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zoom RSS おらが街は最高だ!―「ドリームゴール When Saturday Comes」

<<   作成日時 : 2015/01/29 23:31   >>

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故ピート・ポスルスウェイトを偲んで、彼とショーン・ビーンが共演した愛すべき小品を。


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「ドリームゴール(When Saturday Comes)」(劇場未公開)(1995年製作)
監督:マリア・ギース
製作:クリストファー・ランバート&ジェームス・デイリー
原作:ジェームズ・フィッシャー
脚本:マリア・ギース
出演:ショーン・ビーン(ジミー)
エミリー・ロイド(アニー)
ピート・ポスルスウェイト(ケン・ジャクソン)
クレイグ・ケリー(ラッセル)
ジョン・マッケンリー(父ジョー)
アン・ベル(母サラ)
メラニー・ヒル(姉メアリー)他。

ジミーは、英国のシェフィールドに暮らす25歳の若者だ。彼はプロのサッカー選手になる夢も捨て、鉄鋼産業で有名なこの町で他の多くの労働者階級の者がそうするように、工場で働く退屈な毎日を送っていた。唯一の気晴らしは、職場の仲間とパブで一杯飲むことと、彼らと趣味で結成しているサッカーチームで週末にプレーすることであった。
給与明細にミスがあったことをきっかけに、ジミーは職場の事務を担当するアニーという女性と親しくなった。アイルランド系だという彼女に、彼は急速に惹かれていく。
ある日いつものように仲間とサッカーをプレーしていると、ハーラム・フットボール・クラブというセミプロのチームで監督を務めるケン・ジャクソンが、偶然その様子を見ていた。ジャクソンはジミーのプレーに目を留め、ハーラムで右ウィングとしてプレーしてみないかと誘う。ジミーにももちろん異存はない。彼は火曜日の夜にハーラムに向かうことを承諾した。
ジミーの家庭では、父ジョーが家の金を競馬につぎ込んでしまい、家計は火の車だ。ジミーも姉のメアリー、弟のラスも、毎日のように繰り返される両親の大喧嘩に心底ウンザリしていた。ジミーとラスは、仲間達がジミーのために開いてくれたパーティに繰り出す。そこにやってきたアニーから、ジミーは意外なことをきいた。ケン・ジャクソンは、アニーの叔父であったのだ。
ハーラム・フットボール・クラブの試合。雨でピッチがぬかるむという悪条件の中、チームはジミーの活躍で勝利を収める。アニーとの仲も順調で、ジミーは毎日の生活に張りを感じるようになる。
ある夜のハーラムの試合。ジミーは相変わらず切れのいいプレーを披露している。シェフィールドを本拠地とするプロのサッカークラブ、シェフィールド・ユナイテッドの関係者がその試合の視察に来ていた。試合後ジミーは、土曜日に行われるシェフィールド・ユナイテッドの入団試験に来るように言われる。シェフィールドに暮らすジミーにとって、それは大きな夢に一歩近づいたことを意味する。期待と共に、失敗することへの不安に押しつぶされそうになる彼を、ラスは優しく励ます。
「兄さんこうしよう。コインを投げて表が出たら試験にパスする!」コインは二度とも表になる。
「兄さん、これはチャンスだ。あのシェフィールド・ユナイテッドの一員になれるかもしれないんだぞ」
「… わかった。試験はがんばるが、このことは誰にも言うんじゃないぞ」
ところが、夕食の席で父ジョーに試験のことを訊ねられたジミーは憮然とする。ジョーは彼に、夢を追うことをやめ、工場にとどまるよう言い渡す。家族に咎められたジョーは席を立ち、食卓は険悪なムードになってしまった。

