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zoom RSS パイソンズ+アメリカ=「ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish Called Wanda」

<<   作成日時 : 2017/04/04 18:30   >>

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ジョン・クリーズとマイケル・パリンの、モンティ・パイソン以外の出演作の中ではこれが一番好きです。そして、劇中で前代未聞の迷演技、あるいは一世一代の珍演技(観ればわかります・笑)を見せる、アメリカ演劇界きっての偉大なるシェイクスピア俳優ケヴィン・クラインにも乾杯(涙笑)!

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「ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish Called Wanda」(1988年製作)
監督:チャールズ・クライトン&ジョン・クリーズ(ノン・クレジット)
製作:マイケル・シャンバーグ
製作総指揮:ジョン・クリーズ&スティーヴ・アボット
脚本:ジョン・クリーズ&チャールズ・クライトン
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ジョン・デュプレ
出演:ジョン・クリーズ(アーチー)
ジェイミー・リー・カーティス(ワンダ)
ケヴィン・クライン(オットー)
マイケル・パリン(ケン)
トム・ジョージソン(ジョージ)
パトリシア・ヘイズ(コーディ夫人)
マリア・エイトキン(ウェンディ)
シンシア・クリーズ(ポーシャ)
スティーヴン・フライ(空港の客)他。

ジョージは、ロンドンのハットン・ガーデンズ宝石店から1300万ポンドにも上るダイヤを強奪する計画を立てた。仲間は3人。忠実な部下だが吃音がひどいケンと、彼の愛人でセクシーな美女ワンダ、そしてワンダの兄という触れ込みでワンダが連れて来たアメリカ人のオットーだ。実は、ワンダとオットーはジョージたちに内緒で恋愛関係にあった。彼らは、宝石強盗が成功した暁にはジョージを出し抜き、ダイヤを2人でせしめる算段を立てていたのだ。果たして綿密に練られた計画通りに事は運び、4人は無事警察の目をくらませることができた。そして、ワンダとオットーはおもむろに警察に密告の電話をかけ、ジョージを逮捕させたのだった。

ところが、ダイヤを取りに秘密の倉庫にやって来た2人は、その中に肝心のブツが入っていないことを知り、呆然とする。そう、オットーを信用していなかったジョージは、ダイヤを保管してある本物の金庫の鍵をケンだけに預けていたのだった。ケンは、丹精込めて世話している熱帯魚の水槽の中に鍵を隠した。一方ジョージは留置場で弁護士のアーチーと打ち合わせをし、その後面会に来たワンダとオットーに、万が一のときには共犯者の名前を挙げて司法取引に応ずると宣言した。青くなった2人は、さっさとダイヤのありかをつきとめ、南米にトンズラしようと焦る。ケンの家に帰ってきたワンダは、ケンが水槽の中の小さな宝箱に鍵を入れていることを知り、隙を見てそれを自分のペンダントの中に隠した。

そのことはオットーにも知らせなかったワンダだが、鍵は手に入れても肝心の金庫のありかがわからない。彼女は手がかりを求め、色仕掛けで弁護士アーチーに接近する。アメリカの大学生だと偽り、アーチーの事務所を訪ねてはそれとなく金庫の場所を聞き出そうとするが、敵もさるもの。弁護士としての理念を逸脱できないと突っぱねる。だが何度も合い間見えるうち、アーチーはやがてワンダのあっけらかんとした色気と気立ての良さに惹かれ、恋するようになるのだった。アーチーにとっては不幸なことに、ワンダには妻ウェンディには到底望めない魅力があったのだ。ついに駆け引きの主導権を握ったワンダと、そうとは知らないアーチーが彼の家で結ばれようとしたそのとき、嫉妬に狂う筋肉バカ、オットーが乱入する。上手くいきかけたワンダの目論見がご破算になったばかりか、留守のはずだったアーチーの妻ウェンディと娘ポーシャが突然帰宅し、状況はピンチを迎える。ワンダの落とした鍵入りペンダントをウェンディへのプレゼントだと取り繕い、なんとか急場を凌いだアーチーだったが、あれは母親の形見だったのだとワンダに泣きつかれた彼は、またまた一計を案じる。自宅に泥棒が入ったと偽装し、どさくさに紛れてワンダのペンダントを妻の宝石箱から奪い返したのだ。ようやく鍵を取り戻したワンダは、純粋で誠実なアーチーを憎からず思うようになる。

