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zoom RSS 忘れられた「マニック・エデン」の園

<<   作成日時 : 2012/10/24 13:32   >>

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日々のストレスに凝り固まってしまった心を解きほぐしたいとき、皆さんはどんな音楽を聴かれますか?

なんにも聴かねえわという方もおられるでしょうし、クラシックが癒しであったり、ある人にとってはジャズやフュージョンがリフレッシュの秘訣だったりもするでしょう。はたまた、ロックンロールで憂さ晴らしが最高だあっ!という方も。
例えば私自身は、本当に落ち込んだときなど、ある特定のボーカリストの歌声を聴くと、落ち着きを取り戻すことがあります。不思議なもので、神経がぴーんと張り詰めていたり、ギスギスと苛立っている場合、いくら天使の歌声と称賛されていても、ウィーン少年合唱団を聴きたいとは思わないんですよね(笑)。テクニックに優れた歌い手というのは、聴く側にも一定の緊張感と集中力を強います。つまり、その歌い手に相応する敬意を、我々が聴く態度で示さねばならないというべきか。ですから、自分自身が疲弊しきって余裕などないときには、あまりに上手すぎる歌い手の声は聴きません。むしろ、多少ラフな歌い方であっても、ささくれた気持ちをなだめてくれる声が欲しいですね。

マニック・エデン
ビクターエンタテインメント
1994-03-24
マニック・エデン

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「マニック・エデン」
●収録曲
1. キャン・ユー・フィール・イット
2. ホェン・ザ・ハマー・カムズ・ダウン
3. ライド・ザ・ストーム
4. キャント・ホールド・イット
5. ファイアー・イン・マイ・ソウル
6. ドゥ・エンジェルズ・ダイ
7. クロッシン・ザ・ライン
8. ダーク・シェイド・オブ・グレイ
9. プッシン・ミー
10. ギミ・ア・ショット
11. キープ・イット・カミン

