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zoom RSS 調和と情熱―ベルナール・ラップ Bernard Rapp

<<   作成日時 : 2017/05/19 19:40   >>

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“監督の仕事は、スタッフとキャストの仕事の全てをうまく調和させること。調和こそがいい作品の条件だと思っている。そして僕の作品のスタッフは、それぞれが自分の仕事だけではなく、常に作品全体に神経をいきわたらせていたんだ”

harmonie et passion

画像

ベルナール・ラップ Bernard Rapp

1945年2月17日生まれ―2006年8月17日没
フランス、パリ出身

大学でジャーナリズムを学んだ後、ル・モンド紙の記者としてラテン・アメリカの国際政治欄を担当した。1976年にテレビ局に移り、海外特派員として5年間国際情勢を取材。その後2年間、祖父の祖国である英国に駐在する。フランスに戻ると、夜8時から始まるニュース番組のメイン・キャスターを5年間務めた。その後は裏方にまわって、テレビ番組の制作を手がける。フランスで高視聴率を稼いだ大ヒット・テレビシリーズ『イギリス風のお皿』を手始めに、数々のヒット番組を世に送る。1995年1月1日から2000年1月1日まで放映されたドキュメンタリー番組『Un siecle decrivains』では、20世紀に生きた優れた作家達を世界中から選りすぐり、毎週1人ずつその生き様と作品にスポットライトを当てていった。この非常にユニークな企画の監修と司会を務めた彼は、テレビ界で高い評価を得ることになる。
テレビ番組制作の傍ら、6年間の歳月を費やして、1万 1000本に上る映画を網羅した映画大辞典を上梓。内容の充実度と信頼性を評価され、映画界で監督になる道が開ける。

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プロデューサーの依頼で脚本を執筆していたところ、“本が人を殺す”というユニークな着想をもった小説「私家版」に出会い、即座に映像化する決意を固める。映画化権を取得後、自ら脚色し、リシャール・モルジエーヴと共同で台詞を書いた。フランス映画界では、シナリオ執筆者とセリフ執筆者が異なることが多いが、ラップの映画監督デビュー作もセリフは別の脚本家の協力を仰いだ模様。英国の出版界が背景となるため、キャスティングもテレンス・スタンプやダニエル・メズギッシュ、マリア・ド・メディロスなど、国際色豊かな顔ぶれとなった。こうして完成した、ハイセンスで知的で、クールなミステリー作品「私家版」(1996年製作)は大評判を呼ぶ。
4年後、かつて『Un siecle decrivains』で取り上げた作家フィリップ・バランのベストセラー小説を映像化。地味ながら実力のあるキャストを集め、またもスリリングで官能的なサスペンス映画を作り上げた。それが「趣味の問題」である。作品が2000年度のフランスコニャック国際ミステリー映画祭に出品されると、審査委員であったブライアン・デ・パルマの絶賛を浴び、彼の強力な後押しでグランプリをはじめとする3部門で賞を獲得した。ちなみに当映画祭で審査委員長を務めていたのは、オリバー・ストーンである。

●フィルモグラフィー

2004年『Un petit jeu sans consequence』
2003年『Pas si grave』
2002年『L'heritiere』 (TVムービー)
2000年「趣味の問題Une Affaire de Gout」
1996年「私家版 Tire a part」


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1996年「私家版 Tire a part」
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端正で抑制の効いた演出には、危うい領域にまで足を踏み入れる狂気じみたミステリー、サスペンスがお似合いでした。今後も一層その作風に磨きをかけてくれるものと期待していましたが…。残念ながらラップ監督は、2006年8月17日にガンのためパリにて急逝。享年61歳でした。本当に本当に、言葉にならないほど残念です。
あふれる知性と情熱、鋭くもどこか暖かい共感をもって観察される人間性への並々ならぬ洞察力。彼の作品からは、彼の歩んできたそれまでの人生で積み重ねられた教養や、人間存在そのものへの興味と理解が大きく感じられます。また、映画のみならず、芸術全般への深い造詣があるからこその格調高い演出には、1人の映画作家として既に熟成された魅力も感じられました。

作品の体裁は知的なミステリー、あるいはサスペンスでありましたが、最終的にあぶりだされるテーマは、やはり現代人の抱える闇であったと思われます。インテリで洗練され、それなりの社会的地位についている人間にこそ忍び寄る、孤独という名の癒しがたい病。私家版を使って、過去に失った最愛の人の仇を討とうと完全犯罪を目論む編集者(「私家版」)も、1人の美青年に自分と全く同じ知覚を持たせようと画策する実業家(「趣味の問題」)も、最後に対峙するものは、おそらく自身の中に巣食う孤絶感であったと思われるのです。己の知性を武器に、実は自らの不毛と戦っていた彼らは、その戦いの果てに何を見ることになったのか。それを知っていたであろうラップ監督の彼らへの視線は、一見距離を置いているようでありながら、本当のところ限りなく暖かいものであったと思うのです。


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