運命の土曜日がやって来た。ジミーは緊張した面持ちでシェフィールド・ユナイテッドの事務所にやってきた。試験を受けるものは、ピッチで紅白戦を行い、その様子をユナイテッドの監督が見て判断するのだ。その場にはジミーを推薦したジャクソンも同席している。ユナイテッドの監督は、ジミーのプレーを気に入ってはいたが、チームが一部リーグに上がるかどうかの瀬戸際で、即戦力を欲しがっているのだ。ジミーは今回の試験では入団を見送られ、また来週試験を受けなおすよう言い渡される。
ジミーはパブでヤケ酒をあおった。そこに憔悴した様子のラスがやって来た。父ジョーがガス代を支払うための金25ポンドを持ち出して、家を出たというのだ。しかもジョーには300ポンドもの借金もあった。兄弟は競馬場に父を探しに行く。しかし馬券場に父の姿はなく、ジミーは彼が25 ポンドを預けた知人から金を取り返すと、心配するラスをよそに自分で馬券を買った。なんと彼が買った馬券が大当たりし、兄弟は1000ポンドもの大金を手に意気揚々と帰宅する。
その後パブに繰り出したジミーとラス。そこにアニーがやってきて、ロンドンで2人で同棲するためのフラットを見て欲しいと詰め寄る。だが、ロンドンに出て行くことまでは考えられないジミーは答えを濁してしまった。
翌日仕事に遅刻したジミーは、雇い主からユナイテッドの試験に失敗したことを侮辱され、ついカッとなって彼を殴ってしまう。その場でクビを言い渡される。

2度目のユナイテッド入団試験を翌日に控えた夜、ジミーはアニーとフラットを見にいった。そこで彼はアニーから妊娠したことを告げられる。彼にとって仕事もなくした今は、とても子供を持てる状況ではない。ひどい言葉で子供は要らないと怒鳴ってしまった彼。そのまま友人の誕生パーティーにパブに向かった彼は、ラスが止めるのも聞かずに酒をあおってしまう。箍の外れたジミーは、酔った挙句にストリップ・バーのダンサーと一夜を共にし、翌日のユナイテッドの入団試験に遅刻してしまう。二日酔いのジミーは、ユナイテッドの監督たちの前で良いプレーを見せることが出来ず、早々に落第を喫してしまった。カンカンのジャクソンにもあいそをつかされ、ジミーは最悪の気分を味わうのだった。おまけにその後パブでアニーにつかまった彼は、昨晩ストリッパーとねんごろになったことを白状させられ、これも怒り狂ったアニーに関係の終わりを言い渡される。友人は慰めるが、これはすべて自分が招いた事態である。今日はジミーにとって人生最悪の一日となった。

ジミーが帰宅すると、父と母が大ゲンカの真っ最中であった。父ジョーが、ラスのサッカービデオのコレクションを売ってしまったためだ。鬱憤のたまったジミーは、ただちに弟のコレクションを取り戻さねば殺すと父に言い渡す。怒鳴りあいをした挙句、ジョーはジミーに家から出て行けと怒鳴る。親子はお互いに自己嫌悪にかられるのだった。

バスに飛び乗ってラスの働く炭鉱に向かったジミー。救急車やレスキュー隊が到着し、慌しい雰囲気だ。炭鉱内で落盤事故が起こったのだった。炭鉱の奥から次々と犠牲者が運び出されてくる。ラスも変わり果てた姿で戻ってきた。ジミーは悲しみのあまり半狂乱になり、一晩中あてもなくさまよい歩く。ふと、いつかラスがお守りにとくれたコインを見ると、それは両面とも表の模様が描かれたコインだった。ラスはそれで、ジミーに自信をつけさせようとしていたのだ。今更ながら弟の真心に気づいた彼は、線路脇で泣き崩れるのだった。

ラスの葬儀。ジミーは彼の棺に生まれ変わることを誓った。その足でジャクソンの家に向かうと、もう一度チャンスをくれるように請う。ジャクソンは一旦は、自ら才能をどぶに捨てているジミーを罵倒するが、その潜在能力を開花させるために協力することを約束してくれた。またアニーに会うために元いた職場に行くが、彼女は既に退職してシェフィールドを離れていた。
ジミーとジャクソンの特訓の日々が始まる。日も明けきらないうちからトレーニングに明け暮れるのだ。ジミーのコンディションを最高にするために、限界まで肉体を酷使する毎日。そんな中で彼は欠かさずアニーへの手紙を書き続ける。それが彼に出来るせめてもの償いだった。
ある雪の降る日、アニーの母親を見つけたジミーは、アニーに愛していると伝えて欲しいと懇願した。すると、なんとアニー本人がやって来た。今大学に通っているという。お互いに愛し合っているものの、伝えるべき言葉もなく黙り込んでしまう2人。しかし、また会いましょうという言葉だけで、心に暖かなものがあふれるジミーであった。

