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zoom RSS 映画オタ一代−エドガー・ライト参上―Edgar Wright here!

<<   作成日時 : 2017/04/19 15:00   >>

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エドガー・ライト監督の「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う! The Worlds End」を映画館で見る前のこと。この作品の一つ前の作品が、ちょっとアレでソレな感じの微妙な内容だっただけに、ライト監督のコンディションをちょっぴり心配していました。ですが、「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う! The Worlds End」を見た限りでは、“ライト節”はちゃんと復活していたと思います。まあ、今作の後の「アントマン Ant-Man」では、マーベル社と創造上の意見の相違があったとかで映画完成直前に監督を降板する羽目になってはしまいましたが、現在は新しい作品『Baby Driver』が既に完成し、お披露目を待つばかりという状態。まあ、あんまり心配し過ぎないことです。彼は大丈夫ですよ。



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エドガー・ライト(真ん中で、ポーズを決めて悦にいっているのがエドガー・ライト Edgar Wright監督その人。映画「ホット・ファズ/俺たちスーパー・ポリスメン! Hot Fuzz」(2007年)撮影中の一コマ)

1974年4月18日生まれ
英国、ドーセット州プール出身

本名はエドガー・ハワード・ライト・Jr。でも愛称はEball。兄弟オスカーはアーティスト。
好きなものはアクション映画とゾンビ映画。マイケル・ベイ監督の「バッド・ボーイズU」は既にバイブル。台詞は全て暗誦できる。蛇足ながら、2009年度、久々の新作「ハートロッカー」でハリウッドを騒がせているキャサリン・ビグロー監督の名作「ハートブルー」も神棚に祭っている。誰にも内緒だが、昨年パトリック・スウェイジが他界したときには男泣きした。ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ監督はキリストより偉いと信じて疑わない。なにより映画が三度の飯より好き。
なので、好きが昂じて10代の頃から近所を舞台に映画製作に没頭。20歳で初めての作品『A Fistful of Fingers』を完成した。過去、数々の伝説的なコメディ・シリーズを生み出してきたBBCでコメディ番組の監督を任されるようになり、1996年放映の『Asylum』撮影中に運命の出会いを果たす。後々、人気を博したコメディ・シリーズ『Spaced』の脚本や長編劇場用映画の脚本を一緒に手がけることになる、俳優のサイモン・ペグと出会ったのだ。それはもう、バックに思わずフォリナーの名曲“アイ・ウォナ・ノウ”を流したくなるほどの意気投合っぷりであった。
ライト監督、サイモン・ペグにおデブのコメディアン、ニック・フロストを加えた3人で自分達が大好きなものを挙げていくうちに、自分達が大好きなものばかりで構成されたシチュエーション・コメディ『Spaced』のアイデアを思いつく。そして、オタによるオタのためのオタ満載コメディ番組が誕生した。
過去の映画の名シーンを丁寧にパロッただけではなく、そこに最大限のリスペクトとオタならではのこだわりを加味したのが『Spaced』の面白さなら、さらに細部分に至るまで考えられたストーリーラインと、小気味の良い編集、無駄にすばやいパンとクラッシュ・ズーム、キャラの立ちまくった登場人物造形で勝負を賭けたのが、「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ホット・ファズ」であろう。
フェイバリット・フィルム…つまりモロに影響を受けまくっている作品…に、「赤ちゃん泥棒」、「ラン・ローラ・ラン」、「ダーティー・ハリー」第1作目、「レイダース/失われたアーク(聖櫃)」、「ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌」、「死霊のはらわた」、「続・夕陽のガンマン」というラインナップを挙げているライト監督の本領がついに発揮されるのが、サイモン・ペグとニック・フロストを主演に据えて映画界に殴り込みを賭けた2つの劇場用長編映画、つまり上記したパロディ新世代映画だったのである。さらに蛇足ながら付け加えると、ライト監督のお気に入り映画リスト7作品のうち、「ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌」以外は全て私のお気に入りリストとほぼ被っている状態である。


