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zoom RSS 「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス A History of Violence」 Part 1

<<   作成日時 : 2016/07/21 12:29   >>

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暴力の歴史は未来永劫続くのか。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス A History of Violence」(2005年製作)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ David Cronenberg
製作:クリス・ベンダー&デヴィッド・クローネンバーグ&J・C・スピンク
製作総指揮:ケント・オルターマン&ケイル・ボイター&ジョシュ・ブラウン&ジャスティス・グリーン&ロジャー・カス&トビー・エメリッヒ
原作:ジョン・ワグナー John Wagner &ヴィンス・ロック Vince Locke (グラフィック・ノベル graphic novel)
脚本:ジョシュ・オルソン Josh Olson
撮影:ピーター・サシツキー
プロダクションデザイン:キャロル・スピア
衣装デザイン:デニース・クローネンバーグ
編集:ロナルド・サンダース
音楽:ハワード・ショア
出演:ヴィゴ・モーテンセン Viggo Mortensen(トム・ストール)
マリア・ベロ Maria Bello(エディ・ストール)
エド・ハリス Ed Harris(カール・フォガティ)
ウィリアム・ハート William Hurt(リッチー・キューザック)
アシュトン・ホームズ(ジャック・ストール)
ハイディ・ヘイズ(サラ・ストール)
ピーター・マクニール(サム・カーニー保安官)
スティーヴン・マクハティ(レランド)
グレッグ・ブリック(ビリー)他。

明るい日差しが照りつけるアメリカの片田舎。ペンキのハゲかけた古びた看板、安っぽいパイプ椅子が並ぶ鄙びたモーテルから、2人の男が出てきた。1人は幾筋ものしわが顔に刻まれた小柄な痩躯の男、彼に続いて気だるげに出てきた男は、顔にまだ幼さの残る背の高い青年だ。彼らは一様に疲労しきった表情で少ない手荷物を車に放り込むと、これから東を目指すべくチェックアウトをすませる。ところが、これからの長旅には手持ちの水が足らない。青年は年かさの男に促され、大儀そうに再びモーテルの中へ入っていった。飲み水用のタンクに水を補給するのだ。青年は目をこすりつつ公衆電話の小銭入れに手を突っ込み、収穫がないと知るや奥へと足を引きずっていった。カウンターには滅多刺しにされた死体が転がり、そこらじゅう血の海だ。青年はつまらなさそうにそれらを見やると、無言で冷水器から水を出す。と、従業員用の部屋の奥から、1人の少女がぬいぐるみを抱きしめながら顔を出した。異様な状況に怯えきっていて、今にも泣き出しそうだ。まだ生き残っていた者がいたとは。青年は、殺戮の生き証人を抹殺すべく、ジーンズに無造作にはさんでいた拳銃を構えるのだった。

幼いサラが夜中、突然叫び声をあげた。怖い夢を見たのだ。しかし彼女はお化けを見たと言ってきかない。父トム、兄ジャック、母エディがすぐに駆けつけ、そんな少女を優しくなだめるのだった。
翌朝、ストール家では家族みなで朝食の食卓を囲んでいる。エディが忙しく仕事に出る支度をしている脇で、トムはティーンエイジャーの息子ジャックの近況を聞いてやっている。ジャックは難しい年頃だが、ユーモアを解するなかなかに見所のある少年だ。幼い妹の良き兄の役目をうまく務めている。
トムはエディに、自ら経営するダイナーまで送ってもらった。どうも車の調子がおもわしくないからだ。彼は妻と別れると、長年暮らしているミルブルックの穏やかな朝日を浴びながら、住人と朝の挨拶をかわした。トムのダイナーは、調理担当のミック、ウェイトレスのシャーロットの3人で切り盛りしている。トムが店に入ると、常連の客がミックの別れた女房について、さんざん噂話をしているところだった。なんとミックは、自分を殺人鬼だと思い込んだイカレた女と6年も結婚していたという。目に涙を浮かべて笑い転げる客に憮然としながら、彼は「人は誰しも誤るもんさ」とうそぶいた。

