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zoom RSS 「チキン・ラン Chicken Run」―ニック・パーク監督Dir. Nick Park

<<   作成日時 : 2014/11/30 01:03   >>

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自由に向かって飛べ!

「チキン・ラン Chicken Run」(2000年製作)
監督:ピーター・ロード&ニック・パーク Nick Park
製作:ピーター・ロード&ニック・パーク&デヴィッド・スプロクストン
製作総指揮:ジェイク・エバーツ&ジェフリー・カッツェンバーグ&マイケル・ローズ&スティーヴン・スピルバーグ
原案:ピーター・ロード&ニック・パーク
脚本:カレイ・カークパトリック
撮影:トリスタン・オリヴァー&フランク・パッシンガム
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ&ジョン・パウエル&ジェームズ・マッキー・スミス&ジェフ・ザネリ
声の出演:メル・ギブソン(ロッキー)
ジュリア・サワラ(ジンジャー)
ジェーン・ホロックス(バブス)
イメルダ・スタウントン(バンティ)
ベンジャミン・ホイットロー(ファウラー)
リン・ファーガソン(マック)
ミランダ・リチャードソン(ミセス・トゥイーディ)
トニー・ヘイガース(ミスター・トゥイーディ)
ティモシー・スポール(ニック)
フィル・ダニエルズ(フェッチャー)