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「ショーン・オブ・ザ・デッド Shaun of the Dead」(2004年)
ロメロ・ゾンビ映画に最大限のリスペクトを払い、“〜オブ・ザ・デッド ....of the Dead”作品群の伝統を頑固に守りつつも、多分今のロメロ御大には絶対に出せない新鮮な味わいが秀逸であった、ゾンビ新解釈映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」。ゾンビの設定、造形は古風ながら、むしろ“ゾンビ”以外のストーリーラインを明確に描くことに力を注いだ結果、英国らしいウェットなストーリーにゾンビというモチーフが絡んで、それが予想外の方向に流れていくという面白さが受け、英国のみならず世界中に散らばる映画オタ達に支持されてスマッシュ・ヒットを記録した。この作品を観た英国の名優ジム・ブロードベントが、『次の映画にオレを出せ』とライト監督に自ら売り込みをかけた逸話は有名だ。単なるロメロのコピーに終わらず、ゾンビとコメディとラブストーリーを奇跡的にうまく合致させることに成功したのである。個人的に良いと思ったのは、ラストのオチ。ヘビーで悲劇的な流ればかりの“〜オブ・ザ・デッド”作品群の中でも、“その手があったか”的な爽やかな〆は気が利いている。
ライト監督とペグには、揃ってロメロ御大の本家ゾンビ作品「ランド・オブ・ザ・デッド」に“ゾンビ役”でカメオ出演するという、嬉しいスペシャル・ボーナスが待っていた。気合を入れてゾンビ・メイクを施したせいか、どのシーンに本人達が出ているのかさっぱりわからないのが玉に瑕。

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「ショーン・オブ・ザ・デッド Shaun of the Dead」の成功は、ライト監督とペグのクリエイティヴ・チームに、選択肢と可能性を広げさせた点で大いに役に立った。しかし反面、「ショーン〜」を超える作品を創らねばならないという新しいプレッシャーをも彼らにもたらすことになる。敬愛すべき映画バカ(褒め言葉)として有名なライト監督とペグではあるが、彼らが製作に向かう態度は真摯かつストイック。テレビ・ショー「Spaced」の単なる延長線上で「ショーン〜」を製作しなかったことからも、それは明らかである。過去の作品からの引用をどのタイミングで、どういった形で取り入れるのか、彼らの脚本の組み立ては実は精緻を極めているのだ。

自分が大好きな過去の作品からその映画言語を引用し、そこに思い込みの激しいオレ的新解釈を付加して、新たな映画言語を創りだすといった手法は、「レザボア・ドッグス」で鮮烈なデビューを飾ったクウェンティン・タランティーノ監督(愛称タラちゃん)によって、既に手垢がつけられている。にもかかわらず、この愛すべき映画バカ、ライト監督をタラちゃんとは区別して“引用と応用新世代”とカテゴライズしたいのは、この“脚本の組み立て方”を大いに評価してのことである。てめえの好きなものをただダラダラと垂れ流すだけでいいなら、ド素人にもパロ映画は撮れる。しかし、それを商業ベースに乗せるには、素人にはできないプラスαが必要だろう。ライト監督には、単なる“パロディ映画”以上の映画を撮れる才能があるからこそ、私も彼の“次の作品”に期待を寄せてしまう次第だ。


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「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン! Hot Fuzz」(2007年)
「ショーン〜」に新鮮な驚きを感じた多くの観客には、概ねあまり評判のよろしくない2作目「ホット・ファズ Hot Fuzz」。ちなみに日本では、今作の劇場公開を実現するために、熱心なファンによる署名活動まで起こったという感動的な逸話が残されている。おそらく、そういった“前振り”が大々的に取り上げられすぎたのだろう。観客の側の作品への期待値が跳ね上がり、結果として“な〜んだ”的な反応を導いてしまったのではなかろうか。私は劇場公開2日目に観に行ったが、客の入りは上々、またそのリアクションも頗る良いものであり、他の観客達と今同じ映画を共有しているという感覚を久しぶりに味わったものだ。
「ホット・ファズ」では、キアヌ・リーブズ主演、キャサリン・ビグロー監督の名作「ハート・ブルー Point Break」と、マイケル・“トランスフォーマー”・ベイ監督の「バッド・ボーイズ2バッド Bad Boys U」を大々的にフィーチャーしている。いずれも、ライト監督が好きで好きでたまらない作品だ。“この2作品のようなポリス・アクション・ムービーを自分も撮りたい!”という一念で、ライト監督は知恵を絞る。そう、この、どこからどうみてもイッツ・オール・アメリカンなアクション・ムービーを、いかに自然に英国に移植するか、今作の成否はその一点にかかっていたからだ。

