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zoom RSS マリー・アントワネットとスーダラ節―「Marie-Antoinette」

<<   作成日時 : 2014/09/09 23:00   >>

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この映画を観たときのことは、今でも鮮明に覚えている。…その日、私は疲れていて、とにかく甘いものが食いたかった。そして気がつくと、ヴィヴィッドな若い女性の間で大人気のオッサレ〜な映画「マリー・アントワネット」を上映する映画館の中にいた…。

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マリー・アントワネット:「あ゛〜だっる〜」
侍女:「……」

「マリー・アントワネット Marie-Antoinette」
監督:ソフィア・コッポラ
製作:ソフィア・コッポラ&ロス・カッツ
製作総指揮: フランシス・フォード・コッポラ
脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:ランス・アコード
音楽:ブライアン・レイツェル
プロダクションデザイン:K・K・バレット
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
編集:サラ・フラック
出演:キルステン・ダンスト(マリー・アントワネット)
ジェイソン・シュワルツマン(ルイ16世)
リップ・トーン(ルイ15世)
ジュディ・デイヴィス(ノアイユ伯爵夫人)
アーシア・アルジェント(デュ・バリー夫人)
マリアンヌ・フェイスフル(マリア・テレジア女帝)他。

オーストリア皇女マリーは、14歳にしてフランス王太子ルイ16世の元へ嫁ぐことになった。政略結婚ながら、まだ幼かった彼女は結婚生活に大いに夢と期待を抱いていた。ところが彼女を待ち受けていたのは、勢力争いと他人への誹謗中傷と恋の駆け引きのみに血道をあげるベルサイユ宮殿の人々と、自分に関心を持ってくれない夫との愛のない夫婦生活。ルイは必要最低限の会話以外はマリーと口もきかず、ベッドに同衾しても指一本触れない有様。母マリア・テレジアの元で愛情深く育ったマリー自身は、お人よしで他人を疑うことを知らない女性ではあったが、なかなか世継ぎに恵まれないことから、周囲に悪意溢れる噂が蔓延するようになる。取り巻きという名の厳しい監視の目に24時間さらされる暮らしの中、他国から嫁いで来たマリーへの風当たりは日増しに辛くなり、彼女はやがて贅沢なドレスやパーティー、賭博などに心の安らぎを求めるようになる。

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フランスでおそらく最も有名であろう女性、マリー・アントワネットを描いた映像作品って、昔からたくさんありまよね。彼女について書かれた歴史書、小説、解説書の類も、それこそ山のようにあります。私はシュテファン・ツヴァイクによって書かれたものを昔読んだきりですが、この新たに創造されたソフィア・コッポラ版映画では、アントニア・フレイザーによって書かれた小説を基にしているのだそうです。
まあ、そんな知識はなくともこの作品を楽しむことは充分可能です。ただし、ソフィアの感性―俗に“ガーリー・テイスト”と呼ばれる、キュートでカラフル、ポップな色彩のあふれる世界のこと。具体的にそれを体感されたい方は、ソフィアの監督第1作「ヴァージン・スーサイズ」ではなく、拙宅でご紹介したピーター・ウィアー監督の異色作「ピクニックatハンギング・ロック」をご覧になってください―と波長が合えば、の話ですが。マカロンというフランスの伝統的なお菓子のイメージをそのまま画面に展開したような、かわいらしい衣装や小道具、舞台背景。あるいはソフィアならではの音楽演出…彼女好みの80年代ニュー・ウェイヴ・ロックやポップスなどが劇中に流れてくるとか。それをおもしろいと感じるかどうかが、この作品を好意的に評価できるかどうかの分かれ目になるでしょうね。
思うにこの作品は、否応なくフランスの歴史を動かす担い手となってしまった女性の内面を深く掘り下げ、その悲劇性を強調するという目的を持った作品ではないのでしょう。ソフィアは、「ロスト・イン・トランスレーション」に出てきた、日本という異国でふらふら漂う若妻と同じように、マリーを異文化、異常な環境の中で迷子になるごく普通の女性として描きたかっただけなのでは。だから、マリーの目を通して描かれる周囲の映像も、まるで夢の中の出来事のようにふわふわしていて確かな感触を持ち得ない。彼女がフランス貴族社会で経験する様々な事柄も、すべてはなんだか他人事のよう。彼女にとって唯一確かなことは、贅沢三昧することで己のストレスを発散するという、幼稚なレベルでの楽しみのみ。出産して以降の、プチ・トリアノンでのナチュラル・ライフだって、彼女の母性の目覚めと見ることも出来るかもしれませんが、所詮はおままごと遊びの域を超えないと思いますね。パーティー遊びが、子供と一緒のシャボン玉遊びに変わっただけ。

