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zoom RSS 「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」―ニック・パーク監督

<<   作成日時 : 2013/09/12 22:43   >>

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空飛ぶうさぎ、巨大野菜、なんて素敵な大冒険!

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! Wallace & Gromit: The Curse of the Were-Rabbit」(2005年製作)
監督:ニック・パーク&スティーヴ・ボックス
製作:ニック・パーク&クレア・ジェニングス&ピーター・ロード他。
脚本:ニック・パーク&スティーヴ・ボックス&ボブ・ベイカー他。
撮影:トリスタン・オリヴァー&デイヴ・アレックス・リデット
音楽:ジュリアン・ノット&ハンス・ジマー
声の出演:ピーター・サリス(ウォレス)
レイフ・ファインズ(ヴィクター・クォーターメイン)
ヘレナ・ボナム=カーター(レディ・トッティントン)
ピーター・ケイ(P・C・マック警部)
ニコラス・スミス(クレメント・ヘッジ)
リズ・スミス(マルチ夫人)他。

自称天才発明家ウォレスとその忠実なる愛犬グルミットが住んでいる、ロンドン西ワラビー通り。彼らの家の壁一面は、2人の写真で埋め尽くされている。これまでに2人が経験した数々の冒険の思い出などがたっぷり詰まっているのだ。でもなにより大切な写真は、お気に入りのベストを着込んだウォレスとグルミットが肩を組んで映っているもの。“HOME SWEET HOME”と名づけられたそれは、2人の人生そのものだ。と、一瞬、その写真に不気味な生き物の影が映った。

気味悪いほど真ん丸い月が青白く輝く夜。P・C・マック警部は、うっすらと霧がかかった夜の街をいつものように巡回していた。街中をすばやく横切る巨大な影があったが、彼はそれに気づかない。影は舌なめずりしながら街の通りを駆け抜ける。ふと見あげた家の塀に、『アンチ害獣社 監視中』の看板が。影は意に介さず塀の扉を開け、庭に実った瑞々しい野菜に突っ込んでいった。たちまち庭に置かれたノームの置物の警報機が鳴り始める。
警報機のセンサーがつながっているのは、ウォレスとグルミットの家の壁にかけられたお得意様の肖像画。今そのうちの一枚が光り、野菜畑に侵入者があったことを知らせている。そう、アンチ害獣社は、現在ウォレスとグルミットが共同で経営する害獣駆除の会社だったのだ。ウォレス宅のセンサーは、彼が発明した通りに大掛かりな“自動装置”を作動させた。制服を着込み、景気づけにカップで乾杯し、お茶を飲みながら2人は車で移動した。マルチ夫人宅までくると、グルミットのナイスな働きで無事侵入者は捕獲された。侵入者は、なんと小さなうさぎ。マルチ夫人が大切に育てている巨大かぼちゃを狙っていたのだ。街の人々は、アンチ害獣社に惜しみない拍手と感謝を捧げる。これで今年も無事に巨大野菜コンテストが開催できる。コンテストまであと4日だ。
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さて、ウォレス宅の地下室には、これまで捕獲されたたくさんのうさぎ達がひしめいている。グルミットは今日もにんじんを刻み、うさぎ達に与える。いくら害獣とはいえ、彼らを餓死させるわけにはいかないからだ。しかしねずみ算ならぬ、うさぎ算式に増えに増えた彼らは、飼育小屋に収まりきらないほどになっている。一方ウォレスは最近チーズの食べすぎで太り気味。お腹がつっかえて、自動叩き起こしマシーンの中をすり抜けられなくなっていた。グルミットは仕方なく、“アシスト”のレバーを引いた。すると、巨大な木槌がウォレスのクローゼットから飛びだしてきて、彼の頭を思い切りどっかん。その勢いでウォレスはようやくキッチンの椅子に着地する。グルミットはウォレスのダイエットを決意。今朝も野菜のみのヘルシーな朝食メニューだ。ところが大の野菜嫌いのウォレスはワル知恵を働かせ、グルミットを瓜畑に追っ払う。グルミットは渋々丹精している瓜畑に赴いた。彼が優雅に巨大瓜の大きさを測る間、彼の主人は棚のチーズに手を出して、哀れネズミ捕りのワナに引っかかる。