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そのため、“英国産後味の悪い映画”選手権では必ず上位に上がってくる作品「ウィッカーマン The Wicker Man」(1973年の方。後年ニコラス・ケイジがリメイクしたが、オリジナルとは比較の対象にもならない出来。未見の方にはオリジナルの方を強くお勧めする)のモチーフを引っ張り出し、大都会ロンドンで華々しく活躍していた優秀な警官(あのニコラス・ペグが肉体改造に励んで熱演)を風光明媚だが辺鄙なド田舎に放り込んだ。警官としては超優秀でも、頭でっかちで私生活は味気ない刑事という、ポリス・アクションものではありがちな設定でもって、彼と慣れない環境との間に起こるカルチャーギャップで、まずは軽くジャブ。次に、何も起こらないのどかな田舎だと思われていた町に、実は恐ろしい陰謀が隠されていることを暗示しつつ、それに主人公以外誰も気付かないという、やはりポリス・アクションものではありがちな“孤立無援”の状態を作り出す。そんな中で、孤独だった主人公に唯一無二のバディができ、そのバディによって主人公自身の内面も変わっていくという、やっぱりポリス・アクションものではありがちな起承転結の“転”を本編に絡ませる。もちろんラストは、巨悪に1人で立ち向かう主人公と、彼に感化された仲間達が圧倒的に不利な状況で激戦を繰り広げる…という、ポリス・アクションものではもはや定番のカタルシスで結ぶ。

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本編を盛り上げるのは、今作ではあちこちに仕掛けられた“ギャップ”の演出である。風光明媚な田舎の美しい風景と、ライト監督御得意のエグいショック・シーンの連打という“ギャップ”。ベテラン俳優達を多数起用したことによるリアルで重厚な演技のアンサンブルと、彼らの演じるキャラクターの実像とのすさまじい“ギャップ”。特に、元はといえば007でもあった名優ティモシー・ダルトンに醜態演技をさせたライト監督の勇気と、やる気満々でそんな演技をやってのけたダルトン御大のお茶目に感心すべきだろう。もちろん、ダメんずを演じて味わい深かったサイモン・ペグを、非の打ち所のないスーパー・コップに仕立ててしまった先入観との“ギャップ”もありだ。今作の面白い点のひとつは、こうした一般の先入観とそれを覆す現実とのギャップが、物語を引っ張る伏線としてうまく機能しているところだ。

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結論として、私自身は今作を「ショーン・オブ・ザ・デッド」以上に楽しんだわけだが、きっとそうは思っていないだろう世間様のために、もう一度念押ししておく。今作は、「ショーン〜」よりも一層、過去作品からの引用と転化が巧妙になっていると断言できる。主人公の相棒を、まるでライト監督のアルターエゴのごときポリス・アクションものオタ野郎にすることで、「ハート・ブルー」と「バッド・ボーイズU」のモチーフを臆面もなく前面に押し出すことに成功しているのだ。前者の主人公キアヌ・リーブズの役柄をペグのキャラクターに投影し、後者の“バディ”の醍醐味をペグとその相棒ニック・フロストの関係に遺憾なく発揮、この2作品のアクション・ストーリーを英国の土壌で違和感なくトレースする結果となった。また、本編を助ける小技のギャグも気が利いているが、あくまでも本編は本格志向のサスペンスに焦点が結ばれているのがいい。他作品からの引用を、新たな“オリジナル言語”に転化出来ていると思う。

きっとタラちゃんも同じことを考えたに違いない。自身の盟友ロバート・ロドリゲスとのコラボ作品「グラインドハウス Grindhouse」で、フェイク・トレーラー“Don't”を作らせたのだから。“引用と応用は芸術だ!”クラブへようこそ、というわけか。

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“冴えない風貌”であることが必須条件であったとはいえ、俳優が本職のサイモン・ペグ(画像向かって右側)とニック・フロスト(画像向かって左側)より監督の方がマトモなルックスとは、これ如何に。3人並ぶとルックスの差がいやが上にも強調され、なんとも切ない気分にさせられる。そのせいかどうか、ライト監督、歌手のシャーロット・ハザレイ嬢をだまくらかして(笑)交際していたことがあったという。

●フィルモグラフィー

2017年『Baby Driver』
2013年「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う! The World's End」
2010年「スコット・プルグリムと邪悪な元カレ軍団 Scott Pilgrim vs. the World」
2007年「グラインドハウス Grindhouse」内のフェイク・トレーラー「Don't」
2007年「ホット・ファズ Hot Fuzz」
2004年『Straight 8』TV
2004年『The Man Who Would Be Shaun』(V)
2004年『Funky Pete』(V)
2004年「ショーン・オブ・ザ・デッド Shaun of the Dead」
2004年『Fun Dead』(V)
1999年〜2001年『Spaced』TVシリーズ
1999年『Sir Bernard's Stately Homes』TVシリーズ
1998年『Murder Most Horrid』 TVシリーズ
1998年『French and Saunders』TVシリーズ
1998年『Merry-Go-Round』TVシリーズ
1998年『Is It Bill Bailey?』TVシリーズ
1996年『Asylum』TVシリーズ
1996年『Mash and Peas』TVシリーズ
1995年『A Fistful of Fingers』


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