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zoom RSS 氷が溶けるほど激しく舞って―「俺たちフィギュアスケーター」

<<   作成日時 : 2018/02/25 17:25   >>

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たとえ何が起こっても、氷の上では華麗に舞うぜっ!…これが俺たちの生きる道。

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「俺たちフィギュアスケーター Blades of Glory」(2007年製作)
監督:ウィル・スペック&ジョシュ・ゴードン
製作:ベン・スティラー&スチュアート・コーンフェルド&ジョン・ジェイコブス
製作総指揮:マーティ・ユーイング
原案:ジェフ・コックス&クレイグ・コックス
脚本:ジェフ・コックス&クレイグ・コックス
撮影:ステファン・チャプスキー
音楽:セオドア・シャピロ
出演:ウィル・フェレル(チャズ・マイケルズ)
ジョン・ヘダー(ジミー・マッケルロイ)
ウィル・アーネット(ストランツ・ヴァン・ワルデンバーグ)
エイミー・ポーラー(フェアチャイルド・ヴァン・ワルデンバーグ)
クレイグ・T・ネルソン(コーチ)
ジェナ・フィッシャー(ケイティ・ヴァン・ワルデンバーグ)
ウィリアム・フィッチナー(ダーレン・マッケルロイ)他。

氷の上で繰り広げられる華麗なる舞いの祭典、フィギュアスケート。一見優雅な競技に見えるが、その裏では次から次へと才能ある新星が現れ、選手間の競争は熾烈を極める一方であった。特に、フィギュアスケートが盛んで選手人口が多いアメリカでは、フィギュアスケートが一大ビジネスとなっており、世界選手権やオリンピックで金メダルを取れば、選手には名誉と巨万の富が約束されている。フィギュアスケートを志す者は、いずれも頂点を目指して飽くなき戦いを続けるのである。
現在のアメリカ・フィギュアスケート界、男子シングル部門では、2人の選手が激しくしのぎを削っていた。暑苦しいほどのセックスアピールとダイナミックなジャンプ、ノリの良い演技で大人気のチャズ・マイケルズと、貧しい生まれながら驚異的なスケートの才能で“氷の神童”とあだ名される、金髪細身の王子様タイプのジミー・マッケルロイである。
世界選手権で大珍事が起こった。チャズとジミーが、同点で2人共に1位となったのである。長年のライバルとして互いに反発心むき出しの彼らは、ちょっとした諍いが原因で、なんと表彰台上で大乱闘を演じてしまう。スケート協会は事態を重んじ、2人から金メダルを剥奪した上にスケート界から永久追放を命じる。
それから3年半後。チャズはちびっ子向けアイスショーで場違いな熱演を続け、ジミーの方はスケート洋品店で働いていた。共にスケート界復帰への夢を捨てきれなかったのだ。そんな彼らに、ある日ひとつの可能性が浮上した。スケート協会の定める規約には、 “男子2人がペアを組んで大会に出場する”ことを禁じる文章が存在しない。常識として、“ペア”といえば、男女2人組みを指すものと決め込んでいたスケート協会の手落ちである。ジミーのコーチは、それを逆手に取り、チャズとジミーを組ませて“ペア”部門で出場させようと目論んだのだ。ペア部門といえば、男性が腕一本で女性を頭上高くリフト(持ち上げる)する大技や、男性が女性を放り投げて3回転ジャンプを決めさせるスロー・ジャンプ、2人がぴったりシンクロしながら滑るスケーティング技術、互いの身体を密着させながら回転するペア・スピンなど、2人の呼吸が合っていなければ危険な技が満載だ。シングルの経験しかないチャズとジミーに、いきなりペアを組ませることが出来るのか、いやそもそも“男子2人ペア”などをスケート協会が認めるのか。数々の難関を前に、前代未聞の裏技による彼らの世界選手権への再挑戦が始まった。

俺たちフィギュアスケーター スペシャル・エディション [DVD]
角川エンタテインメント
2008-05-23

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この作品、実は本国アメリカでは、2007年の8月28日に既にDVDが発売されていました。日本ではこのままDVDスルーされるかと思われたのですが、(一部の)熱意あるスタッフの頑張りで、なんと2007年12月22日から劇場公開されることが決定したという逸話が残されています。わたしゃてっきり国内公開はないものと思ってましたから、わざわざ輸入版のDVDを手に入れておったのですよ。まったくもう(笑)。