ウォレスはついに、ダイエットも科学の力を借りて行うと宣言。一番新しい発明品“心コントローラー”の出番だ。この機械は、生き物の悪い欲求を吸い取ることができる。つまりこれで手っ取り早く嗜好を変えてしまおうというわけだ。だがグルミットは気が気ではない。今までの発明品と違って、脳に作用するというこの機械は危険度が高すぎる。ちょうどそのとき、レディ・トッティントンから緊急連絡が入った。コンテストが近いというのに、うさぎが邸内を荒らしまわって困っているという。ウォレスは出世のチャンスだと意気込み、心コントローラーの実験はひとまず棚上げとなった。グルミットは胸をなでおろす。
トッティントン邸に彼女の婚約者ヴィクターがやってくる。彼は狩猟好きで横柄な男。大量発生したうさぎを退治するため、ライフル銃を持参してきたのだ。うさぎを傷つけることなど思いも及ばなかったレディ・トッティントンは困り果てる。その頃アンチ害獣社の車が到着した。うさぎ吸引機“BV6000”の出番だ。グルミットはマシーンをセットした。ヴィクターがまさに銃の引き金を引こうとしたその瞬間マシーンが作動し始め、うさぎ達がうさぎ穴から次々とマシーン内に吸い込まれていった。あっといまにうさぎ達は傷つくことなく捕獲された。が、吸引機の威力は素晴らしく、ヴィクターのかつらすら吸い込んでしまう。続いて彼自身も。ウォレスはヴィクターを追ってきたレディと対面。その美しさに、彼はたちまちレディの虜になる。レディはアンチ害獣社の手際に心底感動する。しかしマシーンに吸い込まれ、泥まみれのヴィクターは怒り心頭だ。ウォレスにかつらを返すようすごみ、黒うさぎを頭に乗せて去っていった。
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大量のうさぎをどうするかという問題が残った。ウォレスは、レディの“本能”という言葉から、素晴らしいアイデアを思いつく。野菜好きといううさぎの本能を変えてしまえば、彼らはもう野菜を食い荒らすこともなくなるではないか。心コントローラーとうさぎ吸引機をつなぎ、野菜嫌いのウォレスの嗜好をうさぎに植えつけてしまえばいいのだ。野菜を食べないうさぎなら、安心して外に放すことができる。これでウォレス宅の地下室の問題も解決だ。グルミットが不安げに見守る中、月のパワーを借りてコントローラーの威力をアップさせたウォレスはそれを作動させる。グルミットはうさぎ吸引機の“吸う”のレバーを押し、ウォレスの脳波をうさぎに送り込む。実験はうまくいくかに思われたが、ウォレスがうっかり“吸う”と“出す”のレバーを間違ってしまったせいで、コントローラーが逆に作動し始める。さあ大変。うさぎの脳波がウォレスの頭に入ってしまった!うさぎのように跳ね回る彼を救うには、コントローラーを叩き壊すしかない。グルミットに助けられたウォレスは、頭に張り付いて震えているうさぎににんじんを差し出してみた。するとどうだろう、嫌そうに顔を背けるではないか。とりあえず実験は成功したようだ。この記念すべき野菜嫌いうさぎ第一号は、“ハッチ”と名づけられた。ウォレスは、自分の発明品が、うさぎの害から人類を解放するかもしれない可能性に有頂天となる。そして、レディ・トッティントンの肖像画を“おとくいさま”のコーナーに付け加えた。グルミットは大事な瓜に、クラシック“野菜組曲”を聴かせながら寝かしつける。巨大野菜コンテストはトッティントン邸で行われる。優勝者に贈られるトロフィーは黄金のにんじん像。グルミットはなんとしてもそのトロフィーが欲しかった。街の人々は皆本番に備えて、自慢の巨大野菜を害獣に食われないよう、アンチ害獣社の警報機をしっかりかけるのだった。その頃ウォレス宅の地下室ではある異変が起こりつつあった。
その夜、神に祈りを捧げた司祭は、暗闇にまぎれて忍び寄る不審な生き物の影を感じた。影は教会の窓を壊して中に侵入。その生き物は見上げるばかりの巨躯で、恐怖のあまり気絶してしまった司祭をよそに、祭壇に飾られていた野菜を貪り食った。化け物はさらに街の人々の野菜畑を食い荒らし、警報機を壊していく。おかげでウォレス宅のおとくいさまセンサーは全て鳴りっ放し。でも、連動してただちに作動するはずの自動装置は沈黙したままだ。なにかがおかしい。おまけにウォレスはどこへ行ったのだ…?グルミットは首をかしげた。
