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zoom RSS 素人スーパー・ヒーロー参上!―「ミステリー・メン Mystery Men」

<<   作成日時 : 2015/08/02 22:43   >>

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「X-メン」「バットマン」はたまた「スーパーマン」。コミック発のヒーロー活躍映画は、相変わらずの人気振りだ。アイデアは出尽くしたと言われながら、今も続々とマーベル・コミックを中心に、アメコミ・ヒーローものが製作され続けている。それら真面目な(?)王道のヒーロー映画を徹底的にパロディ化してみせた「ミステリー・メン Mystery Men」を観ながら、私たちがスーパーヒーローに憧れる理由は何なのだろうと、ふと考えてしまった。そう、「ミステリー・メン」で俎上に上がるのは、スーパーヒーローではなく、彼らに憧れる立場の者(つまり映画を観ている観客たちも含め)なのである。

世の中には、目立たないところで働くヒーローもいるんだ!

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「ミステリー・メン」(1999年製作)
監督:キンカ・ユーシャー
製作:ローレンス・ゴードン他。
原作:ボブ・バーデン
脚本:ニール・カスバート
撮影:スティーヴン・H・ブラム
音楽:スティーヴン・ウォーベック
出演:グレッグ・キニア(キャプテン・アメージングことランス・ハント)
ベン・スティラー(ミスター・フューリアスことロイ)
クレア・フォーラニ(モニカ)
ジェフリー・ラッシュ(カサノバ・フランケンシュタイン)
ウィリアム・H・メイシー(ショベラー)
ハンク・アザリア(ブルー・ラジャことジェフ)
ジャニーン・ガラファロー(ボウラー)
ケル・ミッチェル(インヴィジブル・ボーイ)
ポール・ルーベンス(スプリーン)
ウェス・ステューディ(スフィンクス)
エディ・イザード(トニーP)
レナ・オリン(ドクター・アナベル・リーク)
アーティ・ラング(ビッグ・レッド)
トム・ウェイツ(ドクター・A・へラー)
ルイーズ・ラサー(ブルー・ラジャの母)
リッキー・ジェイ(ヴィクター・ウィームズ)
ジェニファー・ルイス(ショベラーの妻ルシール)
プラス(トニーC)
コービン・ブルー(ブッチ)
マイケル・ベイ(フラット・ボーイ)

架空の未来都市チャンピオン・シティ。無敵のスーパーヒーローであるミスター・アメージングに憧れ、いつか彼のような大スターになることを夢見つつ、日夜悪漢たちと対決してまわる3人組の素人ヒーローたちがいた。彼らは本当に“ただの人”なのであるが、己の信じるところの“正義の味方”になりたいと、見果てぬ夢を追っているのだ。実生活では、彼らは3者3様に凡人で、むしろ負け犬の部類に入る。夢だけはでっかいけれども、実力と天賦の才能がそれに追いついていないということだ。しかし、彼らの憧れミスター・アメージングは、実はとんでもない成り上がりの俗物。そして、自分が練った姑息な策略の罠にはまり、世紀の悪者カサノバに囚われの身になる。カサノバは、チャンピオン・シティを再び悪の都にせんと、かつての凶悪な手下どもを呼び戻し始めた。それを知った3 人の素人スーパーヒーローたちは、カサノバ打倒のためにヒーロー仲間をかき集める作戦に出る、という筋書きである。

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“フォーク”マン(笑)。

愛すべきB級映画。ヒーロー映画の裏設定というのか、やっぱりパロディと認識するべきか。
ラストはハッピーエンドに決まっているので、ストーリーの面白さといった部分に、この作品の真価は見出せない。楽しいのはむしろ、素人スーパーヒーローたちのトンデモないキャラクターっぷりだ。一番マトモな常識人たる“ショベラー”にしても、武器がショベル、普段は工事現場で働いている普通のオッサンなのだ。家庭では黒人の妻に頭が上がらず、年頃の子供たちはいつまでも夢ばかり追っている父親を小馬鹿にしている。ミスター・フューリアスなど、すぐキレるにすぎない勘違い男。インチキ手品師みたいな風体のブルー・ラジャに至っては、得意技がフォーク投げ!佐々木投手のような切れのあるフォークならまだしも、ブルー・ラジャが投げるのは文字通りのフォークである。アホもここに極まれリ、であろう。

だが、街の危機に立ち上がった彼らの元に集結したヒーローたちはもっとすごい。殺された父親の頭蓋骨を埋め込んだボウルを投げる…というより、ボウルが勝手に標的まで飛んでいく“ボウラー”、臭すぎるオナラで敵を失神させるのが得意の“スプリーン”、薀蓄たれが大好きなメキシコの求道的念力使い“スフィンクス”、誰も見ていないときにだけ透明人間になれるという(←意味ねーじゃん・笑)“インヴィジブル・ボーイ”などなど。ヒーローものにはお約束の、彼らをバックアップするマッド・サイエンティスト“ドクター・へラー”も(トム・ウェイツ怪演)、おばあちゃんフェチというかなりアブナイヤツである。

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ミステリー・メンの面々を(笑)迎えうつのは、オーストラリアの名優ジェフリー・ラッシュ。間違いなく名優なんだけど妙にフットワークの軽いお方である。

