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zoom RSS 「ドワーフじいさんのいえづくり」―青山 邦彦

<<   作成日時 : 2012/06/25 00:12   >>

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作り上げたのは、“みんなのための家”だった。

ドワーフじいさんのいえづくり (フレーベル館の秀作えほん)
フレーベル館
青山 邦彦

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「ドワーフじいさんのいえづくり」
文と絵:青山邦彦  (フレーベル館刊行)

ある森に、真っ白で長い髭をたくわえた、気難しやのドワーフじいさんが住んでいました。ドワーフじいさんは物づくりがとても上手。狭くて暗いほら穴暮らしが嫌になり、見晴台のある高い塔のような家を新しく建てることにしました。
さて、キャンバスに新しい家の設計図を掲げ、ドワーフじいさんは意気揚々と家作りを始めました。しかしその材木の重いこと!小柄なドワーフじいさんには、長くて大きな材木を運ぶことすら叶いません。そこへ通りかかったクマは、自分の部屋も作ってくれることを条件に、家作りを手伝うことを申し出ました。クマの力を借りなければ家は出来そうもないでしょう。ドワーフじいさんは渋々承知することにしました。家の土台はできたのですが、高い場所に重い材木を運び上げねばなりません。でも体の大きなクマには無理。途方に暮れていると、サルたちがやってきました。彼らは高いところならお手のもの。結局サルたちも、ドワーフじいさんの新しい家に専用の部屋を作ることを条件に、家作りを手伝うことになりました。ドワーフじいさんは、設計図に新たにクマとサルの部屋も描き足したのですが、クマは大きな部屋を、サルは外の木の枝から入れる部屋を希望します。せっかく美しくできあがっていた設計図は、クマの部屋とサルの部屋の分が外にはみ出し、随分不恰好になってしまいました。
今度はイノシシが興味津々で家作りに加わります。お手伝いをする代わりに、ドワーフじいさんの新しい家に部屋を作ってもらうのです。リスとキツツキもやってきました。
「まあ楽しそう!私たちも手伝うから部屋を作ってよ!」
リスとキツツキは、ドワーフじいさんの返事も待たずに勝手に家作りを手伝い始めてしまいました。さあ大変です。ドワーフじいさんの家作りの話は森中に広まり、動物たちが我も我もと集まってきました。元々ドワーフじいさんだけの家になるはずだった設計図には、クマやらサルやらイノシシやらリスやらキツツキやらが、てんでに自分たちの部屋を描き足しています。もうこれ以上、動物たちの部屋を作れそうにありません。たまらず、ドワーフじいさんがみんなを追い払おうとした瞬間…。ドワーフじいさんは足を踏み外し、地面に真っ逆さまに落ちていきました。
ベッドに寝たきりになってしまったドワーフじいさんは、仕方なく森の動物たちみんなに家作りを手伝ってもらうことにしました。森中のあらゆる動物たちがドワーフじいさんの枕元にやってきては、口々に部屋の希望を言い募ります。設計図は、もうなにがなんだかわからないぐらいぐちゃぐちゃになってしまいました。2階に作るはずだったドワーフじいさん専用の部屋も、作れそうにありません。ドワーフじいさんはあこがれだった見晴台をあきらめ、自分の部屋に作りかえることにしたのです。でも新しい家は、みんなの協力のおかげで着々と出来上がっていきました。
そして、森のみんなの家はついに完成!ドワーフじいさんの描いた最初の設計図とは似ても似つかないけれど、小さな塔や部屋や窓がたくさん外に張り出し、森の木々から直接家の中に入ることができる素敵な仕掛けのついた楽しい家です。みんな大喜びです。しかしドワーフじいさんだけは不機嫌でした。枕元に完成予定の家のミニチュアを飾り、ひとりごちます。「わしだけの、高い見晴台のある家のはずだったのに…」
新しい家での、動物たちとの暮らしが始まりました。怪我をして歩けないドワーフじいさんを気遣い、みんなは食べ物を用意したり、外出するドワーフじいさんを助けたりしました。でもドワーフじいさんは“ありがとう”も言わずに不機嫌なまま。それにしても、家の中はありとあらゆる動物たちでごったがえし、毎日パーティーのようなにぎやかさです。みんなとても楽しそう。ドワーフじいさんも、この騒々しい生活が次第に満更でもなくなってきます。
ドワーフじいさんは、怪我が癒えると自分の部屋に閉じこもるようになりました。なんと、新しい図面をせっせと描いているではありませんか。
「やっぱりこの家が気に入らないの?」
森のみんなは恐る恐るドワーフじいさんに尋ねてみました。するとドワーフじいさんは、みんなが楽しめる立派な見晴台を作ろうと考えているところだったのです。
「もっともっと楽しい家にしたくなったのさ!」
今日もドワーフじいさんは図面と首っ引き。みんはは新しい見晴台の完成を楽しみにしています。