ジャックは高校の体育の授業で、宣言どおりヘボ守備を披露していた。運動全般は彼の不得手とするところなのだ。ところが、いじめっこの天敵ボビーが高く打ち上げたボールを、まぐれで彼が捕ってしまった。試合は終わり、ジャックのチームの勝利。おもしろくないボビーはジャックに因縁をつける。「この、チビでカスで腰抜けのカマ野郎!」たかが高校の授業の試合で、いちいち子供のように駄々をこねるボビーにうんざりしながらも、ジャックは彼の言いがかりを軽くジョークでいなし、事なきを得た。これも日常茶飯事のできごとだ。
夜半。トムが店を閉めて出てくると、エディが車にもたれかかって彼を待っていた。足のない彼を迎えに来たのだ。ジャックはガールフレンド、ジュディの家に行っているし、サラは友人宅に預けた。久しぶりに今夜は夫婦2人きりだ。エディは、弁護士として忙しい毎日の埋め合わせをしたいと思っていた。夫婦水入らずで思い切り楽しみたい。いつもと違うシチェーションに訝りながらも、トムはエディに付き合って寝室で彼女を待っていた。すると、彼女はなんとチアリーダーの格好でトムに飛び掛ってきた!これはとても子供達には見せられない。おかげで彼らは高校時代に戻って楽しむことが出来た。結婚して18年、彼らは初めて恋に落ちた瞬間から変わらない愛情を誓い合った。
親が楽しんでいる間、ジャックもジュディと将来を語り合っていた。彼は生まれ持ったユーモアでいつも彼女を笑わせ、ほんのちょっぴり落ち込ませる。それでも2人は幸せだった。悪友と車を走らせていたボビーは、いきなり道路に突っ込んできた乱暴な車と接触しそうになった。しかし、その車に乗る2人の男達の殺気を帯びたまなざしに射こまれると、ボビー達はへびににらまれたカエル状態だった。あの異様な連中はなんなのか。

車の中でいらいらしながら、青年は人目を避けて田舎町ばかり走ることに不満を爆発させた。年かさの男もうんざりしながら答える。青年が文句を言うのはこれが初めてではない。2人の間ではもう幾度となく繰り返された不毛な会話なのだ。なにをどう言おうが、金を得るために田舎町のダイナーやモーテルを襲わなければ、必要とあらば人を殺さなければ、目的地までたどり着くことはできないのだ。彼らの通った後には死体の山が築かれている。もう後戻りは出来ない。2人は次なるカモとして、トムのダイナーに目を付けた。
トムの店は閉店間際だ。そこに異様な雰囲気を漂わせた2人組が入ってきた。年かさの男は、躊躇するトムに向かってコーヒーを出すよう恫喝する。そしてシャーロットを捕まえるよう青年に合図した。彼女を人質にとられてしまっては、トムに選択の余地はない。だが強盗は彼にも銃口を向けた。レジに入っている金ごときで済ませるつもりは、ハナからなかったのだ。それを察したトムは、彼らの一瞬の隙をついて銃を奪うとあっという間に悪漢を射殺した。その場に居合わせた人々が瞬きする間もないほどのできごとであった。トムは、とっさの反応とはいえ、自分の手に握られた銃を不思議なものでも見るように見つめ、当惑するばかりだ。
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この強盗事件は静かな田舎町に大きな波紋を呼んだ。テレビなどのマスコミ陣が大挙して押し寄せ、トムの店の店員やトム自身を取材責めにする。トムは、悪漢どもをやっつけた街のヒーローとして全米に知れ渡り、一躍有名人となったのだった。田舎町で勤勉に働く一介のファミリーマンが、住人を守って悪党をこらしめるために立ち上がる。アメリカ人が好むヒーロー物語そのものだ。だがトム自身は、自分の顔がテレビや新聞で公になることに不安を覚えていた。
彼はエディの付き添いで退院し、街中の人々の拍手に送られてようやく自宅に戻ってきた。自宅前にも張り付いている、テレビの取材クルーをなんとか振り切って。ジャックはアメリカン・ヒーローとなった父親に興奮気味だ。家族はお祭り騒ぎに疲れ果て、自宅の前に別の車が静かに滑り込んできたことにも気づかないでいる。しかしトムだけは、その黒い車が家を確認するようにゆっくりと発進するのを、緊張した面持ちで見守っていた。
翌日。トムの店は、一目街のヒーローを見ようという物見高い客であふれんばかりになっていた。エディもてんてこ舞いの厨房を手伝ってカウンターに入る。そこに、黒ずくめの服にサングラスをかけた怪しげな男と、その手下らしき男が2人やってくる。とても記者のようには見えない。サングラスの男は、トムを“ジョーイ”と呼ぶ。どうやらジョーイという名の別の男と勘違いしているようだった。彼はサングラスをはずして無残に潰された左目をトムに見せる。「この目はお前がやったんだ、ジョーイ・キューザック。お前はフィラデルフィア出身なんだよ」身に覚えのないトムは彼らを追い返そうとするが、その片目の男フォガティは全く動じない。優雅に金を払い、手下を引き連れて悠々と店を出て行った。立ち居振る舞い、そのやくざな物言いから察して、彼らはマフィアだろう。エディは早速保安官事務所に連絡する。

