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zoom RSS 女性が生きること−ニキ・カーロ(Niki Caro)

<<   作成日時 : 2017/02/17 09:49   >>

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急遽再アップします。ニュージーランド出身の監督ニキ・カーロ(ジェシカ・チャステイン Jessica Chastain主演のドラマ『The Zookeeper's Wife』が公開間近。実はこれ、以前から楽しみにしていた作品です)が、ディズニーによる壮大なライフワーク“ディズニーの名作アニメーション作品群の実写映画化”企画に参戦することが明らかになりました。正式決定とみていいでしょうかね。彼女が実写化に着手するのは「ムーラン Mulan」。中国が舞台、アジア女性がヒロイン。今現在、色々な製作会社が人種の多様化を目指している状況下で、この企画は遅かれ早かれ陽の目を見ることになるだろうと思っていましたが、私自身の予想より早い実現となりました。

ただ、アジアにも優れた女流監督はたくさんいますので、可能ならばアジア出身の女流監督に任せてほしかった企画ですけどねー。


では、ニキ・カーロ監督についての簡単なバイオグラフィーと、彼女の作品の中では一番好きな「クジラの島の少女 Whale Rider」(2002年)のレビューをどうぞ。

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ニキ・カーロ Niki Caro

1967年生まれ
ニュージーランド、ウェリントン出身

オーストラリアで映画製作を学んだ後、ニュージーランドに戻ってテレビ番組の制作、監督に携わる。2002年製作の「クジラの島の少女 Whale Rider」でメガホンを取り、商業用映画監督としてデビューを果たした。同作では、女性が男性優位社会において苦闘する様を瑞々しい映像の中に描き、世界的に名を知られることになる。その後、シャーリーズ・セロンのラブ・コールに応え、炭鉱の町で実際に起こった大規模なセクハラ訴訟事件を映画化した作品「スタンドアップ North Country」を監督した。同作では、主演のセロンと助演のフランシス・マクドーマンドに、オスカー・ノミネーションをもたらしている。

●フィルモグラフィー Filmography

2018年『Mulan』(pre-production)
2017年『The Zookeeper's Wife』
2017年『Anne』(TVシリーズ)
2017年『Callas』
2015年『McFarland, USA』
2009年「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語 The Vintner's Luck」兼脚本(製作・公開は2009年だったが、日本での劇場公開は2010年に入ってからだった)
2005年「スタンドアップ North Country」
2002年「クジラの島の少女 Whale Rider」兼脚色
2001年『Mercy Peak』(テレビシリーズ)(未)兼脚本
1997年『Memory & Desire』兼脚本
1994年『Sure to Rise』兼脚本



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「クジラの島の少女 Whale Rider」(2002年製作)
監督:ニキ・カーロ
原作:ウィティ・イヒマエラ『Whale Rider』
脚色:ニキ・カーロ
撮影:レオン・ナービー
音楽:リサ・ジェラール
出演:ケイシャ・キャッスル・ヒューズ(Paikea)
ラウィリ・パラテーン(Koro)
ヴィッキー・ホートン(Flowers)
クリフ・カーティス(Porourangi)他。