翌朝。いつのもように叩き起こしマシーンで起床したウォレスに、グルミットは昨晩起こった壊滅的な野菜被害を伝える。彼らは、教会に集まった人々から轟々たる非難を浴びた。アンチ害獣社に多額の契約金を払っている人々は、怒りの矛先をウォレスとグルミットに向けた。誰かが1932年の大ナメクジ被害のことを持ち出すと、たちまち人々はパニック状態に陥る。マック警部にも収拾がつけられない。警部は、毎年トラブルになる巨大野菜コンテストを阻止しようとした人間の仕業だと断定する。しかし唯一化け物の正体を目撃した司祭は、皆の前で犯人は人間ではなく、巨大なうさぎモンスターであったと告げた。我々が本来のサイズとは違う野菜を作ったため怒りたもうた神が遣わした、恐ろしい天罰だと。悔い改めよ!このままではコンテスト開催も覚束ない。パニック状態の人々の耳に、一発の銃声が聞こえた。ヴィクター登場。うさぎ男の呪いなど信じない彼は、犯人はたぶん大男だと言い放ち、ハンターである自分が一撃でしとめてみせると請け負うのだった。だが銃を嫌うレディ・トッティントンが現れ、動物を殺すのは人道に反すると人々を諭す。アンチ害獣社にもう一度チャンスを与えましょうと。ウォレスの肩を持つレディの態度が気にくわないヴィクターは馬鹿にするが、人々は、巨大なワナを仕掛けるというウォレスの思い付きに拍手喝采した。ウォレスは、レディに向かって感謝を込めて手を振る。レディも照れながら振り返す。
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その夜。早速“甘いワナ作戦”が決行される。巨大な雌うさぎのぬいぐるみを車の上に取り付け、グルミットが中から動きを操作する。色っぽい雌うさぎでうさぎ男をおびき寄せようというのだ。ところが、前を見ていないウォレスのミスで、ぬいぐるみは弾き飛ばされてしまった。グルミットは、ぬいぐるみを探しにいったウォレスを待つ間、編み物をして気持ちを落ち着かせる。辺りが急に静まり返り、ウォレスも帰ってこない。不安になるグルミットの前に、突如として巨大な生き物が姿を現した。それは猛烈なスピードで走り去る。グルミットは仕方なく、1人で化け物を追いかけた。自動投げ縄がうまくそれに絡まったが、化け物はすさまじい力で土中に逃げようとする。車は徐々に引っ張られていき、ものすごい勢いで地下に引きずり込まれた。グルミットはそのまま土の中を走ったが、縄は途中で切られ、化け物を逃がしてしまう。ところが、化け物のものと思しき巨大な足跡は、ウォレスの家の中に入り込んでいる。グルミットは足跡をたどっていった。泥だらけの足跡は地下室まで続き、無残に壊されたハッチの小屋の前で終わっていた。クレームの電話応対に大わらわだったウォレスも姿を現し、ハッチこそうさぎ男の正体だと結論付ける。月の光が彼の本能を増幅し、彼をモンスターに変身せしめるのだと。半信半疑のグルミットをよそに、ウォレスはモンスターの正体をつかんだと大喜びだ。
グルミットはとりあえず、チーズの食べすぎでいささか太ったハッチを入れるための小屋を補強した。そして地下室に通じるドアにしっかりかんぬきをかけると、またまたびっくり。化け物の足跡は、地下室のドアの前を通り過ぎていたのだ。階段を登り、だんだん人間の足跡と同じ形に変化しながら、2階のウォレスの寝室まで続いている。グルミットは信じられない思いでその扉を開けた。…するとそこには、食い荒らされた野菜が山と積まれていたのだ!うさぎ男に変身していたのはハッチではなく、ウォレス本人だったのだ。
ウォレスはおめかししてレディの屋敷に向かった。日が暮れかけている。月が顔を出してウォレスが変身してしまう前に、彼を連れ帰らねばならない。グルミットは邸に向かって車をすっとばした。
うさぎ男をつかまえた知らせを聞いてご機嫌のレディは、ウォレスを屋上の温室に招いた。その様子を窓の外から見たグルミットは、慌てて彼らを追いかけていく。温室は、レディ秘蔵の野菜のパラダイス。色とりどりの様々な野菜がたわわに実っている。うさぎの本能が目覚めかけたウォレスは、理性を失いそうになる。ヴィクターと違って野菜好きなウォレスに好意を寄せ始めるレディ。今にも野菜に食いつきそうなウォレスの様子を見て取ったグルミットは焦る。ちょうどそのときヴィクターもやってきたが、温室で仲良くしている2人を見ると、腹を立てて足音も荒く帰っていった。レディはウォレスにスペシャル・巨大にんじんを見せた。コンテストに出品するものだ。それを目にしたウォレスの目の色が変わる。グルミットはアスパラガスを槍のように構え、スプリンクラーに命中させた。ウォレスはレディ共々びしょぬれになり、家に帰らざるを得なくなった。

