Vineyards, Saint Croix Vineyards, GU Institute for Reproductive Health, Allegro Coffee Company

・ビデオ作品
『The Creation』
ナレーション:エイミー・グラント
音楽:ベラ・フレック
制作:Rabbit Ears Productions

・展覧会
RUNAWAY COOKIES
Illustrations by Stefano Vitale

Magazzino 1
Exhibition and Open Studios

Figure Poetiche
Traveling exhibition curated by Giannino Stoppani
Promoted by the Bologna Childrens Book Fair

The Society of Illustrators "Original Art" exhibition
Museum of American Illustration

The New York Public Library List
New York Public Library

"Not Just For Children"
Museum of Modern Art

"There is a Flower on the Tip of My Nose"
The Childrens Museum of Art

The New York Public Library List
New York Public Library

"Immagini a Colori"
Gallery Etaj

"Arte Altrove: 15 years of Stefano Vitale paintings, etchings and illustrations"
Galleria Civica d’Arte Contemporanea

"Stefano Vitale"
Robert Canaga Gallery

"America Illustrata: Contemporary American Illustration"
The Art Directors Club
Galleria Comunale d’Arte Moderna e Contemporanea
Centro Comunale d’Arte e Cultura
Galleria Civica d’Arte Contemporanea
Schloss Maretsch

"Down under and Over there: Children’s Book Illustration from Australia and America"
Cedar Rapids Museum of Art

"Folktales from Around the World: Illustrations from Children’s Books"
Delaware Art Museum Wilmington

The New York Public Library List
New York Public Library

"Myth, Magic and Mystery: 100 years of American Children’s Book Illustration"
The Chrysler Museum of Art
Brooks Museum of Art

"Society of Illustrators: The Original Art Show"
Museum of American Illustration

Pier Show IV
Brooklyn Waterfront Artist Coalition

McGraw Hill Design Competition Show

"Stefano Vitale"
Walker, Ursitti, MacGuiness Gallery

"Stefano Vitale and David Hoeft at Art Center"
Art Center College of Design

【以上、公式サイトより抜粋、編集】


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
戦争は人が作る…「なぜ戦争はよくないか Why War Is Never a Good Idea」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる