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zoom RSS 「マーズ・アタック!Mars Attacks!」ーくたばれ人類!…シルヴィア以外は♪

<<   作成日時 : 2015/11/12 19:05   >>

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落ちこぼれは人類を救う。

「マース・アタック! Mars Attacks!」(1996年)
監督:ティム・バートン
製作:ティム・バートン&ラリー・フランコ
脚本:ジョナサン・ジェムズ
撮影:ピーター・サシツキー
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジャック・ニコルソン(ジェームズ・デイル、アメリカ大統領、アート・ランド)
グレン・クロース(ファースト・レディ、マーシャ・デイル)
アネット・ベニング(バーバラ・ランド)
ピアース・ブロスナン(ドナルド・ケスラー博士)
ダニー・デヴィート(ギャンブラー)
マーティン・ショート(ジェリー・ロス報道官)
サラ・ジェシカ・パーカー(ナタリー・レイク)
マイケル・J・フォックス(ジェイソン・ストーン)
ロッド・スタイガー(デッカー将軍)
トム・ジョーンズ(トム・ジョーンズ)
ジム・ブラウン(バイロン・ウィリアムズ)
ルーカス・ハース(リッチー・ノリス)
ナタリー・ポートマン(タフィー・デイル)
パム・グリアー(ルイーズ・ウィリアムス)
リサ・マリー(火星人の女)
シルヴィア・シドニー(フローレンス、リッチー・ノリスの祖母)
ジャック・ブラック(ビリー・グレン・ノリス)
ポール・ウィンフィールド(ケイシー将軍)
レイ・J(セドリック・ノリス)
ブランドン・ハモンド(ネヴィル・ウィリアムズ)
イエジー・スコリモウスキ(ジーグラー博士)
ジャニス・リヴェラ(シンディ、バイロンの同僚)
バーベット・シュローダー(モーリス、フランス大統領)

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地球の上空に、突如空飛ぶ円盤UFOの大群が飛来する。まるで灰皿を裏返しにしたような、ショボイUFOには火星人が乗り込んでおり、彼らはやがて地球に向かってメッセージを発してくる。巨大な脳みそ、ひょろりとした緑色の身体、飛び出た目玉…およそ不気味としか言い様のない姿であるが、相当の科学力を有している連中であることは明白。優柔不断なアメリカ大統領デイルは、ケスラー博士の主張を受け、まずは友好的な交流を図ることにする。そして、テキサスの砂漠に火星からの探査船第一号を迎えることを決定した。過激な鷹派のデッカー将軍を差し置き、穏健派かつミーハーなケイシー将軍が、火星人とのファースト・コンタクトを試みる。花形テレビ・レポーターであるナタリーやジェイソンら、全米からテレビ局のチームがテキサスに集結。宇宙人と地球人の遭遇という歴史的な瞬間を、はるばるベガスから駆けつけたバーバラはじめ、現場に大勢集まってきた野次馬とテレビ中継を通じて世界中の人々が、固唾を呑んで見守っていた。ところが、テキサスの地に降り立った火星人は、不愉快なうめき声を発すると、いきなり光線銃でケイシー将軍の肉体を焼き尽くしてしまう。皆が呆然とする中、火星人は集まってきた地球人に向けて、無差別に攻撃を仕掛けてきた。テキサスの砂漠は、阿鼻叫喚の地獄絵図に早変わり。あっという間に焼け野原となってしまった。これをきっかけとして、火星人は地球への野蛮な侵略を始めた。いくら地球人が友好的に接しようとしても、火星人は全く聞く耳を持たない。無慈悲にも目に映るもの全てを即座に焼き尽くしてしまう。アメリカだけではなく、侵略の手は瞬く間に世界中に広がっていった。このままでは人類は滅亡を免れない。果たして人類の生き残る道はあるのか?!


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正直に白状すると、ティム・バートン監督のバラエティ豊かなフィルモグラフィーの中で、おそらく私が一番愛している作品である。かのオーソン・ウェルズがラジオ番組でやらかした、アメリカ史上最も有名なヤラセ放送“火星人襲来”の元ネタとなった、SF小説の古典的名作「宇宙戦争 The War of the Worlds」(H・G・ウェルズ著)の新解釈パロディ満載ギークGeek万歳映画である。

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ストーリーは、原作「宇宙戦争」の流れをほぼ忠実に踏襲。さすがにタコ型火星人は出てこないが、今作の火星人の造形も、“気色悪い”と“可愛い”の中間をゆく不可思議さだ。また、いつの時代の設定なのかよくわからない衣装や小道具、美術等が構築する、40年代から50年代に流行ったコミックスの絵柄のような、サイケでカラフル、ちょいビザールな世界観が“バートン調”で素晴らしい。
どこまでもクソ意地の悪い、他の生き物をぶち殺すことにした興味がない、心底冷酷な火星人たちが突如地球に来襲し、破壊と殺戮の限りを尽くすのだ。“世界の警察”たる超大国アメリカの軍事力を総動員しても、科学力では圧倒的に勝る火星人の暴虐を止めることは出来ない。このまま、為す術もなく人類滅亡のときを迎えるかと思われた瞬間、意外なところから火星人の致命的弱点が見つかる、という流れだ。もちろん今作はコメディーなので、その“オチ”もかなりアホくさいのだが、却って新鮮にしてケッサク。
また、70年代に大流行したパニック映画ものの伝統も引き継ぎ、社会の中の様々な立場にいる人々を登場させ、彼らが共通して経験する災難に対し、どのような行動をとり、またどのような運命を辿ったのか、同時進行で複数のエピソードを繋いで描いている。群像劇としての面白さもなかなかのもの。登場するそれぞれの人物のキャラクターは、いわゆる“類型”の域を出ないものであるが、それを演じる俳優達自身のアクの強さ、あるいは個性や演技力によって、巧みに多彩な面白さに転化されていると思う。そのため、豪華絢爛なキャスト陣が惜しげもなく“殺され”ていく(笑)。

今作のアナーキーかつ挑戦的な部分は、この天災のごとき悲劇の中でたくましくも生き残っていくのが、普段は社会の中で虐げられている人々だということ。こいつは素敵だ。平時なら、彼らの上に立って彼らをこき使い、思い通りに動かしてゆく“支配する側の人間”が、面白いように火星人にぶち殺されていく。不謹慎かもしれないが、普段社会生活の中で鬱屈した思いを抱える、私達のような“支配される側の人間”にとっては、支配者層が考え付く限りおバカな方法で死んでいく姿を見るのは、格好のカタルシスなのだ。そう、この映画は、“支配者層対被支配者層”の闘いの構図を描いているとも考えられる。
どこだったか忘れたが、地球に襲来する火星人は旧共産圏の国々、もしくはテロ集団を象徴し、地球人…つまりアメリカ側は資本主義国家、あるいはテロに対抗する国家を象徴しているのではないか、というレビューを読んだことがある。んー、どのような深読みをしようが自由ではあるけれど、そこまでの政治的プロパガンダはこの映画にはないと思うぞ(笑)。バートン監督としては、自らもそうである“オタク”という名のマイノリティーと、それを差別しようとするマジョリティーを対立させ、日ごろの鬱憤を晴らすために、火星人の手を借りてマジョリティー連中をぶっ殺しているに過ぎないだろう。
それによく考えてみれば、悪辣きわまる火星人とて、おそらく普段は親や学校の先生といった“支配者”に頭を押さえつけられている、“子供達”のメタファーであるのだろう。それが証拠に、やってることは凶悪だが実に単純明快。気に入らないものは全てぶち壊す、ただそれだけ(笑)。頑是無い子供が駄々をこねて大暴れしている様子とそっくりだ。そうか、だからかなりグロテスクなことをやっている(捕まえた女性レポーターとチワワ犬の首と胴体を挿げ替えるとか・笑)火星人も、なんとなく憎めない風に見えるのか。確かに彼らのやっていることは、実に子供的な発想に基づいている。バートン監督にとっては、“火星人”も遠い仲間であるのだな(笑)。