映画は、彼らが結束を固めて巨悪に立ち向かうまでを、ドタバタ、ヨロヨロ、オロオロしながら描く。おそらく製作陣は、最初から“Bの線”を狙っていたのであろう。そこかしこに爆笑とはいかないまでも、クスクス笑いを誘発する小技ギャグが仕込まれている。往年のヒーロー映画のパロディや、お下劣で低脳なジョークの数々。おまけに、必要以上に豪華な実力派俳優を揃え、彼らの悪ノリ気味の怪演をてんこ盛りにして仕上げを施した作品だ。
印象が強烈なのは、これでコメディに開眼したといわれるブルー・ラジャ役のハンク・アザリアと、口の悪いゴス娘ボウラーを演じた名コメディエンヌ、ジャニーン・ガラファロ、途中で素人ヒーローたちを導く“マスター”の役割を果たす、スフィンクスことウェス・ステューディだ。特にウェスは、始終顔半分をマスクで覆っているため表情が認識しづらいのであるが、その威厳のある発声と居住まい、時折絶妙にボケてみせるアンバランスさが非常に面白かった。
彼ら素人ヒーローたちが、最後の最後に本物のヒーローになる件は、予定調和といえどなかなかに爽快な気分。“どんな負け犬でも、頑張れば人生のヒーローになれる!”という面映いメッセージも、ひねたギャグにくるんで照れくさそうに差し出されれば、とても素直に受け取ることができるというものだ。

疲れていて軽い映画を観たい向きには、ぜひお勧めする作品だ。正統派アメコミ映画ファンの方も、きっと笑って許してくださるはず(笑)。莫大な製作費をかけた割りに、アメリカでは大コケであったそうだが、そんなほろ苦い現実も“負け犬ヒーロー物語”には結構お似合いなのかもしれない。

さて、素人ヒーロー7人衆(ヒーローとくれば、7人いなくてはお話にならない!)を演じるのは、地味ながら実力派の俳優ばかり。今回私が特に気になったのは、素人集団の根性を叩き直すため、はるばるメキシコから駆けつけるスフィンクスだ。まるで悪役プロレスラーのようなマスクを被り、黒マントを翻して颯爽と登場する彼、実は本物のスーパー・パワーを持っているという設定だ。ことあるごとに深みのある訓戒を垂れ、しごく重厚な雰囲気を漂わせるものの、実は笑顔がキュート(に違いない)なお茶目さんである。そんなスフィンクスを、「ラスト・オブ・モヒカン」(1992年)等に出演してきたネイティヴ・アメリカン俳優の重鎮ウェス・ステューディが楽しそうに演じている。あの邪魔なマスクをむしりとりたい衝動にかられるほど(←病気)、彼の存在感は大きかった。ラストの大団円、街の危機を見事救った彼らにマスコミが殺到するが、スフィンクスは満面の笑みで彼らに名前を名乗る。実は私はこのシーンが一番好きで(←重症)、何度も繰り返して観てしまったほど。最近、実は彼目当てでジェームズ・キャメロン監督の「アバター」を観た。この作品でもウェスはCG処理されたキャラクターを演じていて、やっぱり素顔が見えないのが大いなる不満である(笑)。

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ええ、ウェスの公式サイトも見つけたし(笑)。こちらから
「パウワウ・ハイウェイ」(1988年)で映画デビューを飾り、ケヴィン・コスナーの「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」(1990年)で注目を集め、アクションものに起用されることが多いとか。この「ミステリー・メン」のような純然たるコメディ映画への出演は珍しく、彼も新鮮な気持ちで取り組むことが出来たのではないだろうか。

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伝説の英雄ジェロニモに扮したウェス。…うーん、マンダム(笑)。

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絶望的に臭いオナラで敵を倒すバカ・ヒーロー、スプリーンに扮したポール・ルーベンス。どっかで見た顔?と感じた貴女は、相当なオタクかもしれない。何を隠そう、彼こそがかのピーウィー・ハーマン、かつての子供達のヒーローなのである。

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子供番組のパーソナリティーであったピーウィーを主役にした映画「ピーウィーの大冒険」(1985年)は、ティム・バートン監督にとっても出世作となったが、ピーウィーことルーベンスにとってもヒット主演映画シリーズとなった。続篇に「ピーウィー・ハーマンの空飛ぶサーカス」(1988年)がある。ところがルーベンスはその後、ポルノ映画館でのわいせつ行為で逮捕の憂き目に遭い、キャリアは一気に下降線を辿る。ポール・ルーベンス名義でいくつかの映画の脇役をこなし、テレビシリーズにゲスト出演するなどして、細々と俳優業を続けているようだ。「ミステリー・メン」でも、あの特徴的な舌足らずなおしゃべりと、一種異様な風体は健在。結構いい味を出していただけに、なんとか個性派コメディアンとして復活して欲しい気もする。

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エディーっ!個人的にはもうちょい痩せて欲しい気も(笑)。

さて、ゲスト出演となるキャスト陣も大変豪華だ。相当時代遅れの“ディスコ・ボーイ”トニーPことエディ・イザードは、現在英国で最も人気のコメディアン。今作における風貌はパパイヤ鈴木にそっくりだが、実は女装すると恐ろしく妖艶になる人である。
それから、映画をご覧になった方は、レナ・オリンが出演しているのに気がつかれただろうか(苦笑)。彼女は、ほとんど台詞もないようなチョイ役、カサノバの情婦を演じていた。ジェフリー・ラッシュが、相変わらず安定感のある怪演で(笑)、楽しそうに悪党を演じているので、余計に影が薄くなったのかもしれない。
はては、あのマイケル・ベイ監督までいる。「アルマゲドン」だの「パール・ハーバー」やら「トランスフォーマー」なぞの御仁だといえばおわかりか(笑)。悪党カサノバの手下一味フラット・ボーイズという集団の1人で、パーティー・シーンに登場する。そして生意気にも台詞まで発するのだ。仮にこの作品が大ヒットでも飛ばしていれば、ベイは今頃俳優業に華麗に転身していたかもしれない。そうならなかったことが、返す返すも残念でならない。

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