ニュージーランドの浜辺の村に暮らすマオリ族には、クジラに乗って島に上陸し、一族の繁栄の礎を築いたという勇者パイケアの伝説が今も生きている。一族は以来、代々男を族長に据えてきたのだ。
現在の族長コロ(パラティーン)の息子ポロランギ(カーティス)は、妻との間に男女の双子をもうけた。コロは喜び、男子の方に伝説の英雄と同じパイケアの名をつけることにした。ところが、その男子は間もなく母と共に亡くなってしまう。ポロランギは悲しみのなか、思いをこめて女子に英雄の名をつける。もちろん族長コロの激怒を買うが、ポロランギの決意は変わらない。彼は古い因習にとらわれる父コロに反発し、住み慣れた故郷を離れていく。
一方、コロの元に残された少女パイケア(ヒューズ)は、賢く、また美しく成長していく。コロは孫娘としての彼女には深い愛情を注いだが、彼女が勇者の名に恥じぬよう、男の子に混じって武術を学ぶのは固く禁じた。
パイケアはマオリ族の歴史や文化を学び、その誇りを心のうちに育んでいく。そして、祖父の後継者たらんことを密かに決意し、なんとか大好きな祖父に自分の能力を認めてもらおうと奮闘する。しかしどうしてもコロには、パイケアを後継者として受け入れることができない。
パイケアが12歳になったとき、故郷を離れ外国に発って行った父ポロランギが村に戻ってくる。コロとポロランギは後継者問題について話し合うが、ポロランギはすでにドイツでアーティストとして成功しており、今更族長になる意思はなかった。
苦渋の決断として、コロは村の中の12歳になる少年達を集め、後継者を決定するためのテストを行う。最終テストは、海に投げ入れたクジラの歯の首飾りを取って戻ってくるというもの。しかしこれに合格する少年は誰もいなかった。いよいよ気落ちするコロ。パイケアは海に飛び込み、苦もなく首飾りを取ってくる。コロは内心パイケアの能力を認めてはいたが、代々の伝統を踏みにじることはできない。パイケアが後継者としての能力を示せば示すほど、彼は不機嫌になるのだ。コロの葛藤を知る祖母フラワーズ(ホートン)は、パイケアの取ってきた首飾りを黙って預かった。
ある日、クジラの大群が浜に打ち上げられる。コロは、後継者が絶えてしまったことによる、一族の終焉の暗示ではないかと恐れる。そしてクジラたちを海に返そうと躍起になるが、彼らはぴくりとも動かない。そのときパイケアが進み出て、クジラたちを優しく慰撫した。彼女がそのうちの一頭にまたがると奇跡が起こる。なんと、クジラが海に向かって泳ぎ始めたのだ。クジラはパイケアを背中に乗せたまま海に戻っていく。あとに続いてすべてのクジラが海に帰る。パイケアは海に沈んでいったが、無事引き上げられた。この光景を見守っていたコロは、パイケアを後継者として認め、二人はようやく心から分かり合えたのだった。

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日本でこの作品が公開された際、日本のアニメの世界で好んで用いられるモチーフ的な捉え方をされていたようです。神話の世界から続く一族の伝統を新しい形で引き継ぐ少女、というプロットだったからでしょう。しかし実際作品から受ける印象は異なるものでした。
時代の流れと共に伝統の存続が危うくなったとき、マオリ族の長たるコロは、あくまで旧来の因習―族長は男子が継ぐものとする―を捨てることができず苦悩します。一方、新しい長になる義務を負うはずの息子ポロランギは、広く外の世界に己の道を求め、生まれ育った伝統とは距離を置こうとするのですね。物語は、このコロに象徴される旧世代と、ポロランギが象徴する新世代の対立という構図をベースに進みます。そこに、本来なら『伝統の存続』とは無縁のはずの少女パイケアが現れ、旧世代と新世代の大人たちそれぞれに深い影響を与えながら、成長の階段を上っていきます。最終的には、彼女が新しく伝統を担う者となり、旧世代と新世代を和解、融合させることにもなるわけです。
少女パイケアが、その秘めたる力をコロに認められるまでの苦闘は、続くカーロ監督の作品「スタンドアップ」にも通じます。男性優位社会で生きる女性は、その時代や場所を問わず不変のテーマを持ち続けているのですね。

ストーリーとしてはいたってオーソドックスなこの作品を、力強く印象的なものにしているのは、なんといってもニュージーランドの大自然です。映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのロケ地として一躍有名になったニュージーランドですが、画面上に映し出される手付かずの自然の美しさは、やはり言葉を失うほど。カーロ監督の、ニュージーランド人としての誇りと自信が垣間見られるような気がします。神話の時代から人間の営みを見守ってきたであろう、偉大なる自然を前にしては、人生の葛藤などほんの些細なことに過ぎないと思えてしまいますね。
欲を言うならば、マオリ族の神話の象徴であるクジラの存在をもう少し具体的に語ってほしかったという不満もあります。そうすればクライマックスのパイケアの”Whale Rider”のシーンが、単なるファンタジーを超えて現代の神話として確立し得たと思いますので。
でもそうしたことを差し引いても、カーロの映画作家としての力量を充分に知らしめる作品となりました。主役を演じたケイシャ・キャッスル・ヒューズは、撮影時には全くの素人だったそうですが、1シーンごとにカーロ監督が丁寧に演技指導を行っていったそうです。その甲斐あって、彼女はパイケアを非常に瑞々しくしかもリアルに演じることに成功しました。そして、2003年度第76回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるという素敵なサプライズをもたらしたのですね。


2017年2月10日付けのAFP BB Newsから

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ニュージーランド南島のゴールデン湾フェアウェル岬で2月10日、416頭のゴンドウクジラが打ち上げられているのが発見され、そのうち7割が死んでしまったそうです。見つかった。かつてクライストチャーチで大地震が起こった直前にも、多くのゴンドウクジラが浜辺に打ち上げられていましたが、今回のケースは、ニュージーランドで確認されたクジラの大量打ち上げとしては過去最大規模だそうです。


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