人類を守り、地球を救うはずの支配者層がことごとく消し去られ、最後に火星人を撃退したのは、いわゆる“落ちこぼれ”と呼ばれる人々であった。トレーラー暮らしのプアホワイト一家という負け組の中でも更にできそこないの次男坊、そのボケかけたおばあちゃん、アメリカ大統領の娘とは思えぬ程の、無気力かつブスくれたティーンの少女、元ボクシングのチャンピオンであったにもかかわらず、身を持ち崩して家族と離れ離れになった男、ラスベガスの億万長者成金の妻でありながら、アルコール依存症から抜け出せずにカルト宗教に嵌るヒステリー中年女、まだ未練の残る夫と別れ、バスの運転手として女手一つで2人の息子を育てる肝っ玉母ちゃん、…そしてベガスのアイドル、トム・ジョーンズだ(笑)。これほど徹底的に権力主義、あるいは資本主義の構造を否定し、“持たざる”弱い立場の者達を声高らかに称えた映画もないだろう。今作は、本当の意味で“ヒューマンな”作品なのかもしれない。だからこそ、いつ観ても私は最後に爽快な気分になれるのだ。

おお、大事なことを忘れていた。世界中のgeek達の父と位置づけても差し支えないティム・バートン監督の作品には、しかし昨今、錚々たる俳優達が大挙して出演する傾向がある。この、大金をかけて大ふざけをやらかしたといっていい作品にすら、びっくりするような面子がそろった。ジャック・ニコルソン、グレン・クロース、ピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックスあたりはまあ、大抵の方は気づかれるだろうから省くが、個人的に狂喜したのは、リッチーのおばあちゃんを演じた往年の名女優シルヴィア・シドニー Sylvia Sidney、フランス大統領でカメオ出演したバーベット・シュローダー Barbet Schroeder監督、ジーグラー博士としてやっぱりちらっと顔を見せてくれた、伝説的な映画監督イエジー・スコリモウスキ Jerzy Skolimowskiだ。余談だが、スコリモウスキ監督は俳優としても数々の作品に精力的に出演しており、クローネンバーグ監督の「イースタン・プロミス Eastern Promises」ではヒロインの頑固オヤジ役を名演。実に良い味を出されていた。あの「アベンジャーズ The Avengers」にもゲスト出演しているんだぜ(笑)。気になる人は各自、調べてみられよ。

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中でもシルヴィア・シドニー Sylvia Sidney(1999年に癌のため死去)は、私にとっては密やかな“我が心の名女優”であり、バートン監督が再び彼女を起用してくれたことに心から感謝している次第。そのちょっと日本人的なイメージのせいもあるのか、シドニーは私の大好きな女優さんの一人である。
古くはフリッツ・ラング Fritz Lang監督の「暗黒街の弾痕 You Only Live Once」(ヘンリー・フォンダと共演)、一般的にはあまり高い評価は得ていないものの、私自身は大変気に入っている舞台劇の映画化「デッド・エンド Dead End」(ウィリアム・ワイラー William Wyler監督、ハンフリー・ボガード、ジョエル・マクリー共演)等で、“薄幸の女”的なヒロインを演じて有名になった。丸顔のキュートな顔立ちで、清楚かつ健気な雰囲気の中でも、暗く翳りを帯びたまなざしが印象的な女性。もっとも、彼女が女優として頭角を現した時代は、いわゆる“ヴァンプ女優”−サスペンス映画の中でヒーローを翻弄する、妖しくも美しい悪女を演じる女優−が大流行であったことから、彼女も昔の出演作品の中ではヴァンプ的なキャラクターを演じさせられていたが、あまりしっくりくる演技だとは思わなかった。

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キャリアのスタートはブロードウェイで、元々は演技畑の人だったが、70年代及び80年代は映画のみならずテレビ・シリーズにも頻繁に出演、亡くなる直前まで女優として旺盛に活躍した。ティム・バートン監督の作品には、この「マーズ・アタック!」の前にも「ビートルジュース Beetlejuice」に出演し、強烈なキャラクター(常にタバコを欠かさず、煙をもくもくと吐いているジュノー役)に扮している。「マーズ・アタック!」では、彼女が若い頃によく演じていたヒロインそのままの、おぼこい、天然気味のおばあちゃんを実に可愛らしく好演。撮影時には、老齢のため車椅子でなければ移動できないほど衰弱していたらしいが、スクリーンではそんな様子は微塵も見せず、エブリタイム・マイペースっぷりで映画のオアシス的な存在になっていた。


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