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zoom RSS ルーツへの回帰―「アワ・カインド・オブ・ソウルOur Kind of Soul」

<<   作成日時 : 2016/03/11 16:06   >>

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皆さんにとってのルーツ・ミュージックは何だろうか。私にとっての、本当の意味での“ルーツ”と呼べる音楽は、やはりポップ・ミュージックである。子供の頃兄が聴いていた洋楽が、すなわち私の音楽初体験にもなっている。思えばその頃から現在に至るまで、好む音楽性は刻々と変化し続けているわけだが、ここで私の青春時代(笑)を彩ってくれたある音楽に還ってみたいと思う。


“ソウルっていうのは元々リアルでオーガニック、スピリチュアルでエモーショナルなものだ…”―ダリル・ホール Daryl Hall
“それがソウル・ミュージックのすべてだから”―ジョン・オーツ John Oates


アワ・カインド・オブ・ソウル
ビクターエンタテインメント
2004-10-21
ダリル・ホール&ジョン・オーツ

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「アワ・カインド・オブ・ソウル Our Kind of Soul」(2004年)
●収録曲
1. LET LOVE TAKE CONTROL (新曲)
2. STANDING IN THE SHADOWS OF LOVE (フォー・トップス)
3. I’LL BE AROUND (スピナーズ)
4. USED TO BE MY GIRL (オージェイズ)
5. SOUL VIOLINS (新曲)
6. I CAN DREAM ABOUT YOU (ダン・ハートマン)
7. DON’T TURN YOUR BACK ON ME BABY(新曲)
8. FADING AWAY (テンプテーションズ)
9. NEITHER ONE OF US(グラディス・ナイト&ザ・ピップス)
10. AFTER THE DANCE (マービン・ゲイ)
11. ROCK STEADY (アレサ・フランクリン)
12. LOVE TKO (テディ・ペンダーグラス)
13. WHAT YOU SEE IS WHAT YOU GET (ドラマティックス)
14. CAN’T GET ENOUGH OF YOUR LOVE (バリー・ホワイト)
15. YOU ARE EVERYTHING (スタイリスティックス)
16. I’M STILL IN LOVE WITH YOU (アル・グリーン)
17. OHH CHILD (ファイブ・ステアステップス)
18. WITHOUT YOU (ニルソン) (国内版のみボーナス・トラック)

結成30年を超える不滅のブルー・アイド・ソウルのデュオ・コンビ、ホール&オーツ。ソウルやブルースの伝統を、ロック、ポップスの方法論で新しく解釈しなおしてみせるのが彼らの持ち味である。

