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zoom RSS エログロナンセンス親父の真心―絵本作家トミー・アンゲラーTomi Ungerer

<<   作成日時 : 2014/12/08 23:22   >>

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トミー・アンゲラー(ウンゲラー)Tomi Ungerer

1931年11月 28日生まれ
フランス、アルザス地方のストラスブール出身

Jean-Thomas Ungererことトミー・アンゲラー(ウンゲラー)は、1931年、天文時計職人の父と画家の母との間に生まれた。
1935年に父親が死去すると、彼は母親に連れられてLogelbachという街に移り住んだ。高校を途中でドロップアウトしたトミーは、1950年から1951年にかけてヒッチハイクでラップランドへ渡り、ロシア国境も越えた。あちこちをスケッチしながらの放浪の旅であったが、この頃の彼の作品は、当時流行した実存主義の影響を受けていた。1952年に旅先のアルジェリアで病を得た彼は、1953年10月、市立の美術学校に入りなおす決心をする。1954年から1年間、地方の会社でウィンドウ・ディスプレーや広告の仕事を手がけた。この頃アメリカ文化センターを訪れては、かの地への憧れを募らせていく。そしてついにヒッチハイクでヨーロッパ中を放浪する旅に出る。1956年、絵の具箱と原稿を持ってニューヨークに到着。ポケットには60ドルしかなかったという。しかし、腹ペコでたどり着いたニューヨークの出版社で、今までに描いたデザイン画やイラストを見せるや、その場で採用される幸運に恵まれる。翌年処女作『The Mellops go flying』(子豚の家族の物語)が発表されると、たちまちのうちに好評を博し、トミーの元には広告デザインや有名誌の挿絵の依頼などが殺到する。 1958年から1959年にかけて、彼はブラックでシニカルな持ち味の風刺画集と同時に処女作をシリーズ化し、他の絵本も精力的に制作した。1960年からはスイス、チューリヒの出版社と提携し、以降多くの読者に彼の作品が提供されるようになった。
1962年にベルリンで開催された博覧会の宣伝用ポスターを制作した彼は、その中で当時大きな社会問題となっていた人種差別やベトナム戦争反対のメッセージを込めた。1966年に出版された『The Party』という作品集は、彼の嫌いなニューヨーク社交界の人々を辛らつに表現したもので、3年後の1969年に出版された『Fornicon』という作品集は、情報過多の現代社会の中で半ば機械化されてしまったセクシュアリティを批判したものだ。60年代におけるアンゲラーは、絵本作家としてはもちろん、商業美術黄金期を謳歌するごとく優れた広告美術作品を多数制作した。画家、イラストレーター、漫画家、デザイナー、絵本作家。多種多様な肩書きが示すとおり、彼の活動フィールドは実に多岐に渡っている。
1970年にイヴォンヌ・ライトと出会い、翌年結婚。彼らはカナダのNova Scotia半島にある農場に居を構えた。その農場での経験は、1983年に発表された『Heute hier, morgen fort』という作品に結実している。1972年には、ウィリー・ブラントの選挙キャンペーンのポスターを描いている。1975年、トミーは彼の回顧展を行う故郷ストラスブールの美術館のために、作品とおもちゃのコレクションを多数寄贈した。また、ドイツの有名な民謡集に挿絵をつけ、その本は大変な売れ行きを示した。夫妻は1976年に南アイルランドに移住し、同年エイリアが誕生している。2年後にはルーカス誕生。1980年には3人目の子供パスカルが誕生した。1979年には、ドイツの出版社との協力関係から、『Parution of Babylon and Politrics』という風刺的な作品集や、『Abracadabra』のような広告媒体のために再編された作品集を発表する。

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1981年パリの装飾美術博物館において、アンゲラーの25年間の軌跡を辿る個展が開催された。Montreal International Salon of Caricatureは、彼をして“漫画家”であるという見解を示している。しかしそれも多岐にわたるアンゲラーの活動の一環でしかない。様々な機関から賞を与えられる立場になっても、依然として新作の制作への意欲は衰えず、1986年には度々ハンブルグに滞在し、売春婦の置かれた環境を絵に描いた。また 1987年、ジャック・ラングから、フランスとドイツの文化交流を担うよう依頼され、アンドレ・ボイドが統括するフランス・ドイツ文化交流委員会に参画した。1988年、ストラスブールに建造されて2000年になる水路の記念碑にヤヌス神を描き、その街に息づく2つの国の文化を表現した。
1990 年にはアンゲラーの指導で、フランスとドイツの文化交流後援会がストラスブールに設立された。また同年、フランス政府からレジヨン・ドヌール勲章を授与され、アムネスティ・インターナショナルのために描いた動物の絵が、野生動物保護を促進するバーゼル世界大会開催期間中、展示されていた。アンゲラーは多様な社会活動にも全身全霊を込めていたのである。
1991年、60歳の誕生日を記念して、初期作品を集めた『A la guerre comme à la guerre』が刊行される。同年11月、4500枚に及ぶスケッチ画と2500個に及ぶおもちゃのコレクションを、再度ストラスブールに寄贈した。 1992年には、アメリカ名鑑によって、“世界に大きな影響を与えた500人”の1人に選出される。エイズ禍、戦争などの世界現象に対し、極めて人道主義的な立場から積極的に関わった功績が称えられたものであった。翌1993年、フランスとドイツの文化交流への長年の功績を称えられ、Deutscher Bundesverdienstkreuzが彼に授与された。同年彼は、第2次世界大戦中の幼い頃の思い出を込めた絵本『Die Gedanken sind frei』をドイツ国内で刊行している。1995年には今度はフランス文化大臣から、グラフィック・アートに関する国家的権威ある賞を授与される。 1997年に、1974年初版の絵本「フリックス」が、スイス、チューリヒのDiogenes Verlag社とパリのL'école des loisirs社から再販された。また、ストラスブールで『Mon Alsace』が、アメリカでも『Cats』が再販される。1998年には、「すてきな三人ぐみ」で、児童図書のための国際アンデルセン賞の画家賞を受ける。同年『Tremolo』が刊行された。1999年にヨーロッパ文化賞を授与された。『Otto』が刊行され、同年、ドイツ南西部の都市カールスルーエに建設された保育園のために、ネコの形をした建物を設計デザインした。彼の興味の対象は建築デザインにも及び、2000年、ドイツのアミューズメント・パーク内に、フランス、ドイツにある何百もの城からインスパイアされた迷宮を作る計画を立てる。