のどかな田園風景が広がる道端に止まる一台の黒い車。フォガティ一味が乗り込んでいるその車は、全くもって美しい小麦畑の背景にそぐわない。サム保安官はエディの通報を受けて、彼らに街から出て行くように警告を発した。
その晩サムは、トムに因縁をつけてきた男達の正体を明かした。親玉の片目の男カール・フォガティは、数々の殺人事件や失踪事件に関与しており、15年のムショ入りも経験した筋金入りの東海岸マフィアだった。そこいらのチンピラとは訳が違う。実はサムは、トムに関する公の記録が白紙であることから、トムが証人保護プログラムに入っていたのではないかと心配していたのだ。もちろんトムはそれを否定する。“ジョーイ・キューザック”からはなにも収穫がなかったが、同姓の“リッチー・キューザック”は、フィラデルフィアのマフィアのボスだ。つまり、彼らは何らかの理由で“ジョーイ”を探している。しかも良からぬ理由が裏に潜んでいそうだ。マフィアに目をつけられた以上、例え人違いであったにせよ、トムの身にも危険が迫るかもしれない。エディは張り詰めていた緊張の糸が切れると同時に、涙を流す。トムには、彼女を抱きしめてあやすしかできることはなかった。
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翌日もトムのダイナーの前には、フォガティの車が止まっていた。彼らはトムを付け狙っている。車が自宅方面に向かって走り去った。第6感で危機を察知したトムは、いまだ負傷したままの足を引きずりながら自宅にいるエディに連絡する。すぐにショットガンを用意しろと。連中が迫っている。トムは激痛に耐えながら自宅まで必死に走る。エディは慌ててショットガンの用意をし、汗まみれで戻ってきたトムに思わず銃口を向けてしまう。結局マフィア連中は来なかったが、トムは完全なパニック状態だ。ジャックは初めて見る父親の混乱した姿に衝撃を受ける。トムは息子にフォガティ一味のことと、彼らに別人に勘違いされていることを説明する。彼らはそのジョーイを殺そうと躍起になっているようだ。しかし人違いであるならば、トムが恐れる理由はなにもないはず。いざというときには、家族のために銃を取って戦うと宣言した父のまなざしには、なにか尋常ならざる輝きがある。ジャックはおもわず身震いした。
エディはサラを連れてショッピングセンターに向かった。靴を買う約束だった。彼らの後を追うように、フォガティの車が音もなく駐車場に入ってくる。エディが靴選びに気をとられているうち、サラの姿が見えなくなった。果たして彼女は店の外にいたが、そのそばにはにっくきフォガティの姿も。エディはフォガティ相手に啖呵を切るが、彼はジョーイに貸しがあると言いぬける。ジョーイの真の姿を知るのは自分だけだと。ジョーイがなぜあんなに人殺しが上手いのか、兄貴のリッチーに訊ねてみるがいい。しかしトムを信じるエディは、怒りと不安を爆発させるのだった。
一方ジャックも、父の変貌に悩んでいた。そこににやけ面のボビーが絡んでくる。一躍有名人になったジャックの父親を揶揄する彼に、いつもの冷静さはどこへやら、ジャックは突如凶暴化して殴りかかるのだった。ボビーの顔の形が変わるほど殴りつけ、したたかに腹を蹴り上げる。ジャックはボビーの両親から訴えられ、停学処分になった。

