Don’t copy my posts. All of them are written by me.

House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS ロックバカの魂―「ハードロック・ハイジャックAirheads」

<<   作成日時 : 2017/08/26 22:00   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

“音がデカイと感じたら、お前はジジイだ”

「ハードロック・ハイジャック Airheads」(1994年製作)
監督:マイケル・レーマン Michael Lehmann
製作:ロバート・シモンズ&マーク・バーグ
脚本:リッチ・ウィルクス
撮影:ジョン・シュワルツマン
音楽:カーター・バーウェル
出演:ブレンダン・フレイザー Brendan Fraser (チャズ)
スティーヴ・ブシェミ Steve Buscemi (レックス)
アダム・サンドラー Adam Sandler (ピップ)
クリス・ファーレイ(ウィルソン巡査)
マイケル・マッキーン(マイロ・ジャクソン)
ジャド・ネルソン(ジミー・ウィング)
アーニー・ハドソン(オマリー巡査部長)
エイミー・ロケイン(ケイラ)
ニナ・シーマスコ(スージー)
ジョー・マンテーニャ Joe Mantegna (イアン)
マイケル・リチャーズ(ダグ)
マーシャル・ベル(メイス)
デイヴィッド・アークェット(カーター)
レグ・E・ケイシー(マーカス)
ミッシェル・ハースト(イヴォンヌ) 他。

“ローン・レンジャーズ The Lone Ranger(s)”は、ボーカル&ギターのチャズ、ベースのレックス、ドラムのピップの3人組。彼らも他の売れないバンド達と同じく、いつの日にかスターになるのを目指して不遇を囲う毎日だ。チャズは今日も今日とて、レコード契約を取るためにパラタイン・レコード社の重役ジミーに会いに行くが、デモテープすら聴いてもらえず警備員に叩き出されてしまう。ついでに、居候させてもらっている恋人ケイラにも愛想をつかされ、彼女のアパートからも叩き出されてしまった。
ケイラに負け犬呼ばわりされてくさるチャズは、レックスとピップの住むゴミタメのごときアパートに転がり込んだ。彼らはある晩、ハードロックを専門に流す人気DJイアンのラジオ番組で紹介されてブレイクしたバンドのライヴを見て、自分達も真似しようと閃く。イアンの番組で自分達のデモテープを流してもらうのだ。一方イアン自身は、流行に乗っかっただけのそのバンドの演奏を聴きながら、ヤケ酒をあおっていた。彼は本物のロック、ロックの古典を愛する男なのだ。しかし今の流行は、いかに他より目立つかのみ。イアンは、音楽性など二の次にされている音楽産業そのものを憂えていた。その陰で、イアンの働くレベル・ラジオ局で編成局長をしているマイロは、他の局員ダグに局内の人員整理を依頼していた。上層部からの命令で、局そのもの方向性を変える予定なのだ。それに伴い、今局で働いているスタッフをすべて辞めさせる。嫌な役回りを押し付けられたダグは及び腰だ。

画像

チャズ達3人は、レックスがバイト先のおもちゃ屋からかっぱらってきた本物そっくりのモデルガンで武装し、ラジオ局に押し入る決意を固める。なんとかんとか最初の関門を突破し局内に入りこんだものの、イアンは、生放送中にいきなり押しかけてきたチャズ達のデモテープなど聴く気はない。仕方なく彼らはおもちゃの銃をマイロに突きつけた。ハイジャックと勘違いしたイアンはじめ局のスタッフは、慌ててデモテープを再生しようとする。ところがこれがオープンリール式のもので、再生中に突然燃え出してしまった。もう一本のコピーはケイラが持っている。彼女に連絡しようと局の外に出ようとしたチャズ達は、局を警察隊に包囲されているのを発見して腰を抜かす。空調ダストに隠れていた局員ダグが、隙を見て警察に連絡したからだ。こうなれば、ケイラと連絡がつくまで局内に立てこもるしかない。チャズ達は内心パニックになりながら、スタッフのマーカスとカーター、イヴォンヌ、イアン、マイロ、マイロの秘書スージーを人質にとることにした。