このアルバムは、前作「ドゥ・イット・フォー・ラヴ」リリース時に既に彼らの構想にあったといわれる、彼らにとってのルーツ・ミュージック、ソウルの名曲の完全カヴァー・アルバムである。ギター、ドラム、ベース、キーボード、そして彼らの音楽になくてはならぬサックス…全ての楽器において生のサウンドにこだわった、“リアルでオーガニックな”カヴァー・アルバムの誕生である。意外にも、コンビにとっては初のスタジオ録音による本格的なソウル・カヴァー集だ。
おそらく、ここに収録された楽曲の全ては、皆さんが一度は耳にされたことのある有名なものばかりだろう。しかし、こうしてホール&オーツのフィルターを通して聴きなおしてみると、楽曲の持つ良さが新たに浮き彫りになる気がする。フィリー・ソウルの旗手である彼らが潜在的に持つ、スムーズで洗練された音楽性が、楽曲の普遍性を強調しているものと思われる。もちろんそれは、コンビ独特のキャッチーなアレンジに拠っているのだが、年齢を経てとんがった部分がより滑らかになったダリル・ホールの声が、これら名曲のフィーリングに合致するようになったせいもあるかもしれない。ダリルの歌声があまりに個々の楽曲にマッチしているために、カヴァー・アルバムだという認識すら薄れていく印象もあるほどだ。カヴァー・ソングに混じって収録されている、“LET LOVE TAKE CONTROL”などの新曲の仕上がりが素晴らしい。メロディ、リズム、ドラマティックな流れ…どれをとっても、往年のメロディ・メーカー振りを髣髴とさせる。彼ら自身、ルーツの名曲に立ち戻ることで、作曲への新たなモチベーションを取り戻したかのようだ。
前半のノリはスピーディーでご機嫌だが、ダン・ハートマンの大ヒット曲“I CAN DREAM ABOUT YOU”で頂点を迎える。私も大好きなこのナンバーでは、コンビもとことん気持ちよく歌うことに徹しているのが微笑ましい。そして、出色はアルバム中盤から後半にかけて。録音の際にダリルもTボーンも思わず泣いたという逸話のある“AFTER THE DANCE”の出来には、さもありなんとため息をついた。作品中際立った存在感を誇るこの曲は、マーヴィン・ゲイの声が持つ不思議な浮遊感を、さらに転調によってミステリアスにしたイメージがある。ここでは、ダリルの艶やかな声にさらなる色気を加味することになった。ぜひ一度、オリジナルと共にホール&オーツによるカヴァー・バージョンもお聴きいただきたい。アレサ・フランクリンの“ROCK STEADY”は、元々のバージョンが粋でクールであるために、コンビも気負わず原曲の良さをそのまま継承したかのようだ。ライブでは、格好のダンス・ナンバーになるのではないだろうか。テディ・ペンダーグラスの楽曲は、英国の誇るブルー・アイド・ソウル・シンガー、ミック・ハックネル(シンプリー・レッドの親分・笑)もカヴァーして大ヒットをモノにしているが、この“LOVE TKO”では、ゴージャスで厚みのあるサウンドとコーラスにダリルの熱っぽいボーカルががっちりと乗っていくという、ホール&オーツの醍醐味を聴かせてくれる。“WHAT YOU SEE IS WHAT YOU GET”では、ジョン・オーツがリード・ボーカルとギター・ソロをとることで、本家に負けないねちっこさ(笑)を披露している。改めて故郷フィラデルフィアに深い想いを込めて歌われる“YOU ARE EVERYTHING”では、徐々に盛り上がっていくダリルの表現力豊かなボーカルが満喫できる。“OHH CHILD”は、遠い昔にダリルとジョンが出会った頃の、ファイブ・ステアステップスの持ち歌だったそうだ。下積みの苦労を思い出しながら歌われるこのナンバーは、ダリルとジョンが交互にリード・ボーカルをとる。2人の掛け合いの間合いの見事さは言及するまでもないが、アルバムラストを飾るに相応しい思い出深いパフォーマンスであろう。国内版のみのボーナス・トラックで、仕上がりには賛否両論ある“WITHOUT YOU”は、個人的にはコンビの音楽性の懐の広さを垣間見れて興味深かった。
アルバムをターンテーブルに乗せている間、周囲は上質のヴェルヴェットのような心地良い空気に包まれる。日常に疲れたときなど、コーヒーを傍らに置いてゆっくりと味わいたい作品である。自然に湧き上がるリズムに身を任せてみたくなる、至福のひとときを体験できる。

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今にして思うと、80年代における異様なまでのヒット曲連打状態は、彼らにとって吉であったのか凶であったのかわからない。まあしかしあれら一群のヒット曲がなければ、当然今のホール&オーツもないのだから、悪かろうはずもない。どんなアーティストも、経験によっていろいろなジャンルに手を広げていくものだが、最終的には一番最初に自らが志したものに戻っていく。人間であるならば、それはふるさとに戻るのと同じぐらい自然なこと。ホール&オーツにとっては、それが今回のソウル・カヴァー集だったわけだ。