トムは息子の無分別を諭すが、ジャックは反発する。日ごろいじめられていた鬱憤を晴らしただけだと。暴力で問題を解決するなと思わず声を荒げる父に、息子も言い返す。「銃で解決するのは許されるのか」と。トムは反抗する息子に初めて手を上げた。
自己嫌悪に苛まれるトムの元に、エディとサラが帰ってきた。エディはフォガティに待ち伏せされたことを告白する。裁判所から接近禁止令も取り、打てる手は打ってきた。それより、連中がトムをジョーイだと信じていることのほうが問題だ。人違いだとどうやったらわからせればいいのか。そのとき、自宅にフォガティの車がやってきた。彼らは卑怯にもジャックを人質にとり、自分達と一緒にフィラデルフィアへ行くよう要求する。半狂乱になるエディを家の中に戻した後、トムは彼らの要求に従って丸腰になる。ところがジャックを無事取り戻したトムは、突如態度を豹変させ手下連中をあっという間に殺害する。フォガティは隙を突かれたことに憤慨し、トムの頭に銃口を向ける。一巻の終わりかと思われたそのとき、フォガティの背後から彼を撃つ者がいた。鮮血が飛び散り、フォガティが崩れ落ちる。ショットガンを抱えたまま放心する息子を、トムは返り血を浴びたまましっかりと抱きしめる。こうするしかなかった。暴力には暴力で対抗するしか、選択の余地はないのだ。

フォガティに撃たれて入院したトムの元にエディが訪れた。トムは一体何者なのか。今日自宅の庭で目の当たりにした“ジョーイ”は彼の本当の姿なのか。真実を話して欲しい。あれはまぎれもなく“人殺し”だった。トムは苦渋の表情で、自分がかつてジョーイであったことを告げた。エディはショックの余りトイレで吐く。トムは遠い過去に、砂漠で“ジョーイ・キューザック”は抹殺したと訴える。それ以来3年かけて “トム”に変わっていったのだ。そしてエディに出会って自分は完全に生まれ変われた。かつての自分は最低だとわかっているが、彼女や家族への愛情にはかわりがないと。しかしエディには、そんなたわごとで言いくるめられる気は毛頭ない。かつて彼女に語っていた身の上話はすべて嘘だったのだ。“ストール”の名前だって、手近にあったIDから自分につけたもの。エディは、トムが自分達に対して許しがたい嘘をつき続けていたこと、そんな彼を夫として愛し続けていた自分を心の底から嫌悪した。
退院したトムが家に戻ってきた。だがジャックは父の嘘を責め立て、ひどい言葉で父親を侮蔑する。家族がバラバラになってしまったのだ。