帰りの車中、日没間近で慌てるグルミットの横で、機嫌の悪いウォレスは文句タラタラだ。しかしなんということ、こんなときに限って道路が封鎖されている。彼らは森の中で回り道をするはめに。車の前に横たわっている大木をどかそうと奮闘するウォレスに、怒りで目をギラギラさせたヴィクターが迫ってきた。月明かりをバックに、ヴィクターはウォレスに詰め寄る。レディをだまして財産を横取りするつもりだろうが、そうはさせるか。それをするのは自分が先だ!ボクシングの勝負を挑んできたヴィクターに、どうすることもできずオロオロするばかりのウォレス。だが日が完全に落ち、月が出てきた。緊張して見守るグルミットの前で、ウォレスが巨大なうさぎ男に変身する。うさぎ男は大木を放り投げ、キング・コングよろしく巨大な胸を叩いて遠吠えをあげた。森に住む野良うさぎ達もつられて遠吠えを一発。そして野菜の匂いのする方へ飛び跳ねていった。ヴィクターはあまりのことに腰を抜かしたが、これで化け物の正体は明らかになった。憎たらしいウォレスを亡き者にする絶好のチャンスが巡ってきたと、一人ほくそ笑む。
ヴィクターはその足で司祭の家に向かい、モンスター百科に載っていたうさぎ男を確認した。まさか本当に実在していたとは。誰の心にも悪魔は住んでいて、月の輝く夜にその邪悪な一面が表面化する…。ヴィクターは、芝居がかって説教を始めようとしていた司祭をせっつき、手っ取り早くうさぎ男をやっつける方法を聞きだした。モンスターを仕留めるには、鋼のような勇気と黄金の弾が必要だ。ヴィクターは純金の弾を3つぶんどると、闇の中に姿を消した。
翌朝。グルミットは、新聞にうさぎ男の写真が堂々と掲載されているのを見て愕然とする。そして、大量の野菜と共に目の前に姿を現したウォレスといえば…。耳がうさぎ化したまんま元に戻っていない。グルミットはウォレスに鏡を突きつけ、自分がうさぎ男に変身しているのだと知らせようとしたが、ウォレスは笑って取り合わない。だが、太ったハッチがかつてのウォレスのようにチーズを丸飲みし、『ゴルゴンゾーラは最高だね』とうそぶくのを目の当たりにしては、いかな能天気なウォレスでも真実を受け入れざるを得ない。そう、ウォレスはうさぎ化し、ハッチがウォレス化しかけていたのだ。
レディ・トッティントン主催の巨大野菜コンテストは、着々と準備が整えられていた。ところがモンスターはまだ捕まってはいない。街の人々の意見は、かくなるうえはコンテストを中止にするべきというものだった。レディは涙ながらに訴える。コンテストは500年以上も続く伝統ある行事、なんとか中止にしない術はないものか。そこへ登場したのがヴィクターだ。
ウォレスは心コントローラーを修理すべく、設計図と首っ引きになっていた。だが心が半分うさぎになっている彼には、とうていマシーンの修理など不可能だ。ところが、絶望に嘆くウォレスの傍らで、半分ウォレス化しているハッチがねじ回しとペンチを握る。“もう1人のウォレス”がマシーンの修理を始めたのだ。と、そこに来客が!うさぎの耳のままでは玄関に出られない。彼はグルミットの手を借りて、慌てて帽子で耳を隠した。来客はレディ・トッティントンだった。彼女はいまだ野放しになっているモンスターを退治するため、ヴィクターに射殺を頼んだというのだ。時、折りしも月夜。ウォレスは月のせいで、レディの目前で変身しかかる。そうとは知らないレディは、弁解もせず自分の前から必死に逃げようとするウォレスに憤慨。彼女が帰宅した頃合を見計らって、ヴィクターが黄金の銃弾を携えてウォレスの家にやってくる。グルミットは、つい食い気に走るうさぎ男を導くため、以前作ったお色気めすうさぎのぬいぐるみを着て外に飛び出した。その後を追いかけてうさぎ男も。そこにヴィクターが現れ、うさぎめがけて発砲する。 1発…2発。固唾を呑んで見守っていたレディ以下街の人々は、ついにモンスターが退治されたことに一瞬表情を曇らせたのち、司祭のシャウトを合図に一斉に大騒ぎとなった。コンテスト開始の時間だ!