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その頃ジョージは、強盗時の唯一の目撃者であるコーディ夫人を消すようケンに命じていた。目撃者がいなくなれば無罪放免を勝ち取れる。ケンはあの手この手で老夫人を消そうと算段するのだが、そのたびに彼女の飼い犬を死なせてしまう。動物好きのケンにとっては耐え難い苦痛であったが、終いには老夫人を心臓発作であの世に送ることに成功した。ワンダに叱られたオットーがアーチーの自宅までやってきた。ワンダとの仲を邪魔し、乱暴狼藉を働いたことを謝罪したのであるが、アーチーとオットーのやり取りを窓辺で聞いている者がいた。ウェンディである。アーチーが浮気していると疑った彼女は、疑惑を明らかにするため、夫がジョージの弁護を担当する裁判を傍聴する。
ワンダが証言台に立ち、アーチーの質問に答えながらジョージのアリバイを崩す証言を行った。目論見が打ち砕かれたジョージは驚愕して暴れ始め、アーチーも愛する彼女の言葉に動揺する。法廷は大混乱になり、いったん休廷となった。だが、ワンダの質疑応答を目にして夫の浮気を確信したウェンディは、夫に離婚を宣言した。四面楚歌となったアーチーは、ジョージに金庫の場所を吐くよう迫る。現物を返却して減刑を申し出るしかないというのは建前であり、本音は、強盗の仲間と知っても尚愛するワンダとの逃避行のため、ダイヤを手に入れたかったのだ。オットーはオットーで、ケンの愛して止まない熱帯魚たちを食うと脅し、ダイヤ入り金庫の場所を聞き出していた。金庫はキャスカート・ホテルにあったのだ。オットーがワンダを拾ってキャスカートからダイヤを掻っ攫った頃、アーチーも遅れてケンのアパートに転がり込んできた。元々吃音がひどい上にさらにパニック状態になったケンから、なんとか筆談で事の真相を知ると、アーチーとケンもワンダたちの後を追う。かくして空港内で、ワンダを連れて高飛びしようとするオットーと、そのオットーを出し抜いてダイヤを手に入れアーチーを待つワンダ、またオットーからワンダを奪い返そうと奮闘するアーチー、食われた熱帯魚たちの仇をとろうとオットーを狙うケンの、三つ巴の追いかけっこが始まった。ケンに銃を奪われ、絶体絶命のピンチに追いやられたアーチーを救ったのは、夜叉の顔でローラー車に乗り込んだケンであった。生乾きのコンクリートに足を突っ込んでしまったオットーは、哀れローラー車の下敷きに。ついに復讐をやり遂げたケンは喜びのあまり吃音も治ってしまい、アーチーはアーチーでついにワンダと再会を果たす。

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こうして、互いの愛情を確かめ合ったアーチーとワンダは後に結婚、後年計17人もの子宝に恵まれたという。ケンは愛する動物たちと共に過ごすため、水族館ショーの司会業に就いた。オットーは南アフリカに移住し、司法大臣になったという。