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エイドリアン・ヴァンデンバーグ

1959年1月31日生まれ
オランダ、ハーグ出身

オランダに生まれたギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンバーグは、国内でセッション・ミュージシャンとして活動する傍ら、ティーザーというバンドでプレイしていました。しかし彼はそれに飽き足らず、国際マーケットで通用するバンドを目指し、国内の優秀なミュージシャンを集めました。こうしてできあがったのが、キャッチーかつ練り上げられた楽曲を、70年代ロックの流れの中で展開するバンド、ヴァンデンバーグです。大手レコード会社アトランティック・レーベルからデビュー・アルバムを出すという大きなチャンスに恵まれ、バンドは順調なキャリアをスタートさせました。1982年の第1作目「ネザーランドの神話」は、70年代ハードロックの語法を用いつつも、80年代のサウンドをも導入した非常に多彩な仕上がりとなります。しかしあくまでもメインとなるのは、エイドリアンの作曲能力の高さが伺える楽曲の素晴らしさであり、マイケル・シェンカーの洗礼を受けた彼のテクニカルなギター・プレイでありました。いかにもヨーロッパのギタリストらしく、様式美に則ったテクニックでありながら、メロディ・ライン重視、即興性にも優れた緩急自在の演奏は、アルバムがヒットしたアメリカ以上に日本で熱心なファンを獲得します。1984年にリリースされた第2作目Heading For Storm〜誘惑の炎〜」は、アメリカのマーケットを意識したか、随分ポップ寄りの作風になりましたが、アルバム全体の統一感は申し分なく、エイドリアンのペンのなる楽曲は相変わらずの質の高さを誇ります。バート・ヒーリングの渋い歌声、ギター・ワークも完璧だったのですが、なぜかセールス面では苦戦。しかし日本では逆にキャッチーなメロディが幅広い層に受け、来日公演も大盛況でありました。第3作目「Alibi」では、アルバム制作にレコード会社が介入する苦境に立たされますが、それでも全体的に落ち着いたトーンで作品がまとめられ、なかなかの好盤に仕上がりました。しかし間の悪いことに、アメリカのミュージック・シーンでは“LAメタル”が台頭しはじめます。バンドとアルバムの内容は良くても垢抜けず、華やかさに欠けるヴァンデンバーグは、やはりここでもシーンから取り残される結果になりました。膠着した活動状態に嫌気が差したヴォーカルのヒーリングが脱退し、エイドリアンも大物バンド、ホワイトスネイクから加入を打診され、バンドは空中分解。わずか4年の活動期間でした。エイドリアンは、その類まれなる作曲能力とギター・プレイを、今度はデイヴィッド・カヴァーデイルという不世出のヴォーカリストのために披露することになるわけですが…。
正直なところ、ホワイトスネイクでのエイドリアンの活動は、彼自身納得のいく内容ではなかったように思いますね。だって、彼がホワイトスネイクで為した仕事といえば、アルバム「SERPENCE ALBUS」のワールド・ツアーでのプレイ、次のアルバム「SLIP OF THE TONGUE」では腕の故障のためレコーディングに参加できず、作曲のみのクレジット…。1990年の日本公演後は、とうとうホワイトスネイク本体が活動を休止します。エイドリアンは、1993年に行われたランディ・ローズのベネフィット・ライヴに共に参加したルディ・サーゾ(ベース)、トミー・アルドリッジ(ドラム)と組んで、ブルースをベースにしたロックンロールを演奏するバンド、“マニック・エデン”を結成しました(ヴォーカルは元リトル・シーサーのロン・ヤング)。彼らが1994年に発表したデビュー・アルバム(皆年季の入ったミュージシャンばかりですが・笑)が、この「マニック・エデン」ですね。
しかしながらこのマニック・エデンも、たった1枚のアルバムのみを残し、自然消滅状態になってしまいました。カヴァーデイルが再びホワイトスネイクを始動させたからです。エイドリアンがホワイトスネイクのメンバーになってから実に11年後、彼はようやくアルバム「RESTLEES HEART」で、彼自身のギタープレイを作品の残すことができたのです。この作品では、マニック・エデン同様、ヴァンデンバーグ時代からのファンを困惑させるようなブルージーなギター・プレイを展開しています。その後、結局ホワイトスネイクも活動停止状態が続き、エイドリアン自身もいったんミュージシャンとしてのキャリアに区切りをつけます。そして、以前からの希望であった画家の仕事に打ち込み、今や各国で個展を開催するほどのアーティストに成長しました。

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『Fighting Doves Of Peace』

“ギタリスト”エイドリアン・ヴァンデンバーグのサイトはこちら。ここは素晴らしいです。エイドリアンのギタリストとしての歴史をくまなく網羅できるようになっておりますね。バイオグラフィー、ディスコグラフィーのみならず、インタビュー記事やギャラリーも充実しています。
“画家”エイドリアン・ヴァンデンバーグの作品がみられるサイトはこちら。 2004年にヴァンデンバーグが一時的に再結成されたそうですが、このサイトを見ますと、現在は画家としての活動に重きを置いているのでは…と思われます。元々彼はアート・スクールで学んだ人でして、グラフィック・デザイン(ヴァンデンバーグ、マニック・エデンそれぞれのアルバム・ジャケットのデザインも手がけた)、アヴァン=ギャルドな作風の絵画などに才能を発揮していました。ヴァンデンバーグで思わぬヒットに恵まれ、続いて大御所バンド、ホワイトスネイクに都合11年も在籍することになり、創作のための時間が全くとれない状態であったため、これまで絵筆をとることができなかったというわけですね。ですから今は、譜面に向かう代わりにキャンバスに向かうことで、創作へのエネルギーを昇華しているのでしょう。