サムが、1人車の修理をするトムを訪ねた。一連の事件を鑑み、彼はトムの真の正体を疑っていた。本当にトムがジョーイなら、サムは保安官としての職務を果たさねばならない。彼は言い難そうにトムに真実を話すよう要請した。その場に居合わせたエディは、冷ややかな表情で追い詰められる夫の姿を見やると、彼のそばに座り、トムがトム以外の何者でもないことを宣言した。サムはエディの懇願と涙を目にすると、いたたまれず家を辞した。
エディはトムにすがって泣いていたが、サムが去ると夫を突き飛ばす。彼女にもどうすればいいのかわからないのだ。夫がトムなのかジョーイなのかわからない。だが無理やり彼女を引きとめ、首を締めあげようとする男は、やはり“ジョーイ”だろう。エディは力づくでのしかかってくる夫から逃れようと必死になる。トムはここで我に返り、自分のやろうとしていたことに愕然とした。だが下に組み敷いた妻は夫の顔を引き寄せる。2人は階段の上で獣のような交歓をむさぼった。だが優しくキスしようとする夫の伸ばした手を拒み、エディは自室に引きこもってしまった。
暗闇の中、まんじりともしなかったトムの携帯が鳴る。通話口の向こうの男は、トムを“兄弟”と呼ぶ。リッチー・キューザック、彼の兄であった。
トムは、忘れようとしていた過去に否応なく引き戻されていく。兄の呼び出しに応じてフィラデルフィアまで一晩中車を走らせ、夜半ついに忌むべき罪の場所に到着した。トムを待っていたのは兄の子分ルーベン。トムは彼に“ジョーイだ”と言った。
トムとルーベンは、リッチーの屋敷に到着した。笑えるほど豪勢な門構え、まるで映画のセットのような広大な邸宅。リッチーは、一体どんな汚い商売でこれだけの財を成したのか。トムは考えたくもない。“楽しき我が家”に舞い戻ったのだ。
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リッチーはやっと見つけた弟を親しげに抱き寄せた。トムは複雑だ。兄と関わることは、忌まわしい過去に戻ることを意味するからだ。リッチーは弟を試すべく、揺さぶりをかけてくる。小市民としての生活は順調か、あるいは結婚は楽しいかと。そして、仲間フォガティの家を潰し、あまつさえその目を有刺鉄線でえぐり、手下連中を皆殺しにした弟にどう落とし前をつけさせるかと。“クレイジー・ジョーイ”を殺して封印した気でいるトムに、彼は問いかけた。「今でもジョーイの夢を見るのか」と。20年前、ボスの後釜に座ることが決まっていたリッチーは、ジョーイがフォガティに手を下したせいでその未来を失う危機に陥った。そこで彼は多くの金と時間を費やして、弟の後始末をしてまわったのだ。今の地位も彼の気に入るものではないが、ここまでたどり着くのに随分な損害を受けた。彼にとって弟とは、この世に生まれたときから厄介の種だったのだ。リッチーは弟に死んで償えと命じた。
リッチーが椅子を回転させて目を背けると、トムの背後からルーベンが近づきロープで首を締め上げた。トムはとっさに身を翻して反撃し、銃を撃ってくる兄を避けて逃げ出した。リッチーは無様なへまをしでかした手下を撃ち殺し、生き残った手下に弟を探し出して殺すよう怒鳴りつける。暗くだだっ広い屋敷の死角を巧みに利用してトムは手下に襲い掛かり、確実に息の根を止める。そしてその銃を奪うと兄ににじり寄った。一対一なら、リッチーなどトムの敵ではない。あまりに意外な事態に「嘘だろ?」と驚愕する兄を、しかしトムは無言で撃ち殺す。嘘であったらどんなに良かったか。トムは今この瞬間にも、唯一の拠り所である家族を失おうとしているのだ。そしてその家族を取り戻すために、またしても大量の血を流すことになってしまった。

夜が明けようとしている。トムは屋敷の外で、返り血を浴びて汚れたシャツを脱ぎ、銃を池に投げ捨てた。これで悪夢は終わったのだろうか。
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その晩、トムは夕食の食卓を囲む家族の元に戻ってきた。家族の間には、どんよりとした重苦しい雰囲気が垂れ込めている。戻ってきたトムと、誰も目を合わせようとしない。サラだけは父のために食器を用意し、口元にうっすらと笑みを浮かべる。どんな人間だろうと、彼女にとって父は優しくて大好きな父であることに代わりはない。ジャックは目を伏せる母親の代わりに、父に皿を回してやった。エディの目は濡れている。そして無言で問いかけるのだ。「あなたは誰なのか?私の愛したトムなのか、それとも人殺しのジョーイなのか」
それに無言で応えるトムの目も、涙で潤んでいる。家族に赦しを請うていくのは、今後の彼の人生の指標となるだろう。それに家族がどう応えるのかは、当人達にもわからないが。だが言えるのは、“希望”がそこにないわけではないということだ。




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