ところが、ヴィクターが撃ったのはうさぎ男ではなく、ぬいぐるみの方だった。肝心の標的はその場から逃れ、コンテスト会場へと向かったらしい。彼はグルミットを檻に閉じ込め、最後の銃弾を持って自身も会場に足を運んだ。ヴィクターは会場内で、野菜に釣られてうさぎ男が現れるのを待ち構えた。だがめざとい住人に見つかり、もみくちゃにされる。彼は腹をくくり、うさぎ男をまだ仕留めていないことを人々に打ち明ける。グルミットは、なんとか檻から脱出しようと必死だ。だがうまくいかない。そこでハッチがウォレスの寝室にいることを思い出した。警報機を鳴らし、自動装置でハッチを車に乗せて外に出す。ハッチの助けで檻から出ると、グルミットはうさぎ男の囮にするため、断腸の思いで丹精込めた巨大瓜を収穫した。
パニックのるつぼとなったコンテスト会場。ヴィクターは、出品された野菜を囮にしてうさぎ男を誘い出し、撃ち殺すと宣言した。だがマルチ夫人は、かわいいベイビーを囮にされてはかなわないとばかりに、かぼちゃを抱えて逃げ出してしまう。案の定うさぎ男が土中からかぼちゃを狙う。ヴィクターは、マルチ夫人が導いてきたうさぎ男に狙いを定めた。ところがすんでのところで、グルミットとハッチの乗った車が横切って邪魔をする。最後だった黄金の銃弾はそれてしまった。ヴィクターは歯噛みをしつつ、黄金のトロフィーを銃に装てんして撃とうとした。そうはさせじとレディがヴィクターと揉み合う。その模様を見たうさぎ男は、グルミットの瓜の囮に目もくれず、ヴィクターを蹴り倒してレディを攫った。怒りのまま、うさぎ男はキング・コングさながら会場をめちゃくちゃにしてのし歩く。人々は手に手に鋤や鍬を構え、モンスターに迫った。マルチ夫人は電動のこぎりのスイッチをオンにする。モンスターは追い詰められ、飛び跳ねて邸の屋上へ。よじ登ってきたヴィクターを下に振り落とし、月に向かって遠吠えするうさぎ男。彼はレディを抱えたまま温室に入ると、彼女に向かって両手を振って合図した。ウォレス独特の仕草。レディは、うさぎ男の正体がウォレスだと気づくのだった。
グルミットは飛行機のアトラクション“DOGFIGHT”にありったけのコインを投入し、めいっぱいアクセルを踏む。飛行機はテントを突き破って文字通り飛び上がる。ヴィクターの猟犬フィリップは、グルミットを追うため自分もアトラクションに突っ込んでいった。

ついに真実を知ったレディは、銃を構えるヴィクターからウォレスを守ろうと懸命に訴える。ヴィクターは耳を貸さないどころか、うさぎ男の正体がウォレスだったことを最初から知っていたことまで口を滑らせてしまう。開き直ったヴィクターは、レディに財産目当てで近づいたことまでバラす。レディは殺虫スプレーをヴィクターに吹きかけ、ウォレスを逃がした。しぶといヴィクターはレディを巨大瓜にピン止めすると、ウォレスを追いかけていく。グルミットは空からヴィクターを狙ったが、猟犬フィリップが同じように飛行機を操縦して背後に迫る。彼はグルミットの飛行機を突き落とそうと、背後から体当たりしてくるのだ。なんとかフィリップの飛行機は振り落としたものの、本人(犬)はグルミットの飛行機の後尾にしがみついていた。フィリップはシャベルを振り上げ、その柄でグルミットの首を締め上げる。絶体絶命!しかしそのとき、コイン切れを知らせるブザーが鳴った。コインを投入しなければ飛行機は止まってしまう。グルミットはシャベルをフィリップに預け、急いでコインを探った。だが足らない。フィリップは痺れを切らし、お上品に自分の財布を開けた。果たしてコインはあり、飛行機は再び動き始める。バトル再開。あわや飛行機から落とされる寸前、グルミットは“爆弾投下”のボタンを押した。飛行機の底が抜け、フィリップは空中にダイブした。
ウォレスもヴィクターに追い詰められていた。グルミットはうまく飛行機の方向を転換し、ウォレスの元へ急ぐ。だが黄金のトロフィーは発射されてしまった。グルミットはロープを握り締めて飛行機を突っ込ませ、無事トロフィーを飛行機の脇腹に命中させた。大成功!彼は大喜びのウォレスとついうっかりハイタッチをしてしまう。ロープを離してしまったその拍子に、飛行機は真っ逆さまに落下。ウォレスは夢中で空中に飛び出し、飛行機ごとグルミットを抱え込み、チーズのテントの上に落ちていった。
