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zoom RSS 急がばまわれ―「ぼちぼちいこか」

<<   作成日時 : 2011/11/23 00:20   >>

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人生長いで、ぼちぼちいこや。

ぼちぼちいこか
偕成社
マイク=セイラー

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(↑サイズ小さめの愛蔵版)
「ぼちぼちいこか」マイク・セイラー作/ロバート・グロスマン絵、いまえよしとも訳(偕成社刊行)

みんな、こんにちは。ぼく、カバです。なあ、みんなは、大きくなったらなんになりたい?

ぼくは…そうやなあ、消防士がええな!女の子にもてるしな!「バックドラフト」に出てきたみたいな、かっこいい消防士になれるやろか。はしご上ってさっそうと…べきべきがっしゃーん…あ、はしごが壊れてしもうた…。なれへんかったわ。

そや、船乗りはどうやろか。「冒険者たち」のドロンとバンチュラかっこよかったなあ。よっしゃ!
セイラー服もばっちりキメて、お宝探しに船に乗り込むで!…どっぷーん…と船が沈んでしもうたし…。どうもこうもあらへん。

パイロットは?マフラーを巻いて、プロペラ機の操縦桿を握るぼく。おお、「華麗なるヒコーキ野郎」の世界や!ぼくはレッドフォードや!と思うたけど…ぶちっ…ヒコーキの前の部分だけ飛んでいったってあかんて…。

こうなったらげいじゅつ路線でいこ。バレリーナになって、花のよにステージで咲き誇ったる!気分は「赤い靴」や!とおーっジャーンプ!…どんがらがっしゃーん!…床が抜けたわ。

飛んだり跳ねたりがあかんのか。そや、「ピアニストを撃て!」があった!ピアニストになる力はあるで…ぴろりろりん…ぐわっしゃどんがっしゃ!…あかん、力ありすぎや。ピアノ破壊してもうた。


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やっぱぼくは肉体派や。アメリカ人やったら、男は誰でもカウボーイにあこがれるもんやで。「夕陽のガンマン」のイーストウッドは最高や!さ、おろしたてのカウボーイハットかぶって、馬に乗るで!…べちゃ…て、もしもし馬さん、ぼく重すぎましたか?つぶれてますよ。

スポーツ系にしよ。サーカスに入って、花形の綱渡りでござい!うふ、「地上最大のショウ」のへストンみたいやって?うれしいなあ…びよよよ〜ん…て、綱が伸びてぼく床に足ついてるよ。

オリンピックの感動を思い出せ!ぼく、飛び込みも好きなんや。今度こそ決めるで!どりゃーっ…ばっしゃーんざぶうううーん!…あの…水全部外に出てしもうたよ?…もう…いやや。

堅実にいこか。バスの運転手さんや、子供が喜ぶで。「スピード」みたいなことにはならへんよ。安全運転第一やしね。ぷっぷー、出発しますよ〜…あれ?…ぼくが重すぎてバスが前に進まへんがな!…あかんわ。

現実を見よう。タイプはたたけるから、秘書にならなれるかな。「セクレタリー」ふくよかボディ版や。待っとれよ、社長はん。このカバが華麗にタイプ打ちしたるさかい。しぱたたたた…べろーん…あ、タイプ…へしゃげてしもうたわ。

ぼくは男や!夢はでっかく持とう!「ライトスタッフ」観たとき、めっちゃ宇宙飛行士にあこがれたんや〜。さあ、今こそ果てしない宇宙に出発や!ロケットに乗り込んで、3、2、1…どどどどーん!…え?ロケットさーん、上の部分だけ飛んでいってしもうたよ。ぼくを置いて行かないで〜!

