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zoom RSS 「ヤコブと七人の悪党」―ガナディ・スピリンGennady Spirin

<<   作成日時 : 2014/02/22 22:06   >>

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さて、マドンナの書いた児童書として世界的に話題になった5冊の絵本のうち、「ヤコブと七人の悪党」の挿絵を担当したのが、ガナディ・スピリンというイラストレーターです。


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ガナディ・スピリン Gennady Spirin

1948年12月24日、奇しくもクリスマスの日、モスクワ近郊の街で生まれる。モスクワの美術学校で伝統的な細密画の手法を学んだあと、イラストレーターとして独立。児童書の挿絵を描き始めたのは1979年からで、以来33冊にも及ぶ児童書を手がけている。そのイラストは、他とは一線を画する完璧な構成力、緻密な描き込み、水彩画の特性を生かした繊細な色合いといった特徴を持ち、既に“イラスト”の域を超え、ルネサンス絵画の重厚さと芳醇さを有する。
活動の拠点はアメリカであり、全米イラストレーター協会から4度に渡って金賞を授与されている。また、ブラティスラバで開催されたインターナショナル・ビエンナーレではゴールデンアップル賞を、バルセロナのインターナショナル・ビエンナーレではグランプリを獲得している。書籍の見本市として有名なボローニア国際ブックフェアでも、1等に選出されたこともある。現在は、妻と3人の子供達と共にニュージャージーに在住。

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(「Little Mermaid」からの挿絵)

とにかくこの人の絵は、緻密の一言に尽きるのですよ。背景描写も人物造形も、その鉄壁の筆力に裏打ちされた、華麗で瀟洒な画風です。基本は水彩ですので、細かいところにまで繊細な色付けが施されており、その微妙なる風合いは、紙に印刷されてもいささかも減じないのですから、ただただ驚くばかり。本当に、イラストというより、ひとつの芸術作品として完全に独自の世界を確立しているのですね。
「ヤコブと七人の悪党」でも、ルネッサンス期の絵画を思わせる華麗な装飾絵がぎっしり詰め込まれています。他の作品でも顕著なのですが、挿絵だけではなく文章の部分にも、そのページの主たるテーマをシンボライズするイラストが、美しい装飾絵と共に描かれています。ページの隅から隅にまで神経を行き届かせた、スピリンならではの高度な完成度を誇っていますね。
特にいいと思うのは、彼の描く悪党たちの表情。どれも、文章で説明される以上に生き生きとした輝きに満ちていて、各人の性格を如実に伝えてくれます。スピリンが挿絵を担当した作品では、彼が描く絵を見るだけで、そこでどんな物語が進行しているか一目瞭然なのですよ。見つめていると、今にも意思を持って動き出しそうなほどの質感を持った挿絵は、あまり他に例を見ませんね。
こればかりは、ぜひ一度実際に手にとって見ていただくしか、伝えることのできない実感です。今アマゾンで手に入る彼の作品の中で、個人的に好きなものをピックアップしてみました。いずれも洋書で、文は全て英語なのですが、内容はよく知られた民話や伝説ですので、英語がわからなくてもあまり問題ありません。


The Crane Wife
Sandpiper
Odds Bodkin

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「The Crane Wife」(ハードカバー)
Odds Bodkin (著), Gennadii Spirin (イラスト)
日本の民話「鶴の恩返し」を英語に翻案した絵本ですね。白を基調としたスピリンの緻密なイラストが、なんとも幽玄な世界を構築しており、思わず絵に見入ってしまいます。外国人の目から見た古い日本の光景が奇異に映らないのは、ひとえにスピリンの極細密画のおかげです。


Perceval: King Arthur's Knight of the Holy Grail
Marshall Cavendish Corp/Ccb
John Perkins

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「Perceval:King Arthur's Knight of the Holy Grail」(ハードカバー)
John Perkins (著), Gennadii Spirin (イラスト)
アーサー王と円卓の騎士の伝説に題材をとった絵本です。中世の物語の挿絵を得意とするスピリンの独壇場といったところ。騎士達のまとう甲冑ですらエレガントな輝きを放っています。


The Tale of The Firebird
Philomel
Gennady Spirin

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「The Tale of the Firebird」(ハードカバー)
Tatiana Popova (著),Gennadii Spirin (イラスト)
ロシアに伝わる民話を、ロシア出身の作家とスピリンが絵本に仕立てました。ロシアの物語には、やはり彼の得意とする“ロシアの伝統的緻密画法”がよく似合うのでしょう。王宮の内外を表す金色主体の挿絵、主役となる火の鳥の輝き、王宮の人々が着飾る賢覧豪華な衣装のまばゆさ、どれをとってもため息ものです。


The Story of Noah and the Ark: According to the Book of Genesis : From the King James Bible
Henry Holt Books for Young Readers
King James Bible

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「The Story of Noah and the Ark:According to the Book of Genesis:From the King James Bible」(ハードカバー)
King James Bible (著), Gennadii Spirin (イラスト)
ノアの箱舟の説話を絵本にした作品です。ノアとその息子達がこしらえた箱舟の中に迎え入れられた動物たちの表情がいいですね。スピリンの描く老人の顔は、いずれも味わい深いのですが、このノアも素晴らしい。深く刻まれた皺の奥に、固い信念と正直さと誠実さが詰まっているのがみてとれます。


The White Cat: An Old French Fairy Tale
Orchard Books
Robert D. San Souci

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「The White Cat: An Old French Fairy Tale」(図書館)
Robert D. San Souci(著),Madame D. Aulnoy(著),Gennadii Spirin(イラスト)
全ての猫好きの方に贈ります(笑)。
フランスに伝えられる民話を、1698年に初めて本にしたMadame d'Aulnoyの原作を基に上梓されました。
3人の王子が、魔女の手に落ちた王国を取り戻すために冒険の旅に出ます。末っ子の王子は1匹の白猫を助け、白猫はそのお礼に王子の手助けをすることに。彼らは協力して魔女を倒し、白猫にかけられていた魔法も解けました。美しい娘の姿に戻った猫と王子は結婚し、末永く幸せに暮らしたということです。
対象年齢が4歳から8歳ということですが、全て英文ですので、中身を読むのは面倒かも知れません(笑)。ですが、スピリンの絵の美しさは猫の描写にまで及んでおり、この物語を瑞々しくよみがえらせることに寄与していますね。


Gulliver's Travels (Gift books)
Hodder Wayland
Jonathan Swift

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「Gulliver's Adventures in Lilliput」(Gift books)
Ann Keay Beneduce(著),Jonathan Swift(著),Gennadii Spirin(イラスト)
おなじみ、ジョナサン・スウィフト作「ガリヴァー旅行記」の第一篇“リリパット国渡航記”の絵本版ですね。小人国リリパットの人々からみたガリヴァーは、途方もない巨人だったというお話です。ガリヴァーの経験する奇想天外な冒険譚が、スピリンの情報量の多い緻密な絵によって目の前にリアルに再現されます。


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