邸の屋上で勝ち誇り、高笑いするヴィクター。だが戒めから抜け出したレディに後頭部を思い切り殴られ、哀れチーズテントの上に落下した。ウォレスは気を失ったままだ。事情を知らない人々が、手に手に武器を持ってチーズテントに押し寄せる。機転を利かせたグルミットは、ヴィクターに雌うさぎぬいぐるみを着せテントの外に放り出す。人々はぬいぐるみをモンスターと勘違いしたまま、その後を追いかけていった。
レディもウォレスの元に駆けつけた。依然として気を失ったままのウォレスは、呪いが解けたかのように人間の姿に戻っていった。グルミットは涙を流す。ついにウォレスの元からうさぎが消え、彼は安らかな眠りについたのだ。レディも、そばに集まってきた野良うさぎ達も、皆おいおい泣き始めた。そこでグルミットは閃く。チーズだ!ウォレスが元に戻ったならば、チーズの匂いに誘われて目を覚ますかもしれない。かくしてウォレスは、鼻先に置かれた悪臭チーズの強烈な香りで現世に戻ってきた。そしてチーズをぱくり!これで完全に元のウォレスに戻ったのだ。大喜びで抱き合うウォレスとグルミット。野良うさぎ達も一緒に大喜びだ。だが、ウォレスは変身した際に素っ裸になっている。もちろん今もすっぽんぽん。レディが気づく前に、グルミットがダンボールの箱でウォレスの大事な部分をカバーした。本当に2人は素晴らしいパートナーである。
黄金のトロフィーは無事だった。レディはそれを大活躍だったグルミットに進呈する。トロフィーは、彼の勇気とパワーにこそふさわしい。レディは改めてウォレスに感謝した。ヴィクターと結婚するという愚挙を犯さずにすんだからだ。
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数日後。レディはウォレスの手をとった。グルミットが2人を写真に収める。そう、今日は、トッティントン邸で“うさぎ保護区”をオープンする記念すべき日だったのだ。捕獲されていたうさぎ達は盛大な拍手を贈る。うさぎ達は1匹残らず邸の広大な庭に放された。今日からここがうさぎの楽園となるのだ。うさぎ達は勢い良く穴から飛び出しジャンプする。その中に一際大きなジャンプをするうさぎが。“チーズ!”と叫ぶウォレスの分身、ハッチだった。

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お帰り、ニック・パーク監督!「ウォレスとグルミット」シリーズの生みの親、パーク監督が念願の企画を実現させました。

パーク監督は、前作「チキン・ラン」で初めてアメリカ資本(ドリーム・ワークス製作)と提携し、クレイアニメによる初の長編作品を製作しました。一連のウォレスとグルミットシリーズですでに世界的に知名度の高かったパーク監督の本格的な長編として、かなり期待の寄せられた作品であったのですが、欧米での評判はともかく、ここ日本での一般的な評価はまちまちでした。
スティーヴ・マックィーン主演作「大脱走」にモチーフを得た「チキン・ラン」では、随所に様々な活劇映画の名シーンを再現させるなど、往年の名画へのオマージュを捧げていました。しかも、いかにもパーク監督らしいディテールに工夫を凝らした演出で、クライマックスのチキン達の大脱走シーンにつなげていく職人芸も健在。なのに、観ていて作品にいまひとつ乗り切れなかったのも確か。シニカルなギャグで笑える部分もあるのですが、全体的に、合わないサイズの靴を無理やり履かされているような窮屈さを感じてしまうのです。初めてのアメリカ資本での製作、しかも初めて取り上げる題材でしたので、パーク監督もいささかやりにくい面もあったかもしれませんね。

その点、パーク監督の分身ともいえるウォレスとグルミットのシリーズ最新作では、いらぬ心配は一切無用であるのです。
オープニングで、あの耳に馴染んだマーチ風のテーマソングが聴こえてくると、アラ不思議。もう心はウォレスとグルミットの世界へ飛んでいきます。このシリーズでは、オープニングは必ずウォレスの家の壁に貼られた2人の写真を俯瞰するシーンから始まるのですが、今回も、彼らの過去の冒険譚が写真でおさらいできるようになっています。過去作をご覧になったことがある方にはうれしいプレゼント・シーンですね。そして最後に飾られた写真は、ウォレスとグルミットが肩を組んで映っているもの。これに“HOME SWEET HOME”と名前がつけられているのは、このシリーズこそ懐かしい我が家だと信じるパーク監督の、偽らざる心境なのではないでしょうかね。