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イギリス、ヨークシャー州にあるトゥイーディ養鶏所。ここでは卵を採取するため、雌鳥ばかりが飼われている。彼女達は、強欲で冷酷なミセス・トゥイーディ(声・リチャードソン)の支配下で、囚人のような生活を送っていた。小さな鶏小屋が狭い敷地いっぱいにぎっしり並ぶなかで、来る日も来る日も与えられるエサを食べては卵を産む生活。そんな毎日に嫌気が差していた雌鳥ジンジャー(声・サウラ)は、何度も脱走を試みては、養鶏所の見張り番である獰猛な犬たちとミスター・トゥイーディ(声・ヘイガース)に捕えられ、小屋に連れ戻されていた。脱走の常習犯であるジンジャーは、そのたび罰として一晩ゴミ箱の独房に放り込まれていたのだった。それでも彼女はあきらめない。なぜなら、卵を産めなくなった雌鳥たちには過酷な運命が待っているからである。
雌鳥たちは、毎朝養鶏所でただ1羽の雄である老鶏ファウラー(声・ホイットロー)の点呼のもと、ミセス・トゥイーディの前に一列に並ぶ。ミセス・トゥイーディは、毎日の産卵数をチェックしている。ある日から続けて卵を産まなくなった雌鳥エドウィーナは、ミセス・トゥイーディ自らの手で首を落とされ、その夜の食卓にローストチキンとなってのっていた。
エドウィーナを助けてやれなかったジンジャーは、再び脱走することを固く心に誓う。この養鶏所にいる雌鳥すべてが一度に逃げられる方法を考えるのだ。機械の設計が得意なマック(ファーガソン)は、新たな脱走用の装置を考え出した。鶏の体は、元々飛ぶようにはできていない。養鶏所の周囲を取り囲む鉄柵を越えるためには、推進力が必要だ。そこで、パチンコの要領で、大きなゴムを引き伸ばしそれが跳ね返る力で鶏の体を飛ばすのだ。早速装置を作るのに必要な材料の調達を、養鶏所に出入りするねずみのニック(声・スポール)とフェッチャー(声・ダニエルズ)に頼むジンジャー。彼らは、大掛かりな装置なので、見返りとして彼女らの産む卵を要求する。ここでは卵は貴重品だ。しかしジンジャーは、装置を作るために卵を余計に産む決意をする。
一方ミセス・トゥイーディは、卵の売り上げ計算に余念がない。しかし地道に卵を売る商売は儲けが少ない。うんざりした彼女は、なにか一発大儲けできる方法はないかと考える。天敵のジンジャーを先頭に、チキンたちがなにかたくらんでいるに違いないと疑念を深めるミスター・トゥイーディをどやしつけた彼女はひらめいた。有り余るほどいる鶏たちを使って、ホームメイド・チキン・パイを製造し大々的に売り出すのだ。暖かいおふくろの味、田舎風のチキン・パイ。きっと売れる。
鶏たちに警戒心を募らせるミスター・トゥイーディの目を盗みながら、雌鳥たちは脱出装置を作る。ある夜、空から雄たけびをあげながら、1羽の雄鳥が鶏達の小屋の外に墜落した。あわてて介抱するジンジャーたち。彼は名をロッキー(声・ギブソン)という。自由の国、アメリカから来たローン・フリー・レンジャーだと言う。彼が空から落ちてきたため、雌鳥たちは、彼が鶏でありながら空を飛べるのだと思い込んだ。ジンジャーたちは、彼に飛び方を教えて欲しいと懇願する。飛び方をマスターして、みんなでここから脱出したいのだ。しかしなにか後ろめたいことがあるのか、係わり合いになりたくないと、ロッキーは一人養鶏所から出ようとする。そのときミセス・トゥイーディの自宅に、サーカスの支配人が1羽の雄鳥を探しにやってきた。なんと、ロッキーはサーカスで飼われている鶏で、“空飛ぶ鶏”として人気者だったのだ。ジンジャーは、羽を負傷して治療が必要なロッキーに取引を申し出る。彼を匿う代わりに、みなに飛び方を特訓して欲しいというのだ。イヤなら今すぐサーカスに引き渡す。
しぶしぶ承知したロッキーだったが、雌鳥だらけの中で唯一若くてハンサムな雄鳥として、下へも置かないもてなしを受けると、ころりと態度を変える。すっかり指導者気取りとなり、雌鳥たちに飛行のための特訓を行うのだが、ひたすら体操をさせたり、その場でぐるぐる廻らせたりと、インチキくさいことこの上ない。昔英国空軍にいたという、昔かたぎで軍隊かたぎの老ファウラーは、このヤンキー鶏を嫌っていた。完成した脱出装置を駆使しても、誰一人として飛べるようにならない現実を見たジンジャーは、いらいらしてロッキーに辛く当たる。そうこうするうちに、養鶏所に大きな荷物が届く。ジンジャーは悪い予感がする。ミセス・トゥイーディがなにかたくらんでいるのだろうか。
次の朝の点呼のとき、いつも編み物をしているのんびりやのバブス(声・ホロックス)は、飛行訓練にかまけていて全然卵を産んでいなかったことに気がつく。震え上がるバブスの前にミセス・トゥイーディがやってくる。一巻の終わりと観念したとき、ミセス・トゥイーディはバブスの腹回りをメジャーで測り、充分太っていることに満足した。そして、エサの量を2倍にして他の雌鳥たちも太らせるようミスター・トゥイーディに命令するのだった。いきなりエサをたくさんもらえるようになったので、雌鳥たちは我も我もとエサをむさぼる。なにかおかしいと気づいたジンジャーは、エサ箱をひっくり返して叫ぶ。
「これはなにかの罠だわ。私たちを太らせたあげく、殺して食べてしまうつもりなのよ!エサを食べちゃダメ!」
“死”という言葉を聞いた雌鳥たちは、いっせいに沈黙し落ち込んでしまう。みな生きる気力を失ってしまったのだ。ロッキーは、ジンジャーを責める。
「他の者に、これからなにかをやらせようという時に、“死”なんて言葉を言ってはいけない」
「では嘘を言えと?」
「そうじゃない。みんなのやる気を削いではいけないんだ」
「アメリカではどうだか知らないけど、英国ではどんなときでも真実を語るの」
「君は頭でっかちのトウヘンボクだ!」
喧嘩別れしたロッキーとジンジャー。
