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zoom RSS 胸いっぱいの愛を―「Delon Romy Ils se sont tant aimes」

<<   作成日時 : 2014/11/09 22:35   >>

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11月8日はアラン・ドロンの誕生日です。1935年11月8日、パリ郊外のオー=ド=セーヌ県ソーで生まれたドロンはフランスを代表する大スターであり、イコンでもあります。現在79歳、どうかいつまでもお元気で。

まだパリにいた頃に書いていた記事を再投稿します。当時Tomさんにいただいていたコメントもそのまま掲載しますね。



パリに来て、最初に買った自分のための本がこれです。

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「Delon Romy Ils se sont tant aimes」

アラン・ドロンは、今やフランス映画界の伝説となっている俳優です。恵まれていたとはいえない出自に負けることなく、雑草のごときタフネスをキャリア・アップに繋げ、私生活でも華やかな話題を振りまき、まさしく“芸の為なら女も泣かす”を地で行くエピソードも残した彼。
しかし、無名時代に出会って約 5年間付き合っていた女優ロミー・シュナイダーに関しては、別離の後に彼ら2人が辿った道がはっきりと明暗を分けたこともあり、彼としても今尚悔恨を覚える存在であるのかもしれません。

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なにせ中身が全てフランス語であり、こちらでも発売されたばかりでまだ翻訳版が出ていない状態ですので、書かれている内容を正しく把握することはできません。ですが、この書籍には、おそらく初公開ではないかと思われる貴重な写真がたっぷり使用されています。撮影現場でくつろぐドロンとロミーの素顔であるとか、ルキノ・ヴィスコンティ監督を挟んだスリーショット、パーティ会場での2人の様子…などなど。年代順に並べられた、それらの写真の中の2人を眺めているだけでも、彼らの愛の軌跡をなぞることができそうです。
使用された写真や、紹介された秘められたエピソードの多くはドロン自身が提供したもののようです。ドロンとロミーが実質上恋人同士であったのは、実はわずかな年数でした。しかしながら、白髪の混じる現在のドロンが、自宅の私室の壁一面に、ロミーのポートレイトや2人で共演した映画の劇中ショット、ツーショットなどを貼っている様子を写した写真を見ると、なんともいえない気分になってきますね。今更ながら、ロミーという女性の存在がドロンの人生に及ぼした影響の大きさを垣間見る思いです。
ドロンは、ヴィスコンティ監督の作品「若者のすべて」「山猫」に出演し、カリスマ的な存在感と卓越した演技を披露しました。ところが、後年ヴィスコンティの寵愛を受け、同監督の名作「地獄に堕ちた勇者ども」「ルードヴィヒ」「家族の肖像」に出演するチャンスを得た俳優ヘルムート・バーガーは、ドロンを殊のほか嫌い、監督に二度とドロンを起用しないよう直訴したことさえあったそうです。というのも、バーガーは、親友であるロミーがドロンの女癖の悪さに泣かされ続け、離別後もドロンの幻影に苦しめられたことを知っていたからだというのですね。ロミーとドロンが出会ったのは、1958年の「恋ひとすじに」という作品での共演がきっかけでした。ロミーはそのとき、わずか20歳の箱入りアイドル女優で、美しくも野獣のワイルドさを秘めた危険な男、ドロンの魅力にあっという間に堕ちてしまいます。すぐ婚約したものの、ドロンはこれから映画界でのし上がっていこうと野心に燃える若者、恋人だけに時間を割ける状態ではなかったのでしょうね。俳優同士のカップルにはつきものの悩み…私生活のすれ違いが続き、ロミーは泣く泣くドロンと別れる決意をした…というわけです。つまり、従来の世間一般的な見方では、ロミーがドロンに純愛を捧げたものの、不実なドロンが彼女の愛情を最終的に踏みにじってしまった、という解釈が成り立っていたように思いますね。
でも、男女の仲というのは、当人同士にしかわからない微妙な感情の襞があります。謎の多い死に至ったロミーとの関係については、ドロンの側にも言いたいことはたくさんあったのではないでしょうかね。この書籍は、今まであまり公にすることのなかったロミーへの想いについて、ドロンがその秘められた心情を吐露したものとして、非常に特異な位置を占めそうです。ドロンのファンも、そしてロミーのファンも、手に取ってみる価値はあると思います。もちろん、彼が活躍した時代のヨーロッパ映画界の内幕ものとしての面白みも、充分にあるでしょう。早く邦訳版が出版されることを祈っております。

日本には、ロミー・シュナイダーの熱烈なファンが多いと聞き及びます。由緒正しいヨーロッパの気品を感じさせる美貌でありながら、どこか親しみやすさを持つ雰囲気のせいでしょうか。私自身は、ハリウッド進出も果たした国際女優としての彼女に、代表作と呼ぶべき優れた作品が少ないことに、大いに不満を抱いています。遺作となった「サン・スーシの女」で見せた薄幸の女性の生き様に、彼女の女優としてのすさまじい執念を感じるだけに、ただの“エレガントな美人女優”の系列に彼女の名を連ねるのは納得できません。