〜ドワーフ(dwarf)とは〜

ドワーフ(dwarf)とは伝説上の種族であり、大抵人間より小さな体で長い髭をたくわえた容貌であるとされる。男性、女性の別なく髭を生やしている場合もある。また、身体は小柄だが非常に屈強であり大酒飲み、かつ手先が器用で、鍛冶、石工などの仕事において優れた技術を発揮する匠でもある。そのことから、鉄製の斧などを武器とする頑強な戦士として戦うことも。性格は頑固で偏屈、無愛想で神秘的事象や宗教などにはあまり関心がない。

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(画像は映画「ロード・オブ・ザ・リング」からドワーフのギムリ)

民間伝承の中で登場する彼らは妖精で、たまに奇怪な風貌を持ち、多分にいたずら好きな性格である。グリム童話の中の「白雪姫」に登場する7人の小人は本来“ドワーフ”と訳されるが、彼らは職人的な仕事に従事しており、まさに典型的なドワーフである。お話によっては、単に小人と称されることもある。

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(画像は映画「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」からドワーフのトランプキン)

映画「フリークス」や「エレファントマン」で描かれたように、畸形の人々がサーカスで当たり前のように見世物とされていた時代、成人しても子供のように短躯短肢なままの人をドワーフと呼ぶことがあった。現在では蔑称とみなされている。



せっかく、以前映画「ナルニア国物語」について触れたのですから、その中に登場するキャラクターに関連した絵本もご紹介しましょう。元建築設計士という珍しい肩書きを持つ絵本作家、イラストレーターの青山邦彦氏の作品ですね。氏のプロフィールについてはこちらからどうぞ

そもそも、父豆と私が青山氏の名前を知ったのもこの作品です。全国学校図書館協議会指定図書、日本図書館協会選定図書、厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財、厚生労働省社会保障審議会推薦図書…等々、舌をかみそうなほど長い長い称号に飾られているこの作品は、建築設計という特殊なスキルを持つ青山氏ならではの創意工夫に満ちています。

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絵柄そのものは、どちらかというと外国の絵本の挿絵のような印象も受けますね。デッサン力の賜物か、動物や人物(ドワーフじいさん)も非常にリアルに描かれていて躍動感に溢れます。それでいてあまり堅苦しい雰囲気がないのは、多分にその淡く優しい色使いと、動物たちの表情の愛くるしさによるのでしょう。リアルなのにキュート。ひとつの挿絵に描きこまれた膨大な数の動物たちの表情は、ひとつとして同じものはなく、皆生き生きと輝いています。嬉々としてドワーフじいさんの家作りに参加し、それぞれの特性を生かして建築作業に貢献する様子もじっくり見ていただきたい。青山氏ならではのディテールの細やかさは、これだけ多くの動物を登場させてもいささかも揺るがず、むしろどのページも何度見直しても新たな発見があるほどのボリュームです。一枚の設計図から、実に多彩な3次元的作業を経て家が出来上がっていく過程は、お子さんと共に親もまた大変な勉強になる部分でしょうね。それに動物たちは、人間のように精巧な機械を使うわけではありません。森の中にあるものを創意工夫して作り変え、材木を引き上げる滑車を作ったり、材料を運ぶロープを渡したり。そういった建築作業におけるからくり的な面白さもたくさんあるのですね。また、それぞれが得意な分野で仕事を分担したりする様は、共同作業における協力の重要性も感じさせます。

その中でただ1人、最初から最後までブスッとした不機嫌な表情を変えないのがドワーフじいさんですね。前述しましたように、ドワーフという種族は大抵の場合、手先の器用な職人として描かれます。この絵本に登場するドワーフじいさんも、トールキンやルイスが神話を元にまとめたドワーフの特徴をきちんと踏襲していますね。偏屈で頑固者のドワーフじいさんは陰気臭いほら穴暮らしが嫌になり、日の光を存分に浴びることが出来る高い塔のような家を建てようと、緻密な設計図と、精巧なモデルを作ります。本当なら全部1人で仕上げて、1人だけで家を占領したいところだったのでしょうが、現実には1人だけで家を建てることなんて不可能ですよね。最初は嫌々森の仲間たちと協力し合っていたのに、いざ皆と一緒に新しい家に住み始めると、それが煩わしいどころかとても楽しいことに気づくわけです。神話でも民間伝承でも、ドワーフは群れを作らず孤独を好むという性格付けが為されていますが、生き物はすべからく1人で生きることはできません。1人ぼっちで鬱々とほら穴にすんでいた人嫌いのドワーフじいさんも、今ようやく孤独の虚しさを知ったのでしょう。新たな見晴台増築計画に燃えるドワーフじいさんの表情も、動物たちと同じく輝いて見えます。