ロッキーは、ねずみのニックとフェッチャーに、パーティの準備をさせた。小屋の中をパーティ会場に変身させて、ラジオでダンス・ミュージックをかける。ノリのいい音楽に、冷ややかで現実主義なバンティ(声・スタウントン)も、思わず踊り始める。釣られてバブスや他の雌鳥たちも。ファウラーまでが楽しそうだ。踊り明かしてひとときの憂さを晴らすのだ。笑顔の戻った仲間を見て、ジンジャーは自分のかたくなな態度を反省した。ロッキーに謝り、二人は無事仲直りする。
ミセス・トゥイーディは、最新型チキン・パイ製造マシーンに頬ずりする。これでチキン・パイを大量生産できる。試作品を作るため、ミスター・トゥイーディに鶏を1羽持ってくるよう言いつける。積年の恨みを晴らすため、彼はジンジャーを小屋から連れ出し、パイにしようと目論む。ジンジャーは、自分がパイ製造マシーンのえじきになろうとしていることを知って愕然とする。一方、小屋の仲間達は大騒ぎになっていた。ジンジャーを救出するため、ロッキーはハンガーを電線にひっかけ、パイ・マシーンのある納屋までつっこんでいく。
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複雑なマシーンの中で、ジンジャーを救おうと悪戦苦闘するロッキー。パイ生地の中に閉じ込められて丸焼きにされる寸前、辛くも逃げ延びた二人。ロッキーが、パイ・ソース注入口に野菜を突っ込んだおかげで、マシーンは壊れてしまった。怒り狂うミセス・トゥイーディを尻目に、ロッキーとジンジャーは急ぎ小屋に帰り、仲間にパイ製造マシーンのことを知らせた。一刻の猶予もならない。マシーンの修理が終わる前にここから脱出しなければ、いずれチキン・パイになってあの世行きだ。ジンジャーは、ロッキーの羽が治ったのだから、明日みなの前で飛び方を実践して欲しいと頼む。いよいよ脱出決行が近くなり、みなに活気が満ちる。ファウラーは、ジンジャーを救った勇気あるロッキーに、英国空軍から授与された宝物の勲章を与え、敬意を表した。
重大な秘密を抱えているロッキーは、希望に満ちている雌鳥たちにそのことを言い出せず、悩む。そんなこととは露知らず、ジンジャーはすっかりロッキーに信頼を寄せ、いつか青い草をこの目でみてみたいのだと告白する。ロッキーはそんなジンジャーに隣の芝は青く見えるものだと、力なく返すのだった。
翌朝早速飛行実践をしてもらおうと、ジンジャーはロッキーを呼びに来る。しかしロッキーの姿はどこにも見当たらず、ベッドの上に彼の姿を描いたサーカスのポスターの破れた下半分が置かれているだけだった。ジンジャーがそれを壁に貼り付けたポスターと合わせると、ロッキーが大砲の砲弾にくくりつけられて飛んでいる絵になった。つまり彼は自力で飛んでいたのではなく、大砲の力を借りて“落ちていた”にすぎないのだった。みるまにジンジャーの目に涙があふれ、雨がざあざあと降り始める。所詮鶏に飛ぶことなんてできない。騙され、裏切られたと知った雌鳥たちは、ヤケになって互いに言いがかりをつけてつかみ合いの喧嘩を始めた。ファウラーが、内部分裂は敵の思う壺だといさめたとき、ジンジャーはひらめく。ファウラーは“棺おけ”というあだ名のついたプロペラ機に乗っていた。そう、大きな飛行機を作ってみなで乗り込めばいい。そしてみなでペダルをこいでプロペラを回せばいいのだ!そうとなれば急がなければ。パイ製造マシーンの修理が終わるまで幾日もない。ここで死ぬのを待つか、みなで脱出するか。ジンジャーが発破をかけ、雌鳥総出で飛行機製作が始まった。
ミスター・トゥイーディは必死になってマシーンを修理した。自分の工具がなくなっていることに気づいた彼は、鶏小屋でそれを発見する。ねずみのニックとフェッチャーが飛行機製作の道具として、雌鳥たちに渡していたのだ。いよいよ鶏たちがここから脱出しようとしていることを知ったミスター・トゥイーディは、大慌てでミセス・トゥイーディに知らせようとした。ジンジャーはじめ雌鳥たちはいっせいに彼につかみかかり、ひもでしばりあげる。
「もう時間がないわ。今逃げるのよ!」
かくして一度もテスト飛行しないまま、ジンジャーたちは飛行機を飛ばすことにした。当然ファウラーに操縦を頼んだが、驚くべきことが発覚。ファウラーは、単なる英国空軍のマスコット鶏であり、自慢げに語っていた飛行機での戦闘の際も、後ろの席でおとなしく座っていただけ。一度も操縦したことなどなかったのだ。今更の彼の告白にあわてている暇はない。
「ファウラー、英国空軍の誇りはどこへいったの!あなたなら必ずできる。お願い、操縦して!」
みなに励まされ、ファウラーも意を決して操縦桿を握った。ついに離陸。しかし滑走路が短くてなかなか飛び立てない。そこにフラフラ出てきたミスター・トゥイーディのせいで、離陸のための台が倒されてしまう。ジンジャーは外へ飛び出して台を立て直そうと踏ん張る。そこへ立ちはだかったのは、ミセス・トゥイーディ。手に斧を持ち、ジンジャーめがけて振り下ろす!台ごとジンジャーを踏み潰そうとするが、なんとロッキーが、三輪車に乗ったまま鉄柵を飛び越えやってきた。ロッキーはミセス・トゥイーディに体当たりし、ジンジャーを助けて台を直し、飛行機は無事離陸。飛行機に絡みついたライトアップ用の電球の線をつかみ、ジンジャーとロッキーも空を飛んだ。
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ほっとしたのもつかの間、電球の線をミセス・トゥイーディもつかんでいた。斧を振り回し迫る彼女。ジンジャーはバブスからはさみをもらうと、自ら線を切ろうとする。彼女を援護しようと、ロッキーはねずみのニックとフェッチャーに卵を持ってこさせ、次々とミセス・トゥイーディにぶつけた。卵爆弾にひるまないミセス・トゥイーディは、斧でジンジャーを殺そうとする。すわ、斧がジンジャーの首をはねた!と誰もが思った瞬間、ジンジャーはひょいと頭を上げ、隙を突いて線を切り取ってしまった。
「バイバイ」
悲鳴を上げながら夜空を落ちていくミセス・トゥイーディ。彼女の体は納屋のパイ製造マシーンに突っ込んだ。やっと治ったばかりのマシーンはまたまた大爆発を起こし、ばらばらに壊れてしまったのであった。