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稀代のコメディ集団、モンティ・パイソンの中核をなしていたジョン・クリーズと、ドリフターズで例えれば加藤茶的存在だったマイケル・パリン。彼らが手を組み、40年代に英国コメディの伝統を作り上げた“イーリング・スタジオ”出身のチャールズ・クライトン監督を担ぎ出したという、異色コメディ作品です。グレアム・チャップマン亡き後、実質上“モンティ・パイソン”としての活動は停止状態であったわけですが、メンバーのうちクリーズとパリンは、精力的に俳優業にまい進していました。絵に描いたような“英国紳士”を演じさせたらぴか一のクリーズと、とにかく芸達者で幅広い演技力を持つパリンは、パイソンズの中でも個人的に大好きなメンバーでした。そんな2人が、アメリカ演劇界きっての偉大なシェークスピア俳優ケヴィン・クラインと、「大逆転」でさわやかなコメディエンヌ振りを披露したサラブレッド女優ジェイミー・リー・カーティスを招聘したのですから、そりゃ一体全体どんなお笑いが飛び出すのかと期待してしまうでしょう。

さて、御年75歳にして(今作を撮影当時の年齢)、茶目っ気と毒っ気とお色気たっぷりの軽快なコメディを撮ったチャールズ・クライトン監督。前述したように、彼は元々、40年代から50年代にかけて一世を風靡した英国産コメディ映画発信地、イーリング・スタジオを代表する監督の1人でした。イーリングが世に送り出した映画人は多く、またそのスピリットは、後年の英国映画の基盤をも作ってしまいました。イーリング・スタジオで製作されたコメディ映画を総称して“イーリング・コメディ”といいますが、ここではイーリング・スタジオについて少しおさらいをしておきたいと思います。

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イーリング・スタジオ (from Wikipedia)

1902 年設立。英国ロンドン西部のイーリングにある英国由緒ある撮影スタジオである。当初は、非常に小さな撮影スタジオとして他プロダクションに貸し出されていたが、30年代後半には、サー・マイケル・バルコンによって独立したプロダクション・カンパニーに生まれ変わった。
このイーリング・スタジオで製作されたコメディ映画は、いずれも自虐的なブラック・ユーモアにあふれ、慇懃無礼で時に驚くほど残酷にもなるという英国人の気質そのまんまのお笑いを提供していた。その一風変わった面白さが受けに受け、“イーリング・コメディ”のブランド名は、英国内に留まらず世界的な規模で評価を高めていったのである。イーリング・コメディの全盛期は、40年代後半から50年代中盤にかけて。この間に大勢の優れた映画人を輩出している。イーリング・コメディの看板だったアレクサンダー・マッケンドリック監督(「白いスーツの男」「マダムと泥棒」)、ロバート・ハマー監督(『Kind Heart and Coronets』)、そして「ワンダとダイヤと優しい奴ら」で健在振りを見せつけたチャールズ・クライトン監督(「ラベンダー・ヒル・モブ」)、ヘンリー・コーネリアス監督(『Passport to Pimlico』)、またイーリング・コメディ作品に多く主演した英国俳優サー・アレック・ギネスなどである。英国特有の乾いたブラック・ユーモアは、残念ながら当時の日本ではあまり理解されることはなく、イーリング・コメディの中で劇場公開されたものは、わずかにマッケンドリック監督の「マダムと泥棒」のみ(後年コーエン兄弟によって「レディ・キラーズ」としてリメイクされた)。しかし、これとて製作年は1955年であるから、英国産コメディ映画発信地としてのイーリング・スタジオの寿命は風前の灯といった状態だったのだ。戦後の日本はイーリング・コメディ独特の面白さを享受できず、従って、捻りの効いたコメディ映画を受け入れる土壌もできなかった。

イーリング・コメディが衰退すると、スタジオでは映画製作はほとんど行われなくなった。その代わり、60年代以降は主にテレビ番組用のスタジオとして存続していくことになる。2000年にスタジオのオーナーが交代すると、運営方針が再考され、現在ではアニメ映画やゲーム関連の制作スポットとなっているという。最近では、ノッティングヒルの恋人」や「理想の結婚」、「ショーン・オブ・ザ・デッド」等の独立系英国映画の撮影スタジオとして利用され、また「スター・ウォーズ エピソード2&3」の追加撮影も行われた。