〜父豆からも一言〜

子どもによって関心のあるものは色々です。我が家の長男の場合、豆酢ママの指導もあって、お絵かきや工作などが好きです。厚紙(ヨーグルトの下に敷いてあるもの等)や廃棄寸前のプラスチック製品(ヨーグルトやプリンの容器やペットボトル等)は工作の立派な材料になるので、こまめに取っておく。すると長男がこまめに工作をする。豆酢ママによると、一日一回は工作をしないと気が済まないらしい。日曜日など、朝ごはんを終えたらいきなり「ねー、おとーさーん、工作はー?」と来る。なるほど、工作に休日などないらしい……。
今までは、「つみきでとんとん」のような創作系の絵本をよく読んでやっていましたが、小学生ともなるとこれではそろそろ物足りない。かといって、工作、創作、造形などがテーマになった絵本というのが、それほどたくさんはない。というより、たくさんあるのかもしれないが、長男の興味を引きそうなものがなかなか見つからない……。などと思っていると、本書が見つかりました。
求めていたのはまさにこのような本で、著者紹介を見て深く納得。著者の青山氏は建築の専門家でした。
気むずかしやのドワーフじいさんが新しい家を作ろうとしています。最初のページからいきなり魅力的です。小刀を持ったドワーフじいさんが新居の模型を作っています。その後ろには設計図。我が家の長男はこの段階でノックアウト(笑)。もうドワーフじいさんと同じことがしたくてたまりません。次のページをめくるとクマが出てくるではないですか。手伝うから自分の部屋も作ってください、と……。お次はサル、イノシシ、リス、キツツキと次から次へと動物たちが出てきて、楽しそうに家作りを始めると、もう長男の興奮は最高潮に達します。「僕もやるー!!」
うん、いやね、お父さんもこういうのはまんざら嫌いじゃなくって、実は若い頃に模型の帆船なんかを作りたかったんだが、飾る場所もないしそもそもそんなものを買うお金がなかったので、そのままうやむやになっているんだが…。もう少しお前が大きくなったら一緒に作ろうか……。そんな気になります(笑)。

モノ造り日本の行く末が危ぶまれて久しい今日、“作る”ということの意味をもう一度考え直してみたいと思います。もちろん、株の売買やマネーゲームによる利益の追求も立派な一つの人生でしょう。しかし、たとえどんなに不細工でもいい、ノリははみ出し、今にも倒れそうなバランスの悪い模型でもいい、“自分で作った!この手で作った!”という達成感は何ものにも代えがたいと思っています。
日本人はそもそも作ることが大好きなんだ。日本の家屋は本来木と土で作られていて、火事や地震に弱いのも、もしかしたら“わざと”なのではないかとさえ私は思っています。もちろん、中途半端に丈夫なものより、壊れるならペシャっと潰れてしまうようなものの方が安全だという生活の知恵はあったでしょう。しかし私はときどき、日本人は心の奥底で“壊れたらまた作ればエエじゃないか”という楽天的な考え方に基づいた、創作精神、創造精神に満ちていたのではなかろうか、と考えます。おそらくそれは農業でも工業でも同じ原理でしょう。漁業という分野でさえ、もしかしたら、網や捕獲道具を作ることの方が実際に魚を取ることより楽しいのかもしれません。事実、私自身も子どもの頃、魚を釣るのが好きなのか、仕掛けを作るのが好きなのか、自分でもよくわからない時期があったほど、やたら複雑な仕掛けばかり作っていました。現実には、複雑な仕掛けよりシンプルな仕掛けの方が釣果がよかったりするんですが……。

本書を読んで、お子さんと一緒に工作なんていかがですか? あるいは図面を引くだけでもいい。家の絵を描くのでもいい。ここに窓をつけて、僕の部屋はここ、台所はここ、なんて言いながら。昔に比べると、プラスチック製の容器などが簡単に手に入りますので、こんなサイズの容器がほしいんだよなぁなどといいながら、家族で買い物に行くのも楽しいでしょう。
2歳くらいから“クマさんは? おサルさんはどこにいるかな?”などと動物の名前当てっこ遊びを始めて、3〜4歳くらいからは内容の読み聞かせもできると思いますが、この絵本自体は小学校低学年くらいまで楽しめますね。我が家でも今しばらくは、週に何回かはこの絵本を読むことになりそうです。こんな楽しい絵本を作ってくれた、青山邦彦という作家の名前は父豆の頭に深く焼き付けられたのでした。


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ドワーフといえば「ロード・オブ・ザ・リング」。その前日譚である映画「ホビット」の完成が待ち遠しいですね。本編がお目見えするのはまだ少し先の話です。

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