緑豊かな森の中で、鶏達が子供を育てている。ファウラーは雛達に飛行機の冒険談を話し、マックは科学の授業を行っている。その様子をうれしそうに見つめるジンジャー。ロッキーが近づき、彼女にささやく。
「想像通りかい?」
「いいえ。想像以上よ!」
その森は鳥達のための自然保護区であった。今や鶏たちの楽園でもある。


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冒頭、主人公の雌鳥ジンジャーが、トンネルを掘ったり、鉄柵の下に穴を掘ったり…と、手を変え品を変えて脱出に挑戦し続けるシーンがあります。果ては“独房”に入れられて、朝までテニスボールを壁にこつんこつんとぶつけるというシーン。これ映画好きな方なら、思わずにやける演出なんですね。

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「大脱走 The Great Escape」(1963年製作)
監督:ジョン・スタージェス
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:スティーブ・マックイーン(独房王・ヒルツ)
ジェームズ・ガーナー(調達屋・ヘンドリー)
リチャード・アッテンボロー(ビッグX・バートレット)
ジェームズ・コバーン(製造屋・セジウィック)
チャールズ・ブロンソン(トンネルキング・ダニー)
ドナルド・プレザンス(偽造屋・コリン)
デヴィッド・マッカラム(砂処理屋・アシュレー) 
ハンネス・メッセマー(ルーガー所長)
ジェームズ・ドナルド(先任将校・ラムゼイ)他。

そう、「チキン・ラン Chicken Run」は、実は全編この「大脱走 The Great Escape」にオマージュを捧げた作品なのです。ニック・パーク監督も、共同監督を務めたピーター・ロード(アードマン・アニメーションズの代表)も、ドリームワークス傘下で長編作品製作が決定したとき、養鶏所に囚われの身になっているあまり頭のよくないチキンたちのキャラクターを思いついたそうです。そしてすぐさま名作「大脱走」にインスピレーションを得て、ストーリーの原案を練ったとか。確かに、脱走をあきらめないジンジャーは、マックィーン演じたヒルツのキャラ。そのほかにも、脱走計画を練る係り、装置を作る係り、用具を調達する係り…と、脱走計画において、鶏たちの役割分担がきちんとできているところも笑えます。また、これは物語後半になって出てくるのですが、ロッキーが三輪車(バイク)に乗って鉄柵越えをするシーンも、「大脱走」でヒルツがバイクにまたがって鉄条網越えをする有名な場面のパロディになっていますね。
しかし「チキン・ラン」の場合、人間に飼われている雌の鶏という、ちょっと捻ったプロットになっています。そこからストーリーが発展していくため、「大脱走」のパロディに終始しているという印象は余りありません。その辺りは、脚本家の力だと思われます。