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ジャクソンは、本気でアニーとよりを戻したいと願うジミーの真摯さに打たれ、なんとか彼に再びユナイテッドの入団試験を受けさせてくれるように、ユナイテッドの上層部とかけあう。彼の必死の交渉が実り、ジミーは最後の入団チャンスを見事ものにすることができた。
シェフィールド・ユナイテッドとアーセナルの試合。カップ戦である。スターティング・メンバーではないものの、ジミーの名前はベンチ入りリストの中にしっかりと記されていた。彼の実力がユナイテッドに認められた証明である。
ある日父ジョーはジミーに、ラスのサッカービデオのコレクションを返す。
「ラスは俺がこれを売ったことを知らなかったよな」
「…ああ」
「すまん、ジミー」
「いいんだよ」
言葉少なに、親子はようやく和解を果たしたのだった。
一方ジミーは、晴れてユナイテッドの一員になったものの、なかなか試合には出させてもらえない日々が続き、鬱憤がたまってくる。対リーズ戦。チームは敗北を喫してしまう。カップ戦に勝ち進むために、なんとしても次の試合に出たい。だがやはり彼は控えのまま。焦るジミーをアニーは優しく慰める。

シェフィールド・ユナイテッド対マンチェスター・ユナイテッド。シェフィールド・ユナイテッドのサポーター達が盛大に歓声をあげるなか、いよいよカップ戦の準決勝進出をかけた試合が始まった。ジミーはベンチスタートだ。観客席ではアニーとジャクソンも観戦している。パブではもちろんジミーの仲間達も気勢を上げている。しかしサポーター達の応援も虚しく、マンチェスターは早くも先制する。しかも次のプレーで、シェフィールドのエース・アタッカーが悪質なタックルを受け、重傷を負ってしまう。
ハーフタイム。ふがいない戦いぶりを見せる選手達に喝を入れた監督は、後半戦からジミーをピッチに送り出す。ジミーが登場したことに沸き立つアニーや、仲間達。ところが肩に力の入りすぎていたジミーは、ピッチに立って早々に相手選手を倒してしまい、いきなりイエローカードを食らってしまう。マンチェスターに与えられたフリーキックは、そのまま2点目を献上することになってしまう。
一気に落胆するスタンド。チームメイトの信頼も失ってしまったジミーには、ボールもまわってこない。落ち込みかけたジミーだが、ふと見上げたスタンドに、笑顔満面のラスがやってくる姿が見える。ラスの魂が舞い降りてきたのか。彼の笑顔に再び勇気を奮い立たせたジミーは、絶妙のパスを送り出し、チームメイトのゴールを演出する。チームは1点のビハインドになった。勢いに乗った彼は、仲間からパスを受けると果敢なドリブルで敵の守備陣に切り込んでいき、そのまま強力なシュートを放った。シェフィールドは2点目を奪取。スタンドもテレビの前も大騒ぎとなる。スコアは2-2となり、勝負は振り出しに戻る。
高く上げられたボールを奪おうと、空中で相手選手と競り合ったジミーは、ひじうちを食らってしまう。脳震盪を起こしかけるものの、彼はこれで味方チームに与えられたぺナルティー・キックを蹴ることになった。準決勝進出を決める最後のプレーとなる。スタンド中のサポーターと両陣の関係者が固唾を飲んで見守る中、ジミーは相手チームのゴールキーパーと対峙する。彼の繰り出したシュートは、ゴールネットを揺らした。ピッチには、歓喜するチームメイトにもみくちゃにされるジミーの姿があった。

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実際にシェフィールド出身であり、シェフィールド・ユナイテッド(通称ブレイズ)の強力なサポーターでもあるショーン・ビーンの、1995年製作の作品です。1996年のカンヌ映画祭でも上映されました。また、今年開催されたW杯ドイツ大会のモメンタムに乗って製作された、サッカー映画「ゴール」のパンフレットにも紹介されたそうです。
海外では、数あるサッカー映画の中でもかなり評価されている部類に入る作品ですが、なぜか日本ではあまり知られていませんね。以前にビデオで発売されたきりで、DVD化される話も出ていないですし。出演している俳優も、ショーン以外ではジャクソン役で個性派俳優ピート・ポスルスウェイトや、「あなたがいたら/少女リンダ Wish You were Here」で鮮烈なデビューを飾ったエミリー・ロイドなどが出ており、なかなか魅力的です。ジミーの弟ラス役を演じたクレイグ・ケリーも、素直な演技が好感をもてましたよ。