ウィル・フェレルのコメディって、アメリカでは大ウケですが、ここ日本では依然として苦戦中。おそらく、あの暑苦しいルックスと今一つ垢抜けない芸風が災いしてるせいかも知れません。あのニコ様ことニコール・キッドマンと共演した「奥様は魔女」にしたって、彼1人だけなんとなく浮いてるというのか、空回りしているというのか…。その点、この「俺たちフィギュアスケーター」(この邦題もベタベタですが、これが正しい訳だと思う)なら大丈夫!日本におけるフィギュアスケートへの関心度は非常に高いですし、フェレルの泥臭さと、フィギュアスケートというスポーツ自体が持つ垢抜けないイメージが絶妙にマッチしているのです。

元来フィギュアスケートって、非常に過酷なスポーツです。まあ、楽なスポーツなんてこの世にありませんけども、フィギュアには、“芸術性”と“体力”、“高度技術”の全てが要求されるという、特殊な側面があります。氷の上を滑るだけでも難しいのに、そこでスピンしたりジャンプしたりするのですからね。そりゃ観てる分には面白いですよ。でもそれを“演技”として赤の他人にジャッジされて、しかも不公平極まりない生身の人間の判断1つで決められた点数によって、順位を決められてしまうのですからね。やってる選手の方は、心身ともに磨耗していくスポーツといえるでしょう。おまけに、これだけビッグビジネス化したスポーツであるにもかかわらず(メダリストにもなろうものなら、選手は億単位の金を手に出来る)、なぜかフィギュアスケートの世界は、非常に保守的で閉鎖的、しかも時代の波に乗り遅れ気味でもあります。それら諸々がゆえに、オリンピックでの審判の不公平や不正といった問題の温床になってしまうのでしょうが。

話がそれましたが、つまりフィギュアスケートというのは、今どきハロウィンの仮装でも着るのが恥ずかしいような、派手でロマンティックな衣装を堂々と身にまとい、氷上でなければためらわれるほどのオーバーアクトで演技しながら、常人離れした技術を披露するスポーツであるのです。“銀盤の華麗なる舞”などと形容される華やかな外面の裏には、才能を開花させるための汗と涙と鼻水と根性の物語があるわけですね。フェレルの泥臭さとフィギュアの垢抜けなさが意外に合うと申し上げた理由が、わかっていただけましたでしょうか。実際映画を観てみますと、スケーターのくせに二重顎で腹がでっぱり気味でも三回転ジャンプはダイナミックで、暑苦しいゴリラ系ルックスのくせに、踊ればなぜかワイルドでセクシーに見える(爆)というチャズの破天荒さを、フェレルが実に上手く見せていました。ジャンプのシーンなどはさすがにプロの吹き替えだと思いますが、主役のフェレルとジョン・へダー自身も、数ヶ月に渡ってスケーティングの猛特訓を受けたそうですから、氷上での演技のシークェンスは結構決まってましたよ。上り調子のスポーツマンにありがちな、尊大でわがままなオレ様男を、いやみたっぷりに演じていて上出来です。今までの役柄の中で、一番フィットしたキャラクターじゃないかしら。

そして、フェレル以上に面白かったのが、チャズの宿命のライバルにして、なんの因果か一緒にペアを組む羽目になった“氷の神童”ジミーに扮したジョン・ヘダー。「バス男」ではひたすら地味なオタク男だったヘダーは、ここでは古風な王子様ルックです。パッと見、フェレルと未公開出演作の数を競っているオーウェン・ウィルソンにも似ています。そんな彼が、ワイルド系のチャズとは正反対の路線でスケート人生を邁進しようとするジミーを、至極真面目に演じているのですね。

なにからなにまで正反対のチャズとジミーでしたが、1つだけ共通するものがありました。スケートへの情熱ですね。フィギュアスケートって、コーチを雇ったり練習場を確保したり、はたまた世界戦に参加する費用など、非常にコストのかかるスポーツでもあり、選手を続けるには経済的な問題も大きなネックになるのだそうです。反面、幾多の試練があってもなお、氷の上に出たいという情熱は一向に止まないものでもあるそうです。こと、チャズとジミーにとっては、彼ら自身の過失から選手生命を断たれたといういわくもあります。富と栄光という副産物もあるでしょうけど、彼らが男×男ペアを組んでまでスケートにこだわるのは、やはり純然たる“スケートを愛する心”の故だと思うのです。