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人間に飼われてエサを与えられ、毎日卵を産むことになんら疑問を持たず、年老いたらロースト・チキンになるのも、運命とあきらめている。そんな鶏が多勢を占める中で、自分の意志を持ち自我に目覚めたジンジャーは、外の世界で自由を得ることそのものよりも、大勢の心の中にあるそんな“金網”をはずすことの方がよっぽど難しいと悟ります。またジンジャーは、とにかく外には“自由”があり、それは夢のような想像もつかない素敵な世界なのだと信じ込んでいるフシがありますよね。その外の世界から迷い込んできたロッキーは、自由が必ずしも幸せを意味しないのだと知っています。生きるために、養鶏所ではしなくてもいい苦労をしなくてはならない。食べ物ひとつをとっても、自分で探さねばならないのです。なにしろ誰もエサをくれないのだから。隣の芝生は青く見えるもんだというロッキーのセリフは、むしろ、観ている私たちの身にこたえます。
ぬるま湯のような社会機構の中に埋もれて、社会のあり方や政治のあり方などに特に疑問を持たず、毎日便利な生活を享受している我々。この作品の養鶏所を私たちの住まう社会だと考えれば、とても笑ってはいられない気分になってしまいます。同時に、その中で確固たる自分の意見を持って生きることが、逆に難しい社会なのだと知ることも、辛いですよね。なんでも“他の人と同じ”であることが、暗に求められている世界なのだと改めて知らされるわけですから。
おまけに、ジンジャーたちはみな雌鳥。女性なんですね。女性が画一的な社会の中で、しかも本流に逆らって自分の意見を通すことは、現在でも簡単なことではないと思います。劇中、ジンジャーは苦労の末、自ら夢を掴み取りますが、こういったストーリーがアメリカン・ドリームのように語られること自体、現実の厳しさを物語っているような気がしますね。

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さて、パーク監督は、この作品からドリームワークスと提携を結び、その資本の下で今後5作品の製作・監督を手がけることになりました。ドリームワークス製作第2弾の「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」は日本でも公開され、好評をもって迎えられました。
しかし、「チキン・ラン」に対する古くからのアードマンファンの反応は、実はあまり芳しくありません。ここ日本では、この作品がスピルバーグ好みの、ファミリー向けお子様映画に陥ってしまったと嘆く声を多く聞きましたね。まあ、物語前半部分のもたつき、狂言回しの役割を担っていたはずのねずみのニックとフェッチャーのギャグがあまりにお粗末であること、登場人物(登場鶏)が多すぎて、キャラの描きこみが型どおりに終わってしまっていることなど。欠点を挙げればいくつかあるのは確かですが、それでも、中盤のチキン・パイ製造マシーンからの珍脱出行あたりから、パークらしいドタバタのボルテージが上がり始め、鶏小屋を改造した立体ロボ的飛行機が飛ぶ奇想天外なクライマックスまで、素晴らしいテンポで観客を惹きつけます。最後に鶏達が“楽園”を作るというオチが、イギリス作品ぽくなく甘いという意見もありましょう。ですが、この作品がより広い観客層を意識して製作されたことを考えれば、ある程度の毒は薄めれても致し方ないかもしれません。あくまでハリウッド資本であるわけですし。
がっちり構築されたストーリーは、この手のアニメ作品にしては素晴らしいと思います。作品の小さなキズには目をつぶってもいいかという気にさせてくれるほど。それに、困難な現状をすっとぼけたアイデアで打破していくというカタルシスは、いつの世でもどんな世代にも希望を与えるものですから。

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