2007年11月からベルギーで開催されているエイドリアン個人の個展“Stuck between Rock and an Artplace”では、WHITESNAKEの名曲“Here I Go Again”をアコースティック・ギターで演奏して、往年のファンを喜ばせたそうですよ。2008年はドイツ、オランダで同趣旨の個展がもたれ、そして2009年にはチェコ共和国、フランス、日本でも開催される計画であったそうですが、現在のところ少しく延期状態に。ですがまあ、エイドリアン来日実現の可能性も依然としてあるわけですよね。これがマニック・エデン再結成公演なら感涙ものなのですが(笑)、おそらくそれはないでしょう。でもせめて来日の際には、ギターを1本持ってきてもらえると、ファンとしては狂喜するというもの。

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良かった、良かった。彼もまったくギターをやめてしまったというわけではなかったんですね。

ヴァンデンバーグが好きだという方は、いまだに根強くおられると思います。彼らのメロディアスなハード・ロックは、特に日本において高く評価されていましたからね。確かに、彼らを語る上では欠かせないバラードの名曲“BURNING HEART”は、本当に素晴らしい楽曲です。ここで聴かれるエイドリアンのギター・ソロも、これぞエイドリアン節!と叫びたくなるほどの美しさを放っていました。
ですが、人の嗜好は年齢と共に変わっていくもの。エイドリアンも、いつまでもクラシカルな様式美に拘っているわけにはいかないでしょう。実際ヴァンデンバーグでも、彼は70年代のハード・ロックテイストをよく継承していましたし、ブルージーな演奏の片鱗もうかがえます。元々彼自身の音楽の記憶の中に、ブルーズ、70年代のスモーキーなハード・ロックは、きちんとインプットされていたのだと思いますよ。年齢と経験を積み、キャリアを一回りしたところで、彼も子供の頃によく聴いていたルーツ・ミュージックに回帰したのでしょうね。
この「マニック・エデン」は、1枚しかオリジナル・アルバムが存在しないバンドとは信じがたい、実にご機嫌な出来です。コアなヘヴィー・メタルだの様式美だのはちょっと…と敬遠される方にも、すんなりハマっていただけると思います。一言で説明すれば、70年代なつかしのブルージー・ハード・ロック。しかしメンバーは全員、テクニカルなへヴィー・メタルの薫陶を受けた人たちばかりですから、演奏水準、あるいは楽曲の構成においても非常に高いレベルを誇っています。エイドリアンもルディもトミーも、ホワイトスネイク時代のようにあからさまではありませんが、高い技術に支えられた緊迫感ある演奏を披露していますね。
彼らが余裕たっぷりに展開するブルース・ベースの演奏に、しゃがれた低い声が特徴的なロンのヴォーカルが絡んできます。ごくごく自然に。リラックスしながらもクールな彼の歌は、まるで10年も前からこのバンドのフロントにいるかのような安定感をバンド演奏に付与しています。ともすればテクニック至上主義に走りがちなベテラン・ミュージシャン陣に、無骨ながらウェットな詩情をもたらしているといえるでしょう。私自身は、ロンの声を聴くたびに言いようのない心地良さを感じ、いきりたった神経がひんやりと落ち着く気がします。エイドリアンの、ジミ・ヘンドリックスぽいストラト・ギターの音もよくメロディを歌っており、ロンのヴォーカルと重なるときには、両者がデュエットでもしているような錯覚に陥りますね。個人的なお勧めは、“キャン・ユー・フィール・イット”のドライヴ感、“ライド・ザ・ストーム”の独特のウェット感、元々はジョン・ウェイトのために書いたと言われる“ダーク・シェイド・オブ・グレイ”の美しいメロディです。

このアルバムは、骨太ハードロックの王道から外れるものではありませんが、聴き手の世代を問わず、また嗜好もあまり問わない普遍的なアルバムだと思っています。それはやはり、エイドリアンの生み出す楽曲が、いつの時代でも素晴らしいからですよね。彼の音楽と、偶然の、しかし幸せな出会いを果たしたロン・ヤングも、幸せ者だと呼ばねばならないでしょう。



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