このシリーズの特筆すべきところは、長尺になっても作品のスタンスが変わらないことでしょう。つまり、ウォレスとグルミットの活躍が展開されるのが、彼らが住む家から半径数キロ以内の世界に限っているということです。日常生活の中で起こるささいなできごとから、突拍子もない冒険が生まれるのだというプロットが、多くの人を惹きつけて止まない魅力だと思われます。

今回も、2人が住む街で開催される巨大野菜コンテストを舞台に、とんでもない大事件が持ち上がるのです。「ウォレスとグルミット 危機一髪!」では窓拭き清掃業を始めていた2人、今作では街の野菜を食い荒らす害獣(うさぎ)を駆除する仕事をしています。その名も『アンチ・ペスト』社。仕事は軌道に乗っていたものの、そこへ伝説のうさぎモンスターが現れて、結果的に街は大混乱に陥ってしまいます。街の人々が異常なまでのパッションで守り育てている巨大野菜のために、2人はこのモンスターの正体を突き止めることに右往左往するわけですが…。今までの冒険譚でも、事の発端は、天才発明家ウォレスが妙な発明品をこしらえるたびに予想外のハプニングが起こってしまうことでした。結果的にウォレスのうっかりミスが事件につながり、その尻拭いを忠実なる愛犬グルミットが行う、というパターンですね。この『ウォレスの法則』は今回も健在で、モンスター誕生の一端をになってしまうのが、当のウォレスが開発した『心コントローラー』なる怪しげな発明品。人の心の中にあるネガティヴな思考を吸い取ってしまうというこの機械、彼がこれまで作ってきた自動叩き起こしマシーンや自動お着替えマシーン、自動出勤マシーンなどとは一線を画する危険なシロモノでした。
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ウォレスは、心コントローラーを使って、野菜嫌いのウォレスの思考をうさぎに植えつけることで彼らを野菜嫌いにすようとします。そうすれば、そもそも害獣など世の中からいなくなるのではないかという突拍子もない発想ですね。数々の自動制御マシーン共々、彼の発想力の原点には、“なんとか楽して暮らしたい”というレイジーかつ子供っぽい論理があるのですね。そもそも心コントローラーだって、辛いダイエットをしたくないウォレスが楽してダイエットできるように、と作りだしたもの。すべからく、人類の科学の発展を導いてきたのは、こういった“より楽チンな生活をしたい”という人間の野望ですよね。それが今回は、科学の世界とは全く相容れない伝説の化け物を甦らせてしまったのですから、科学偏重の現代人のあり方に、シニカルな一石を投じているともいえるでしょう。

また同時に、モンスター誕生の後押しをしてしまったのは、巨大野菜に固執する街の人々のエゴです。彼らは、自分の野菜を守るためならどんな犠牲も厭いません。たとえそのためにモンスターを生み出すことになり、しかもそれを殺さねばならなくなったとしても。この辺りの大衆心理の描き方は、過去のモンスター映画を髣髴とさせますね。終盤、手に手にオノや鍬、チェーンソーを抱え、目を血走らせてうさぎ男を追う人々の姿は、そのまま、フランケンシュタインやキング・コングを追いつめていった怪奇映画の中の大衆のそれとだぶります。この作品では、従来のヒッチコックなどのサスペンス映画へのオマージュ(「ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!」)に加えて、狼男やフランケンシュタイン、キング・コング等のモンスター映画への愛情も随所に感じられますね。パーク監督自身、子供の頃に見た怪奇映画にはおおいに影響を受けたと言明しております。
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さて、良質のサスペンス映画には優れた悪役が必要であるとの法則に漏れず、一方でサスペンス色も濃いこの作品でも、実に魅力的な悪役が登場します。レイフ・ファインズが声を当てたことで話題となった、ヴィクターですね。こいつがまた食えない奴でして、尊大で強欲で見栄っ張りの傍若無人、加えて銃を振り回すのが大好きという、絶対友達になりたくないタイプの男です。婚約者レディ・トッティントンに近づいたのも、彼女の財産目当て。レイフは、普段の二枚目ぶりもふっとぶほどのこのヒール男を実に生き生きと演じています。ちなみに、ヴィクターの見栄っ張りヅラがふっとんだシーンでは、私、最近生え際がデンジャラス・ゾーンに突入してきたレイフ本人を思い出してしまいました(笑)。ヒール役の宿命で、にっくき恋敵ウォレスを亡き者にしようとしたヴィクターも、最後にはトッティントン邸の屋上で半ケツをさらすわ、街中の人々に追い回される羽目になるわで、大変な目に遭うのですが。