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先のアルバム「アワ・カインド・オブ・ソウル」のライブ映像。残念ながらニルソンの“WITHOUT YOU”のパフォーマンスはないが、どこかの小さい小屋でアットホームに演奏される様子はさすがの貫禄。解説には、その後のツアー・リハーサルといった意味もあったのではないかと書かれていたが、そうかもしれない。ダリルの弁によると、“ビッカム・クラブ”という往年のクラブの様子を再現した、れっきとしたスタジオ収録ライブだったようだが。エレクトリックな楽器は極力避け、生の音と歌で新しい命を吹き込まれたソウルの名曲群は、鳥肌が立つほど素晴らしい。コンビは、新たな解釈の元に楽曲の再現を試みるため、バック・バンドにも新しいメンバーを追加した。それによって、さらにアレンジの変更を強いられたものもあったそうだ。だが、すべてのアクシデントを吸収して、ソウルの伝統の上に堂々と“ホール&オーツ”の刻印を押す彼らは、やはり音楽史に残る存在だと思う。

さすがにダリルは年をとったという印象があるが、声の艶はいささかも衰えていない。ライム病という病気を患っていたそうだが、現在もライブを重視しつつ元気に活動している様が見て取れる。対して、全く年齢を感じさせないのはジョンの方だ。昔はおっさん臭く感じられた口髭をばっさり剃り、肌も小麦色で、却って若返った雰囲気すらある。
ライブ映像にはボーナス・トラックとして、昔のヒット曲“One on One”や“Maneater”“Sara Smile”が収められている。アコースティック・ギターで歌われるそれらを聴くと、奇妙に時間の経過を感じさせる。もう彼らにとって、80年代のエレクトリックなヒット曲は必要ないのかもしれない。
また、ファンにとっては、ダリルとジョン、並びにバンド・メンバーが語るアルバム録音秘話は必見。


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ダリル・ホール&ジョン・オーツ Daryl Hall & John Oates

●ディスコグラフィー Albums
1972年「ホール・オーツ Whole Oats」
1973年「アバンダンド・ランチョネット Abandoned Luncheonette」(全米最高位第33位)
1974年「ウォー・ベイビーズ War Babies」(全米最高位第86位)
1975年「サラ・スマイル Daryl Hall & John Oates」(全米最高位第17位)
1976年「サヨナラはいわないで No Goodbyes」(全米最高位第92位)
1976年「ロックン・ソウル Bigger Than Both of Us」(全米最高位第13位)
1976年「ビギニングス Beginning」
1977年「裏通りの魔女 Beauty on a Back Street」(全米最高位第30位)
1978年「ライブタイム Live Time」(全米最高位第42位)
1978年「赤い断層 Along the Red Ledge」(全米最高位第27位)
1979年「モダン・ポップ X-Static」(全米最高位第33位)
1980年「モダン・ヴォイス Voices」(全米最高位第17位、1981年年間第8位)
1981年「プライベート・アイズ Private Eyes」(全米最高位第5位)
1982年「H2O」(1983年1月15日〜4月16日まで15週連続全米3位、同年年間第4位)
1983年「フロム・A・トゥ・ONE Rock'n Soul Part1」(全米最高位第7位)
1984年「ビッグ・バン・ブーム Big Bam Boom」(全米最高位第5位)
1985年「ライヴ・アット・ジ・アポロ Live at the Apollo」(全米最高位第21位)
1988年「Ooh Yeah!」(全米最高位第24位)
1990年「チェンジ・オブ・シーズン Change of Season」(全米最高位第60位)
1997年「マリゴールド・スカイ Marigold Sky」(全米最高位第95位)
2003年「ドゥ・イット・フォー・ラヴ Do It for Love」(全米最高位第77位)
2004年「アワ・カインド・オブ・ソウル Our Kind of Soul」(全米最高位第69位)
2004年「アルティメット・ダリル・ホール&ジョン・オーツ Ultimate Daryl Hall & John Oates」(全米最高位第63位)
2006年「ホーム・フォー・クリスマス Home for Christmas」

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メジャーデビューは1972年だったホール&オーツ。しかしデュオとしての活動は1969年から開始しているので、長い長い長い長いキャリアを誇るアーティストである。しかもまだ現役で、渋くソウルフルな歌声をライブで聴かせてくれるのだから、ポップス/ソウル/R&B界の鉄人といわざるをえない。


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