こうしてみてみると、英国エンターテイメント界に突如現れた異変種と思われていたモンティ・パイソンも、イーリング・スタジオが営々と築いてきた“英国らしいお笑い”の進化形であったことがわかります。かくして、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」でクリーズがやりたかったのも、現代まで生きているイーリングのスピリットを新しい形で提示し直すことだったような気もしますね。完成した作品は、今や英国のお家芸といえるブラックなジョークをちりばめた、非常にエネルギッシュなコメディになっています。ごくありふれた日常の中に突拍子もない出来事が紛れ込んでくることによって、シュールな笑いが生み出されてゆくという手法は、クリーズとパリンが醸し出すモンティ・パイソン的お笑いと、カーティスとクラインが発散するアメリカンなお笑いの後押しを受けて、より一層観客に受け入れられやすい魅力を備えることになりました。

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今作の面白さは、強盗団がダイヤを巡って虚々実々の駆け引きを繰り広げるというストーリーラインではなく、むしろクリーズ&パリン組の差別的であることを恐れない笑い(犬虐待、吃音差別ととられかねない)と、カーティス&クライン組の明るくわかりやすいおバカな笑いの比較、あるいはそれら2種類の笑いを融合せしめる細かいシチュエーションの積み重ねにあると思います。映像上、特にダイナミックな動きがなくとも、4人の個性の強い役者陣による変にリアルな(笑)熱演が、その化学反応を容易にしているのでしょう。物語ラストの空港での大捕り物までに積み重ねられた伏線があったらばこそ、私たちはクライマックスでカタルシスを感じることができるわけで、決して今作が中だるみを引き起こしているとは思えないのですよね。なにより動物を愛するケンによる老婦人暗殺未遂だとか、ワンダが外国語を聞くと見境なく燃えてしまうこと、オットーの徹底したアホっぷりやら、カリカチュアされた英国紳士アーチーの自虐的な描写など、一見本筋とは関係なさげなそれらの要素が、上手くハッピー・エンディングにつながっていく演出にはさすがに伝統を感じます。尤も、今作に関してはクリーズ自らがメガホンをとったシーンもかなりあるそうで、この辺りにも英国コメディの系譜を知ることができそうです。ブラック・ジョークやシュールな笑いのオンパレードの中にも、うだつのあがらぬ中年男アーチーと奔放な美女ワンダの恋の成就がさりげなく織り込まれ、英国コメディとアメリカン・コメディの幸せな融合も感じたりしました。

まあ、なによりかにより、4人の役者たちの奮闘ぶりが今作最大の見物でありましょう。特にオスカーを得たオットー役のクラインの堂々たるバカ演技には、畏怖すら覚えるほど(笑)。今作をご覧になった方々は、彼が金魚を食うシーンで喝采を送っておられるようですが、それよりもオットーとワンダのベッド・シーンにおける昇天演技(笑)の方にこそ、バカ演技の神髄があると思われます。うっかり見逃してしまったという方は、ぜひそこだけでも再見されることをお勧めしますよ。一方、ファニー・フェイスながらスレンダーなボディでさわやかなお色気を発揮していたカーティスも、嫌みのないコメディエンヌ振りで好感触。この方、長い間ホラー映画専門に出演されていて、“ホラー・クィーン”のあだ名まで持っていたのですが、新しい魅力で女優としての方向転換に見事成功しましたね。

また、一般にはあまり評価されていないようなのですが、私はぜひパリンの名演を褒め讃えたいです。吃音という障害を持つ人間像にリアリティを与えるばかりか、大好きな動物を死なせる羽目になる皮肉に翻弄される純朴な男をこれほど見事に演じられる俳優が、他にいるはずはありません。ケンとアーチーが意思の疎通を図ろうと悪戦苦闘するシーンなど、そこだけ確かにあの懐かしい“空飛ぶサーカス”のスケッチが脳裏をよぎるのですが、彼らが演じたからこそ、私たちはそこで笑い転げられるのだろうなあとしみじみ感じたものでした。杓子定規の英国紳士を好演して見事だったクリーズと共に、私から謹んで“お笑い大賞”を差し上げたいと思います。


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