ロミー・シュナイダー―恋ひとすじに (20世紀メモリアル)
平凡社
ロミー・シュナイダー

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存命中に、彼女自身が女優としての生をどう捉えていたかはわかりません。2度の結婚生活が2度とも失敗に終わったり、最愛の息子を事故で亡くすなど、“ドロン後”の彼女の私生活が波乱万丈であったことから想像するに、彼女はとても純粋な魂の持ち主であったと信じております。ですが、巷で言われるような柔な精神の持ち主でも、陰鬱な人間でもなかったと思いますね。“純粋なままの魂”に固持し続けた、ある意味とても頑強な意志を貫いた女性だったのではないでしょうか。「ルードヴィヒ」で演じたエリザベートのように、自身の信念に最期まで忠実だったというのか。むしろ、ロミー亡き後のドロンの内面の方にこそ、目に見えないダメージがあったような気もします。まあ、全ては想像の域を超えないことですが。


ロミー・シュナイダー事件
集英社
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一般には、睡眠薬の過剰摂取が原因と思われる心不全で、ロミーはわずか43年の生涯を終えてしまいます。しかし、彼女の死については今尚謎の部分が多く、ファンの間でも様々な憶測を呼んでいるそうですね。ロミーの死の真相に迫った書籍「ロミー・シュナイダー事件」を紐解くと、彼女の人生の光と影を垣間見ることが出来ます。そして、彼女の死がなぜ今も多くの人々の心をかき乱すのか、観客の深層心理についても想いを馳せずにはいられません。彼女に興味をもたれた方には、ぜひ一読をお勧めしたい内容ですね。私自身は、『Delon Romy』の邦訳が発売された後に、もう一度手にとってみたいと思っております。

Interview with Alain Delon, English subtitles.
shared from warwick1973
2009年12月17日、過去の出演作品を観直したドロンにインタビューを敢行したDarius Rochebinの動画がありました。ロミー亡き後、どうしても観直すことができなかったロミーとの共演作「太陽が知っている La piscine」(1969年、ジャック・ドレー監督)を数十年ぶりにようやく観た直後のドロンの反応も収められていて、胸が痛みます。あらゆる感情が胸にせり上がってきて、言葉にならないのだと。そうでしょうね。インタビューそのものは、本当に長い長いキャリアを築いてきたドロンの俳優人生を総括する目的だったのですが、彼のキャリアをこんな短いインタビュー時間でまとめるのは所詮無理だったというところでしょうかね(笑)。英語の字幕をつけてくれているので、彼らがしゃべっている内容は把握できると思います。


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タイトル (本文) ブログ名/日時
『太陽が知っている』〜映画における超リアリティ〜
 『太陽が知っている』の製作・公開された1960年代後半当時、アラン・ドロンは、たいへん大きなスキャンダルに巻き込まれていました。  アラン・ドロンの近親の人物ステファン・マルコヴィッチが殺害されて遺体で発見されたのです。これは刑事事件として警察当局の捜査対象となり、アラン・ドロン本人も何度も警察に召致され、ヨーロッパ中の新聞各紙、ゴシップ誌が、その内容をスキャンダラスに連日報道していたそうなのです。 ...続きを見る
時代の情景
2010/10/10 12:47

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
豆酢さん、こんにちは。
わたくしめ、10月から転勤で姐さんの街に7年ぶりに復帰です。いやはや、突然で驚いていますよ。
さて、ロミーの書籍なども参考にしてマルコヴィッチ事件の記事をアップしたので、TBとコメントで参上いたしました。それにしても怖いですねえ。ドロンは無罪放免でしたが、完全犯罪の映画「太陽が知っている」を実際に疑義のあった殺害事件の渦中に公開ですからね。
それから、この時期のロミーとの共演はドロン自身も辛かったとブリジット・バルドーは同情的に自伝に記しているようですよ。ロミーとの共演はドロンも望んでいたというのですが、撮影当初は、こんな事件に巻き込まれるとは思っていなかったのかもしれません。心中複雑です。
でもこの作品でロミーはスター女優として、ある意味で再復帰できたとも考えられるので、過去のドロンのロミーへの負債はかなり解消できたんじゃないでしょうか?ドロンもそのつもりで共演者にロミーを推薦したのだと思います。過去の恋人を大切にしていたんだのでしょう。ドロンにとっても彼女あってのヴィスコンティ一家の時代でしたからね。良い恩返しができたんじゃないかな?
記事中の動画、言葉はフランス語でよくわからないけれどたいへん大きく感動が伝わってきますね。
では、また。
トム(Tom5k)
2010/10/10 13:18
トムさん、お返事が遅れてしまって申し訳ありません。帰国後、どうも心身ともに渡仏前の状態に戻ってくれず、歯がゆい毎日を送っております。子供たちに別の意味で手がかかるようになったのも一因かしら。

>マルコヴィッチ事件

この事件については私もあまり詳しくはないので、トムさんちで詳細をうかがいたいと思っています。

>この時期のロミーとの共演はドロン自身も辛かったとブリジット・バルドーは同情的に自伝に記している

でしょうね…。記事中でも触れましたが、私自身は、ドロンの方の精神的ダメージは殊のほか大きかったように感じています。推測の域を出ませんが、彼自身はきっとロミーのためになにか行動したいと常に思っていたはず。彼ら2人の関係が結婚という形に結実しなかったのは、彼らの力だけではどうにもならなかった部分もきっとあったと思います。男女の仲は複雑で難しいものですよね。

動画の中でドロンが語っていることについてですが、やはりロミーの卓越した才能を称え、その喪失を嘆く内容になっています。どんな気持ちで彼がロミーとの思い出を語っていたか、その心中を察するとなんともいえない気分になりますね。
豆酢
2010/10/15 09:24

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