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zoom RSS 「FAIK ID」と「パートナーズ」の関係

<<   作成日時 : 2011/04/04 23:19   >>

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ストレートの人達に贈る、“クローゼット”からの素敵な脱出方法指南。

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「FAKE ID フェイク アイディー」(未)(2003年製作)
監督:ギル・D・レイエス
製作:ギル・D・レイエス&スチュアート・ペレルミューター
脚本:ギル・D・レイエス&スチュアート・ペレルミューター
撮影:ポール・カーニー&サム・ベリー
出演:スチュアート・ペレルミューター(デイヴィッド)
ブライアン・グリゴル(エリック)
ニーナ・バーンズ(ローレン)
マーク・フィッシャー(ブレントン)
ジェイソン・デッカー(マックス)
マイケル・シリル・クレイトン(マイキー)
エイジア(イーヴル・キャンディー・ジョー)他。

大学の演劇科で学ぶことを目指す高校生コンビ、デイヴィッドとエリックは親友同士。彼らはデイヴィッドの叔母の家に居候しながら、地元の素人演劇集団に属している。ところがこの連中、女の子のローレンを除いて全員がゲイ。ストレートであるデイヴィッドとエリックは、劇団の中でも仲良しの、マイキーとマックスのカップル(♂♂)にいつもからかわれている。
ところが、ある日のパーティーの席上、エリックは同じ劇団のハンサム青年ブレントンに恋しているとはっきり自覚してしまう。エリックは悩んだ末、同性に惹かれている事実を親友に告白する。いかなゲイ・ピープルに囲まれて暮らしているとはいえ、デイヴィッドは親友の突然のカミングアウトにとまどい、ついに己の性癖がどっちを向いているのかわからなくなってしまう。混乱の果て、彼は自分もゲイに違いないと思い込み、立派な(?)ゲイになるためマイキーとマックスのカップルにゲイ指南を受けるがうまくいかない。自分に失望したデイヴィッドは、夜の歓楽街をさまよう。しかし一方では、彼とエリックの大学の入学試験の刻限が迫っていた…。

完全なるインディペンデント作品であり、スタッフもキャストも皆無名の人間ばかり。そのせいかどうか、全体的に素人臭い作りになっているのが難点なんですよね。予算がないのは理解できるにせよ、カメラ・ワークから編集から音楽から演技から、どれをとってもスムーズではなく、なんだか映画科の学生の卒業制作を見せられている気分になります。まあ逆に、いかにもカルトっぽくて面白いともいえるのですが。
しかしながら、描こうとするテーマはかなり斬新で、好感が持てるもの。ひょっとすると、監督レイエスと共同で脚本執筆、製作もこなしているデイヴィッド役のペレルミューター自身もゲイかもしれませんね。なぜなら、これほどまでに“ゲイのカミングアウト”をネタに、キッチュなお笑いを追及した作品もそうないですから。
夢想癖のあるデイヴィッドが見る白昼夢として、ゲイの演劇仲間を迫害に来た街の悪ガキどもを、親友エリックと一緒にやっつけるというシーンがあります。その際彼らはスーパーヒーローに変身し(しょっぼいタイツ姿で)、ゲイの仲間たちを守るわけですね。普通の映画なら、のされてしまうのは逆にオカマたちであるところ、この作品では全く逆。こんな調子で、価値観や常識、すべてにおいてこの作品では通常の真逆の設定になっているわけです。つまり、この作品の世界では、異性愛が異常で同性愛が正常。だからデイヴィッドは、親友エリックの方向転換(カミングアウト)を機に、逆に焦るわけですよ。自分は本当はゲイなのに、それを理解できてないだけなのでは?ってね。彼がなんとかゲイの仲間入りをしようと、涙ぐましい努力をするシーンは結構笑えます。マイキーとマックスのゲイ・カップルに弟子入りして、歩き方、ポーズのとり方、おしゃれの仕方を学んだり、生まれて初めてゲイ・バーに入って、隠れゲイの男にナンパされそうになったり。デイヴィッドは真性ストレートなんですが、それを認めてしまうと、自分が芸術家ではないような気がして逆に落ち込んでしまうだなんて、ホントのゲイでないとわからない、そのあたりの細かいニュアンスが新鮮に感じられましたね。
いろいろ努力(笑)したけどやっぱりボクはストレートだ、とデイヴィッドが己の性嗜好を認めるところで大団円。ゲイだろうがストレートだろうが、“自分らしくあるのが一番!”という普遍的な結論に至って、なかなかさわやかな後味。