フランス政府の国庫が空になり(これはもちろん彼女の浪費のせいではありません。フランス政府が他国との戦争に明け暮れたせい)、重税を課された国民の不満が高まっている現実を知ろうともしないのは、いかな若い女の子といえど、あまりに考えが至らない。たった1人の女性に歴史の過ちの原因を押し付けるのは悲劇だと感じる方もおられるでしょう。しかしこの当時のマリーの置かれた立場は、そういうものだったんです。支配する者として生を受けた者は、絶大な権力を有する代わりに、それ相応の責任も負わねばならない。時として理不尽と思われる運命でも、それが国家の歴史の要求することならば、甘んじて受け入れなくてはなりません。自分のあずかり知らぬところで、しかも自分のせいではないのに、勝手に自分の定めが決められてしまったとしても、です。彼女とて、そう教えられて育ったはずです。どっかの若い娘が分不相応なお堅い家に嫁入りして、周囲の無理解に苦労する、というレベルの話ではないんですよ。多くの国民の生活と歴史に対し、莫大な責任を持っていた人間の物語なんです。所詮、マリー・アントワネットを現代の若妻と同レベルに描くことは不可能なのですよ。

この作品の焦点がぼやけてしまったのは、そのあたりに原因がありそうです。マリーの、足が地に着いていない浮ついた心象風景を、ぼんやりと描く。マリーの心境の変化にもうひとつ突っ込んだ描写も見られないまま、また、彼女を取り巻く人々との関係性も結局はっきりしないまま、ダイナミックに動いていったフランスの歴史に1人おいてきぼりをくらってしまった女性の悲劇を、画面から感じてしまいました。ひょっとしたら、マリー自身にもきちんと事態を理解できないまま、断頭台の前に立つ羽目になっていたのかも。

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マリーに扮したのはキルスティン・ダンスト、ぼんくら王ルイを演じたのはジェイソン・シュワルツマンという、アメリカン・コンビ。カラフルな映像イメージと相まって、この作品をずいぶん軽く見せることに貢献していました。作品は、マリーがいかに浪費にのめり込んでいったのか、その過程を舐めるようにじっくり描いていきます。ソフィア監督の興味もここにあったのかしら。女の子なら誰だってこんな環境に置かれれば、ドレスやお菓子、パーティー三昧したくなるわよねーってことですか。ええ、お菓子は確かに旨そうだった。食事もとらずに映画館に入ったもので、余計に生唾飲み込みましたよ(笑)。ヒラヒラ、ビラビラ、キャタピラな、チンドン屋みたいなドレスの類はそそられなかったけど。ええ、私はそんなものにロマンを感じるほど若くもないんですよ(苦笑)。それに高層ビルみたいな頭はどうにかしてくれ。趣味悪すぎるぞ、マリーよ。浪費もねえ…悪いことだ、やっちゃいけないことだと頭じゃわかってても、ついやっちまうんだよねえ…。ダメ人間は今も昔も変わんねえな、こりゃ。と、ぼんやりと画面を見つめていた私の脳裏に、突如エウレーカが!

“わかっちゃ〜いるけ〜どやめら〜れねえ♪ス〜ス〜ス〜ダラッダッダ〜スラスラスイスイス〜イ♪…”

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植木等
1926年12月25日生まれ
2007年3月27日没

愛知県の生んだ永遠のコミカル・ヒーロー、1960年代に一世を風靡した植木等氏の名曲「スーダラ節」ですよ!!そう、人間皆わかっちゃいるけど、やめられないんだよ!これでなにもかもわかったような気になったアホがここに1人…(笑)。ええ、目はちゃんと画面を追っているのですが、頭の中では植木等氏が絶好調で歌い踊り狂っております。

“ス〜ス〜ス〜ダラッダッダ〜スラスラスイスイス〜イ♪…”

映画館の中で観賞後、思わず路上でスーダラ節を踊りだしそうになった私ですが、すんでのところで我に返りました(笑)。仕方がないので、子豆と父豆のためにちょっと奮発したチョコレートを購入し、帰宅。自宅でおいしいチョコを頬張りながら、スーダラ節を踊ってみました。1号がおもしろがって一緒に踊ってくれたので大満足でしたよ。

“ス〜ス〜ス〜ダラッダッダ〜スラスラスイスイス〜イ♪…”

植木等氏は、晩年肺気腫と前立腺癌を患いながらも、テレビや映画での活動を精力的にこなしたそうです。青島幸雄氏の葬儀の時も、酸素吸入器をつけて参加したとか。しかし、2007年3月27日ついに、生真面目な性格で知られた伝説の無責任男、植木氏は逝ってしまわれました。改めて合掌。

♪チョイト一杯の つもりで飲んで
いつの間にやら ハシゴ酒
気がつきゃ ホームのベンチでゴロ寝
これじゃ身体(からだ)に いいわきゃないよ
分かっちゃいるけど やめられねえ
ア ホレ スイスイ スーララッタ
スラスラ スイスイスイ
スイスイ スーララッタ
スラスラ スイスイスイ
スイスイ スーララッタ
スラスラ スイスイスイ
スイスイ スーララッタ
スーララッタ スイスイ…♪

「お呼びでない?……お呼びでないね。こりゃまた失礼いたしました!」

マリー・アントワネット (通常版) [DVD]
東北新社
2007-07-19

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