お話そのものはストレートなスポーツ根性ものなのですが、舞台が労働の街シェフィールドということで、グレイがかったくすんだような街の雰囲気と、その中での労働者階級の人々の暮らしぶりがよくわかる内容になっています。英国で、いったん労働者階級として生まれてきたからには、その環境から脱するためには相当な覚悟と努力が必要なのですね。その手段の一つが、プロのサッカー選手になること。それほどサッカーというスポーツが、英国の人たちの生活に密着したものであることがわかります。ただし、サッカー選手になるにはそもそも才能がなければだめですし、才能があっても生活のためにそれを生かしきれない者もいるでしょう。この作品のジミーは、そんな若者です。

25歳といえば、サッカー選手としてやっていくにはぎりぎりの年齢。ジミーも、今のぬるま湯につかるような怠惰な生活を捨ててサッカーに人生を賭けるべきか、悩めるところです。父親は、自身が人生に落伍した人間であるが故に息子の夢を応援できないでいる。生活の苦しい家族はバラバラになりかけ。そんな中でジミーに一念発起させる起爆剤になるのが、いつでも彼の夢を支え続けた弟の死であるというのは、悲劇ですね。彼の死はまた、バラバラになりかけた家族の絆を再び固く結ぶことにもなります。特に父親とジミーの絆ですね。この作品では、おらが街のスター俳優であるショーンを存分に魅せようとする演出も確かに多いのですが、このように、主人公の家族の様子を非情に丁寧に描いているので、ファミリードラマとしてもおもしろいですね。

ブレイズに入団が決まってからの試合の模様は、ジミーが出場していないものは、おそらく実際の試合のアーカイヴ映像であろうと思われます。ジミーがプレーするシーンの撮影は、本物の試合をいったん中断して、撮影隊がピッチに突入して敢行されたそうです。そのおかげか、白熱する試合のシークエンスはなかなかの出来栄えですよ。サッカー好きな方がご覧になっても、満足していただけるかと思います。主人公ジミーを演じたショーンは、この作品のために相当トレーニングを積んだのでしょう、本物の選手の中に混じっても違和感はありませんでしたね(笑)。
クライマックスのPKを蹴るシーンも良かったです。緊張感を高めるための、お約束のスローモーション映像なのですが(笑)、私は不覚にもここで泣けてきてしまいました。放っといてください。いいんです、サッカーバカはこのようなシーンに弱いのですよ。ええ。

そして、先日惜しくも亡くなった英国の名バイプレイヤー、ピート・ポスルスウェイトは、ショーンと共演したテレビ・シリーズ「炎の英雄シャープ」での役柄とは180度異なり、才能はあるのに今ひとつのところで自らツキを手放しているジミーを、叱咤激励する地元の名物コーチをいい塩梅で演じています。こういう感じのおっさんって、地元に1人や2人、確かにいるわ(笑)。無愛想なんだけど情にもろく、未来のある若者をみると放っておけなくて、彼らのために縁の下の力持ちを自ら買って出てくれる、気のいいおっさん。こういう味わい深い役も、ポスルスにとっては十八番。決して目立つ立ち位置ではないのに、あのじゃがいもみたいな顔が、苦虫を噛み潰したような表情で画面に登場するだけで、なぜだかシーンに奥行きが出る。もう、あのゴツゴツした顔がニッカリと笑う様子を見ることはできないんですよね。寂しいです、すごく。

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そうそう、映画のテーマソングを歌っているのは、シェフィールド出身のロックバンド、デフ・レパードのボーカリスト、ジョー・エリオットです。とことん“おらが街”にこだわって製作された作品のようですね。

ドリーム・ゴール【字幕版】 [VHS]
バンダイビジュアル
1997-01-25

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