もうちょいこじんまりした夢にしよか。「ブラス!」みたいに、ブラスバンドに入ってチューバをひと吹き!ぷっぷくぷ〜うううう〜…あかん、チューバが伸びきってラッパになっちゃった。…吹きすぎやったかな。

夢を与える仕事はどうや。ぼく黙ってたけど、手品得意やねん。さ、ここにございますシルクハット。ここに…手を出してみたら…うん?あれ?…手…出えへんやんか。「マジック」もびっくりの結末や。

ああああ。なにやってもうまいこといかへん…。なあみんな、ぼくどないしたらええのんやろ。

そや。ええこと思いつくまでここらで一休み、といくか。ハンモックに寝っ転がってみよ。
…おおお…重みで木がしなるしなる。でも、ま、ぼちぼちいこか…ということや。


今をさかのぼること数年前、子供の頃から患っていた大動脈弁閉鎖不全という病のため、夫が開心手術を受けることになりました。夫は幼い頃リウマチ熱にかかり、その薬の副作用で心臓の弁が壊れてしまったということです(現在の薬では副作用は起こりません)。何年もの間、定期的に心臓の状態を診てもらってはいたのですが、人工弁 (機械弁の方)を入れるほどでもないということで、手術は先延ばしにしていたのですね。でも長男が1歳を過ぎた頃から、階段を上がるのも息苦しくなってしまい、いよいよ用無しになった弁を取り除く手術をする時期がきたわけですね。
長男を夫の両親に預かってもらい、まだまだ風が冷たい2月の初旬、夫は心臓外科手術で有名な病院に入院しました。当初の病院側の説明では、手術は2〜3時間で終わるということでしたが、思った以上に夫の心臓の状態が悪くて、人工弁を植え込む手術に優に4時間以上の時間がかかってしまいました。私は1人で付き添っていて、手術が終わるのを別室で待っていたのですが、10分が1時間にも感じられたのをよく覚えています。
幸い、執刀してくださった先生方の腕は格別でしたので、手術は問題なく成功しました。ところが、開胸し心臓にもメスが入りましたので、夫の身体のダメージがひどく、回復のための入院が10日ほど伸びてしまったのですね。同時期に同じ病で入院した患者さんが先に退院していくのを見て、夫がクサることクサること。
集中治療室から出て個室にいた頃は、私も病院に泊り込んで付き添いました。心臓の周囲に水がたまり、痛苦しくて夜も眠れない夫のために夜中に何度も背中をさすったり、歩いてトイレも行けない夫の尿をビンに取ったり…。加えて、なかなか楽にならない身体の状態に癇癪を起こしたり。
看病疲れでフラフラになっていた頃、病院の待合室で見つけた絵本がこの「ぼちぼちいこか」です。子供のために置いていたものなのでしょうが、何の気なしに手に取った私に、天啓といっても大げさでないくらいの感動を与えてくれました。
前向きにがんばってもがんばっても、ダメなときもある。だからといって焦りを感じたり不満を持ったりしてはいけない。何事にも挑戦し、努力することは素晴らしいけれども、本来それは結果を期待して行うものではないはず。思うような結果が得られなくても、それでいいじゃないか。結果至上主義の社会の中で、せわしない戦いを日夜強いられている現代人に、ちょっと立ち止まって周りを見回してみようよとさりげなく問い掛けてみる。この絵本は、毎日、立派な社会人たろう、立派な親であろうと頑張りすぎ、疲れてしまった大人達のための癒しなのですね。
夫の病気、リハビリに関しては、確かにいろいろ大変なこともありましたが、彼が無事に家族の元に生還してくれただけで充分。それに今では、彼の心臓も健康な人のそれと遜色ないほどに回復していますしね。本当に、全ての人に感謝です。