スター選手としてちやほやされる生活から一転、どん底を見た2人は、今一度スタートラインからスケートに挑戦するようになります。2人でペアを組んで選手権を目指すという“禁じ手”を使うわけですが。ペアの演技をご覧になればわかると思うのですが、ペアでは、男性が女性を頭上高くリフトアップしたり、男性が女性を振り回しつつスピンするデス・スパイラルなど、危険な技がいっぱい。しかも両者の肉体はかなりの頻度で密着します。採点の際には、スロー・ジャンプなどを除いて、演技者2人の間の距離が近ければ近いほど難易度が上がるという傾向があるからですね。よって、それらを男2人で表現しようとすれば、必然的にかなりむさ苦しい格好になってしまうわけです。一方が相手の股間を支えてリフトしたり、態勢を変える際に互いの股間に顔を埋めてしまったり。男女ならばあまり気にならないことが、男男の組み合わせになると、かくも不自然に感じられるのですから不思議ですよね。当然、野郎2人による情熱的なペア・スケーティングは、そりゃもうゲイゲイしい雰囲気満点で、観客もスケーター仲間も流石に引いてしまいます。映画的にも、ここで笑いを取ろうという意図があるわけですが、ただ、それにつられてアハハと笑う前に考えていただきたいことがあるのですよね。

先ほど私は、“男女の組み合わせなら気にならないことが、男男の組み合わせならば不自然に見える”と書きました。そんなの当たり前じゃん!と思われる方が大多数でしょう。でも…本当にそうでしょうか?私たちは、“ペア”といえばイコール男女の組み合わせだと当然のように考えます。でも世の中には、男2人、あるいは女2人の組み合わせだってあるでしょう?最初こそ、フェレルとヘダーが氷上で演じる“ロマンチックな2人の世界”の物凄さ(いろんな意味で)に圧倒されるばかりであったのが、そのうちふと我に返ると、彼らの熱意に純粋に感心している自分がいることに気づくのです。組み合わせがなんであろうと、そこに素晴らしい演技があるのならば、人間は感動を覚えることが出来るのですね。つまりは、“ペア・スケーティングは男女で行うべし”という考え方こそが、保守的で偏見に満ちた思考ではなかったのかと思い至るわけです。
この映画は、一見するとフライング気味の笑いを徹底したおバカコメディのように思えますが、その実、セクシュアリティに関する偏見問題というデリケートなテーマに触れた作品でもあるのです。製作側にそういう意図があったかどうかは別として、映画を観る者は、最終的に己に内在する性への認識の再考を促されることになるのでは。

作品がアメリカで公開されたときには、2週連続興行収入No.1を記録し、なんと1億1,800万ドルの売り上げを達成したとか。また、わかりやすく見た目の面白さを挙げるなら、チャズとジミーのチンドン屋すれすれのド派手衣装ですね。チャズは火の鳥(フリンジフリフリ)、ジミーは孔雀(右手に孔雀のおかしら付き・笑)、果ては電飾仕込みの衣装まで、フィギュアスケート界ならではのお約束ギャグといえど、そのインパクトは紅白歌合戦の小林●子顔負けです。
しかもフィギュア・ファンならば、往年の名選手が本人役で多数出演するのは、かなりうれしいボーナスではないでしょうか。この映画では、アマチュア選手として大活躍し、その後プロ・スケーターに転向した多くの有名選手たちが全面的に協力態勢を敷いています。私が確認しただけでも、スコット・ハミルトンやブライアン・ボイターノに、ドロシー・ハミルトンまでがカメオ出演していましたね。トーニャ・ハーディングからの殴打事件が記憶に残るナンシー・ケリガンも出てきました。年食ったなあという印象でしたが(爆)、チャズに口説かれてましたよ。トリノ・オリンピックでは荒川静香さんに一歩及ばず、銀メダルに甘んじたサーシャ・コーエンに至っては…(絶句)。ちょいとばかしお下品なギャグで、その細い身体を張ってくださいます(大笑)。未見の方はお楽しみに(爆)。

劇場で観るチャンスがある方は、フェレルだからといって食わず嫌いせず、氷も溶けんばかりの彼の熱演をぜひご堪能あれ(苦笑)。

なお、オリジナル・サウンドトラック盤もお勧め。

Blades of Glory
Lakeshore
2007-03-27
Oiginal Soundtrack

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