劇中、おそらく本職とおぼしき(笑)ドラァグ・クィーンが、イーヴル・キャンディー・ジョーという迫力オネエ様を演じて強烈でした。デイヴィッドを探すローレンに向かって、『アンタ、もっと胸を上げて腋毛も剃らないと女に見えないわヨ!』と喧嘩売るとこなんか生々しくてね。ドラァグ・クィーンたちから見た女性って、一体どんな風に見えるのかしら。生まれつき“女”であることにあぐらをかいて、いろんなことを忘れてしまっている私達を、辛らつなまなざしで見つめているんでしょうかね。

そうそう。タイトルの“フェイクID”とは、未成年であるエリックが酒を買ったり夜遊びしたりするために持ち歩いている、偽の身分証のこと。転じて、自分をゲイだと思い込み、必死にゲイぶろうとするデイヴィッドの行動を指して“フェイク”と呼んでいるわけです。ダブル・ミーニングですね。
それから、カミングアウトするエリック役の役者さん、Il Divoのデイヴィッドにちょっぴり似てたんですぅ♪妙にうれしくなりつつ鑑賞させていただきました(笑)。
画像


さて、セクシュアリティをネタにコメディ映画を作るのって、案外難しいものなのです。そこに内包されるデリケートな問題に触れずにはおれないからですね。今回「FAIK ID」を観ていて思い出したのが、「パートナーズ」という映画です。ジョン・ハートとライアン・オニールが、犯罪捜査のためにゲイ・カップルを装うというコメディ作品ですね。



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「パートナーズ」(1982年製作)
監督:ジェームズ・バロウズ
脚本:フランシス・ヴェベール
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ライアン・オニール
ジョン・ハート
ケネス・マクミラン他。

オニールは根っからのストレート男、でもハートの方は実はゲイであることをひた隠しにしていた男でした。なんの因果か、オニールが捜査のためにゲイ・コミュニティーに潜入しなければならなくなり、その隠れ蓑として、ハートと同棲することになったわけですね。オニール自身、ゲイに対する偏見を捨てきることができず、当初こそ2人の関係はぎくしゃくするのですが、捜査を通じて彼らの間には本物の絆が芽生えてきます。まあ要は、数ある“バディもの”映画の変形版ですよね。最初にビデオでこの作品を観た時には、劇中にて紹介される80年代ゲイ・カルチャーの熱気に圧倒され、加えてハートの素敵なオネエ様っぷりに惚れたものでした(笑)。しかしながら今観返してみると、せっかくのフランシス・ヴェベールの脚本(「Mr.レディMr.マダム」シリーズ)を生かしきれていないと感じましたね。脚本の中には含まれていたであろう、セクシュアリティをネタにしたデリケートなお笑いが、映像に全くといっていいほど反映されていないのです。ありきたりの刑事もののストーリーを斬新に見せるためだけに、ゲイというツールを持ってきたにすぎないのでしょう。ハートの演技がやたら真に迫っていただけに、ちょっと残念な仕上がりでしたね。

つまり、コメディのテーマにセクシュアリティの問題を選択する際には、品のない下ネタに走るだけではダメでして、作り手の側に、どんなセクシュアリティにもニュートラルな姿勢で対峙することが要求されるのです。加えて、対象となるものを深く理解する能力も。お笑いを創造するのは簡単な作業ではないと言われる所以ですね。そこには相当の知性が必要とされますが、こと、セクシュアリティに関しては、ゲイだろうがストレートだろうがバイセクシュアルであろうが、1つの社会の中に共存する運命共同体だと理解する寛容さも重要。それは、普段から私たちが身につけておかねばならない知性の在り様だとも言えます。


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