さてこの絵本は、原作がアメリカ人作家の手になるものです。当地で発売された当初も、エアブラシで漫画ちっくにデフォルメされたカバくんのユーモラスな姿、ずっこけながらも涙ぐましい努力を怠らない彼に、子供よりむしろ大人からの熱い支持があったそうです。生きるために必死に肩肘張っている大人の気持ちって、世界中どこでも変わらないのですね。
邦訳をされたいまえよしとも氏は、新しいことにチャレンジして失敗するたびに大きくなっていく、カバ君の “No!”の文字(原作)のおもしろさ、ふんわりと暖かさを感じさせる絵の雰囲気を壊さぬように、ユーモラスさを醸しだす日本語訳をあてるため、関西弁を使うことを思いつかれたそうです。お子さんに「おもろいで」の太鼓判をもらった氏は、全編関西弁を話すカバ君で、見事に日本語らしい楽しさにあふれた絵本を完成させました。
カバ君は様々な職業にチャレンジしていくわけですが、そこはそれ、腐っても映画ブログの当館らしく(笑)、その職業に関連のあるおもしろい映画も同時に絡ませてみました。ちなみに、絵本の方には映画のタイトルに関することは一切書かれていませんので、あしからず(笑)。あたりまえじゃ。

チャレンジ1:「バックドラフト」
ロン・ハワード監督
出演:カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン他
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W・ボールドウィンのフレッシュな魅力と、K・ラッセル、R・デ・ニーロ、S・グレンといったオヤジ俳優の渋さのバランスが最高。


「冒険者たち」
ロベール・アンリコ監督
出演:アラン・ドロン、リノ・バンチュラ、ジョアンナ・シムカス他
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ドロン出演映画の中でも名作中の名作。青春の代名詞的作品。


「華麗なるヒコーキ野郎」
ジョージ・ロイ・ヒル監督
出演:ロバート・レッドフォード、スーザン・サランドン他
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そうそう、レッドフォードといえば、最近サンダンス・チャンネルという、テレビ向けの新しい番組を立ち上げたとか。映画、演劇、音楽…と、エンタメのあらゆる分野の作品を網羅するものらしい。


「赤い靴」
マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督
出演:アントン・ウォルブルック、モイラ・シアラー他
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パウエル・プレスバーガーコンビ作の中でも、最良の1作。“テクニカラー”の代名詞。


「ピアニストを撃て!」
フランソワ・トリュフォー監督
出演:シャルル・アズナブール、マリー・デュボワ他
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今作をコメディーと理解していいものかどうか…。


「夕陽のガンマン」
セルジオ・レオーネ監督
出演:クリント・イーストウッド他
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今や巨匠監督となったイーストウッドが、まだギラギラしていた頃の西部劇。野獣臭さ充満。タイトルに“夕陽”とあれど、劇中に夕陽のシーンは一切なし。


「地上最大のショウ」
セシル・B・デミル監督
出演:ベティ・ハットン、チャールトン・へストン他
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サーカスを映画にしようなんて考えるのは、この監督ぐらいのものだろう。表のサーカス映画が今作なら、裏のサーカス映画はトッド・ブラウニング監督の「フリークス」か。


「スピード」
ヤン・デ・ボン監督
出演:キアヌ・リーヴス、デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック他
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暴走機関車ならぬ、暴走バス。


「セクレタリー」
スティーヴン・シャインバーグ監督
出演:マギー・ギレンホール、ジェームズ・スペイダー他
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出色なのはなんといってもマギー・ギレンホール。アメコミ映画のヒロインより、こんな妙ちきりんなヒロインを演じる方がはるかにセクシーだ。


「ライトスタッフ」
フィリップ・カウフマン監督
出演:サム・シェパード、スコット・グレン、エド・ハリス他
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宇宙版“七人の侍”。おっさん俳優好きは必見。


「ブラス!」
マーク・ハーマン監督
出演:ユアン・マクレガー、ピート・ポスルスウェイト他
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英国の経済不況と労働者階級の失業という不名誉な構図からは、皮肉にも数々の名作映画が生まれた。


「マジック」
リチャード・アッテンボロー監督
出演:アンソニー・ホプキンス、アン・マーグレット他
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何より怖いのは、物言わぬ人形ではなく、人間が身の内に飼っている孤独という名の病。


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