他の出演者で特に目立つのが、街の司祭。彼もまた一癖ある人物で、陰でこっそり『尼さんプロレス』誌を愛読しています。モンスター誕生の責任を街の人々のエゴに求めて戒める一方で、そのモンスターが射殺されたと聞いて真っ先に「イェ〜イ!」と絶叫するのが彼です(笑)。聖職者にあるまじき俗物ぶり、彼の言動がこの作品のシニカルなお笑いに大いに貢献していましたね。
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今回のヒロイン役レディ・トッティントンは、自身もアッパークラス出身のヘレナ・ボナム=カーターが演じました。彼女はぎょろ目で、歯がむき出しになるぐらいのでっかい口。頭にはにんじんのような巨大な髪の毛を乗せています。到底世間でいうところの“美女”ではないのですが、このシリーズ中に登場する人間の造作は、皆ウォレスの容貌が基本です。なので、レディも作品の中では“美しい”部類に入るのですね(笑)。今回彼女がウォレスとほのかなロマンスを展開するのですが、「ウォレスとグルミット 危機一髪!」での恋のお相手グウェンドレンのときと同様、発明オタクでオクテな天然男ウォレスは、その風貌に似合わず恋に関しては結構積極的です。今回も、レディが自分に好意を寄せてくれるやいなや、恋の誕生を信じて疑わない猪突猛進ぶり。彼女達の方も、天真爛漫なウォレスにいつのまにか惹かれているのですね。ところが悲しいかな、ウォレスの無邪気さとは、子供のそれと全く同質で、無意識のうちに数々のトラブルを招き寄せてしまうというやっかいなもの。彼女達がそんな男に対処できるとは思えません。ウォレスのいいところも悪いところも全てを受け入れ、なおかつ無私の友情を捧げるグルミットとの関係性に敵うものはないのです。ために、ウォレスの恋物語は、あくまでもグルミットとの深い信頼関係を際立たせるためのスパイスにすぎないのでしょう。

この作品の真の主役は実はこの忠犬グルミットともいえます。主人のウォレスとは違い、堅実で常識的で物静かなインテリ(趣味は編み物)である彼は、気まぐれなウォレスがどんな状況に陥ろうと、片時もそばを離れずその支えとなるのですね。どんな人間でも、人生においてこんなコンパニオンに恵まれる幸運はそうないでしょう。つまり、英国の生んだもう一人のコミカル・ヒーロー、ミスター・ビーンが常にテディ・ベアを手放さないように、ウォレスにとってのグルミットとは、常に無垢であった幼少期を象徴する存在であるかもしれないのです。
そのグルミットの活躍の白眉となるシーンは、やはり、作品終盤に用意されたアトラクションの飛行機によるチェイスシーンでしょう。過去の短編においても、おもちゃのレールを組み立てながらのチェイスシーンなど、名シーンはあったのですが、さすが今回は長編というだけあって、そのスケールも何倍もグレードアップしていました。こればかりは、実際に映像を観て頂いて、凝りまくったディテールに裏打ちされた迫力を楽しんでください。「マトリックス」のパロディシーンも登場して、そのハチャメチャさは天下一品です。そして感心したのは、このクライマックスのテンションが作品を通じて一時も緩まなかったことですね。
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何の変哲もない日常生活の中にこそ、いつだって大冒険は潜んでいる。私たちは大人になるほどに、そのことを忘れてしまいます。永遠に子供の心を忘れないウォレスとグルミットの物語の中には常に、人生に対する驚きと新鮮な発見がキラ星のごとく輝いているのです。

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「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」―ニック・パーク監督 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
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