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zoom RSS “家”は生きている―青山邦彦

<<   作成日時 : 2012/06/16 17:30   >>

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家が生きている…といっても、ホラー映画ではございませんで(笑)。個性豊かな絵本作家、青山邦彦氏のご紹介です。


“青山さんは緻密であると同時に、描くことに夢を見る夢想家でもある”―鈴木博之

青山邦彦

1965年6月15日生まれ
東京出身

高校生時代から漫画家に憧れて、各賞に応募する毎日であった。1989年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業後、1991年に同大学院修士課程を修了。大学在学中に出会った“建築パース”―設計図面をもとに、ある一点を起点に放射状に線を延ばして描いていく建築立面図―の手法に魅了され、対象物を出来る限り緻密に描くリアル・イラストレーションに傾倒していくようになる。
1991年、建築設計事務所アトリエ・モビルに入社。1993年、九州のリゾートホテル建設の現場監理をしていた際、たわむれに描き始めた工事現場の写生が製本され、1冊の本にまとめられる。また、同年、ある建築コンペで入選を果たした経緯から、建築家ではなく絵本作家の道を志すようになった。1995年ついに独立、絵本を描きはじめる。同年「ピエロのまち」で“講談社絵本新人賞” のコンテストに応募し、第17回講談社絵本新人賞佳作を受賞する。ところが、佳作止まりでは実際に出版することはできない。そこで次作「こびとのまち」を完成させ、他の出版社に売り込みをかけたところ、その出版社が主催するコンテストに応募するよう勧められる。しかし、結果はまたしても佳作。デビューをあきらめかけた頃、審査員のひとりであった作家、寮美千子の勧めでパロル舎を紹介され、めでたく絵本作家デビューと相成ったのである。


●おもな作品

・パロル舎刊行
「こびとのまち」
「おんがくのまち」
「ねじまき鳩がとぶ」

・講談社刊行
「サバンナのとけい」

・彰国社刊行
「永遠の空間 描かれた世界遺産」(鈴木博之:文 青山邦彦:絵)

・岩波書店刊行
「ぼくたちのまちづくり 全4冊」(福川裕一氏:文 青山邦彦:絵との共著)

・フレーベル館刊行
「ドワーフじいさんのいえづくり」
「いたずらゴブリンのしろ」

・PHP研究所刊行
「おおきなやかたのものがたり」

・あかね書房刊行
「むしのおんがくがっこう」


●受賞歴

1995年:「ピエロのまち」で第17回講談社絵本新人賞佳作受賞
2000年:「ぼくたちのまちづくり」で、日本都市計画学会石川賞受賞
2002年:イタリア・ボローニャ国際絵本原画展ノンフィクション部門入選
2005年:第20 回ブラティスラバ世界絵本原画展(BIB)出展


実は、我が家で初めて読まれた青山氏の作品は、フレーベル館から出されている「ドワーフじいさんのいえづくり」。父豆が偶然書店で見かけて、その精緻極まる建物の描写と、奥行きのある3次元的空間構成、また、ひとつの挿絵の中に描きこまれた半端ではない情報量に衝撃を受けたのがなれ初めです。

画像

その後、彼の描いた作品を買い揃えていきましたが、どのような題材であっても、細密画とも呼びたい緻密な挿絵の美しさと、その中で大胆に躍動する表情豊かな登場人物たちの個性は明確であります。やはり、元建築家だというバックグラウンドが、他の絵本作家とは一線を画す魅力をその作品に生み出すのでしょう。彼の作品には、いつも“建物”が中心に据えられています。建物は単に人間を入れる入れ物ではなく、その内部で生活する人々の人生を吸収して、やがてそれ自体が命を宿すようになった有機体であるとの位置づけが為されているのです。人は家の中で生き、家はその生を反映するようになるのだと。だから、青山氏の絵本に登場する者は皆生き生きとし、建物は見る角度によって微妙な色合いの変化を施されているのですね。

非生物をモチーフにした絵本はいろいろとありますが、“建物”がフィーチャーされた作品というのは、そうないかもしれません。私も青山氏の絵本を読んだときには、その斬新な目の付け所に驚きましたもの(笑)。まあ尤も、家というのは、住む人によって様々にその外観や役割を変えていくものですし、また住む人がいなくなってしまえばたちまち朽ちていくものですよね。人と家の結びつきは、家族の絆にも似ています。家を語ることは、総じて人の生き様を語ることにもつながり、そこに限りない物語が生まれるでしょう。

そんな青山氏の作風が一番よくわかるのは、建築家としてのスキルが最も発揮されたであろう「永遠の空間―描かれた世界遺産」だと思っています。


永遠の空間―描かれた世界遺産
彰国社
青山 邦彦

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「永遠の空間―描かれた世界遺産」
鈴木博之:文 青山邦彦:絵
彰国社

・収録された世界遺産
コロッセオ
ローマ水道橋
サン・ヴィターレ聖堂
カッパドキア
アンコール・トム
サント・マドレーヌ聖堂
ノートルダム大聖堂
アミアン大聖堂
サン・フランチェスコ聖堂
ケルン大聖堂
サナア旧市街
シャンボール城
バジリカ
エスコリアール宮殿
ナポリ王宮
姫路城
二条城
ヴェルサイユ宮殿
東照宮
ポタラ宮
ヴュルツブルグ宮殿
ザンクト・ガレン修道院
カサ・ミラ
シュレーダー邸

世界文化遺産とは、ユネスコの世界遺産センターによって登録された、地球規模の文化財です。古今東西の文化そのものを継承する役割を担う世界遺産を、青山氏の緻密でありながら暖かいイラストと、建築史家、鈴木博之氏の細部にわたる解説で紐解いていきます。元々は、2000年10月〜2002年11月にかけて刊行された全100巻に上る週刊パートワーク誌「週刊ユネスコ世界遺産」(週に1つずつ世界遺産を紹介する企画)のために制作されたものでした。好評のため、その中のごく一部を抜粋して書籍化したものがこの「永遠の空間」です。

この作品を一言で表現するならば、“建築絵本”でしょう。外から見ただけでは決してわかりえない、建物の縦割りの断面図を、正確無比な挿絵でわかりやすく見せてくれます。そう、写真では不可能な建設時の予想図であるとか、当時の人々が建物の内部で実際に生活している様までもが再現されているのです。

“建築物を断面で見せるというのは、建築のプレゼンテーションの方法論のひとつです。でも、そこに人がいて、いろんなことをしているっていうのは、建築のカテゴリーではありえないわけです。空間を見せるのと、人の営みを見せるのとは全然違います。建物は主役じゃない、主役は人なんですね”―講談社インタビューより抜粋

この作品は、純然たる建築学的な興味を引くだけのものではありません。単なる解説書との違いは、対象となる世界遺産が散文的に捉えられているに限らず、過去そうであっただろうと想像されるように、人が作業し、生活している情景をも描き込まれている点でしょう。“人の生を内包してこそ、建物の生きる意義がある”という青山氏のモットーをここにも見ることが出来ますね。

“これをなんと呼ぶべきなのか、簡単には決められない。彩色図面であり、図解であり、イラストレーションであり、挿絵といってもよいのかもしれない。しかしながらここには、そのどれにも当て嵌まらない雰囲気が残る。―中略―これをなしとげる作者は建築家であり、画家であり、イラストレーターであり、そのすべてでなければならない”―鈴木博之氏のあとがきより抜粋


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