国内で刊行された主な作品に、「エミールくんがんばる」(文化出版局)、「キスなんてだいきらい」(文化出版局)、「へびのクリクター」(文化出版局)、「すてきな三人ぐみ」(偕成社)、「ゼルダと人食い鬼」(評論社)、「フリックス」(BL出版)などがある。

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いやもう、とにかく私自身が今ハマりにハマッている絵本作家がこの人、トミー・アンゲラー(またはウンゲラー)です。日本語の表記ではアンゲラーなのかウンゲラーなのかわかりにくいのですが、フランス出身の人としてはいささか変わった苗字であるのは確か。元は商業デザインの世界で一躍名を成した人です。日本でも彼の影響を受けたデザイナーや画家がたくさんいると聞きますよ。アメリカの雑誌の表紙やポスターなどの他にも、ヨーロッパでも数多くのデザインを手がけていますね。アンゲラーの特筆すべき作品の特色は、絵本もアートワークも含めて、毒気満載の風刺精神です。特に、社会の上層に位置している人々、マジョリティーへ向けるシニカルな目線は悪趣味なほど(笑)。

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そこに、彼自身がマイノリティーに属するからという反抗心を読み取ることもできるのですが、それ以上に、人間社会への冷ややかで透徹したまなざしを感じるのですよね。

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自身が経験した第2次世界大戦や、泥沼化したベトナム戦争への批判に満ちたアートワークなどにも、彼の根性の座ったリベラル精神が垣間見られます。

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その上で、フランスとドイツの文化交流の橋渡しにも心を砕くアンゲラーを、私は尊敬して止みません。しかも、いかにも彼らしいユーモアを忘れないところなども心憎いですねえ。

そうそう、アンゲラーといえば、“欲望製造マシーン”の別名でも知られる『Fornicon』等に代表されるように、エロ、グロ、ナンセンスなイメージも欠かせません。ちょっとブログに掲載できないような画像もあるので(爆)、この辺りでご容赦願いたいのですが。

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人間の根幹的な本能である性欲を茶化すことで、どうにもならない人の業を逆説的にえぐってみせる技には、見ているこちらの方が恥じ入ってしまうほどです。

それからもうひとつ、アンゲラーの絵本を見ていると、彼の感性が子供のそれそのものであることもわかります。彼の絵本では、ヘビやタコや泥棒など人から忌み嫌われ、社会からつまはじきにされている者がしばしばヒーローになります。彼らは絵本の世界でも、普通は脇役かせいぜい悪者に貶められるのが常ですよね。そんな者たちにスポットライトが当てられるのは、ちょうど子供がアニメの悪役に憧れてしまうのと似たような感覚ではないでしょうかね。

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影の存在に甘んじている悪役が、ひょんなことからメインストリームで活躍し、たちまち社会のヒーローに祭り上げられる皮肉。アンゲラーは、マジョリティー社会でタブー視されているものどもをことごとく可視化することで社会に挑発をしかけながら、その矛盾した実態に大きな疑問を投げかけているのです。そこに、社会からはみだしてしまった者たちへの限りない優しさと共感が込められているのは、言うまでもありません。

「すてきな三にんぐみ The Three Robbers」
「ゼラルダと人喰い鬼 Le Geant De Zeralda」
「エミールくんがんばる Emile」「へびのクリクター Crictor」
「オットー―戦火をくぐったテディ・ベア Otto」

当館内でご紹介したアンゲラーの絵本作品です。彼の絵本は、児童向けというよりは大人のための寓話。大人が読んでこそ、面白さも倍増するのでしょうし、同時に彼のメッセージを真摯に受けとることが大事だという気がしますね。そのユーモラスで奇想天外な、大胆な発想に基づいた楽しい作品の数々を通じて、皆さんも、アンゲラーという1人の作家の持つ真心を探ってみてください。

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