一方外では、生放送を通じてチャズ達がラジオ局に立てこもった騒ぎを聞きつけたロックファン達が押しよせてきていた。警察隊を率いるオマリー巡査部長は、ロス暴動の再来を恐れて慎重に行動するよう部下に命じる。そして、チャズ達の要求―デモテープのコピーを持ってくること―をのむ代わりに、人質を1人解放するよう交渉する。もとより立てこもりなど全くの想定外であったチャズは、喜んでイヴォンヌを解放した。オマリーは部下のウィルソンにケイラを探させる。そうこうするうち、SWAT隊を率いるメイスが現場に到着し、縄張り意識からオマリーと反目しあう。メイスは、1人だけハイジャック犯から隠れているダグからの電話連絡を受け、こっそり中の様子を偵察するよう命じる。局内を匍匐前進して逃げ惑うダグに、メイスはプール清掃人と浮気した元女房の愚痴を延々聞かせる。

緊急事態だというのに、レックスは局内にあったライヴチケットやグッズを、外にいる連中にばら撒こうと有頂天になる。純粋で精神年齢の低いピップは人質達とすぐ仲良しになり、とくにナイスバディのスージーに気に入られて、無理やりベッドに連れ込まれるほどの仲になる。局の外も、オマリーと交渉するため外に出てくるチャズ達に、野次馬連中が大歓声を浴びせるなど異常な事態に。彼らはすっかり人気者になってしまったのだ。この大騒ぎの中局内では、マイロがハードロックに見切りをつけ、ラジオ局をイージーリスニング専門に鞍替えしようとしている事実が、ついに明るみに出る。今いるスタッフはみんなクビだ。怒り狂ったイアンは、やけくそでハードロックをがんがん流し始める。チャズもマイクに向かって「ロックンロール!!」と雄叫び、外の野次馬達も大熱狂だ。

ウィルソンはついにケイラを発見して、デモテープのコピーを渡すよう説得する。ケイラはチャズがラジオ局をハイジャックしたことを知り、ぶちキレてコピーを道路に捨ててしまっていたのだ。彼女は慌ててコピーを探し出した。それは別の車に踏まれ、犬におしっこをひっかけられ、散々な有様だったが、ともかくテープを持ってラジオ局へ急ぐ。
オマリーは警察官をレコード会社の重役に偽装させ、チャズ達をレコード契約で釣ろうとしたが、チャズが仕掛けた謎かけに答えられなかったため偽者だと見破られる。玄関先での小競り合いで、チャズ達が持っているのがモデルガンだとバレてしまった。その隙にカーターとマーカスは外に逃げ出した。SWAT隊長メイスは、本物の銃を密かにダグに手渡し、ハイジャック犯を逮捕するよう命じる。ところが、ダクトから顔をのぞかせたダグをイアンが殴りつけ、銃が暴発。銃声を聞いた外のオマリーは、警察隊とSWAT隊を控えさせる。チャズは怒りのあまり外に出てきて、ふくれあがった群衆に向かって拳を突き出し、「ロドニー・キング!」と煽る。チャズ達を反体制のシンボルと心酔する野次馬連中の熱狂は、もう爆発寸前だ。

画像

一方パラタイン・レコードの重役ジミーは、全米のネットワークで放送されたこの騒動でチャズ達を大スターにし、大もうけできると計算した。そして彼らと契約しようと自ら局にやってくる。局に到着したケイラ、レックスとピップは夢のレコード契約に大騒ぎになる。しかしチャズは、曲もマトモに聴かずに話題性だけで契約を申し出るジミーを信頼できない。そこでジミーは、セット、機材一式をヘリコプターでチャーターし、即席ステージを局前に作った。チャズ達をここでテープに合わせて口パクで演奏させ、その模様を抜かりなく撮影しようというのだ。刺激的な宣伝にもってこいだ。チャズ達が言う通りにすれば、パラタイン・レコードは契約の名のもとに3人の刑務所行きを阻止する。この取引は抗し難いしレコード契約は欲しいが、口パクで演奏するなどロックの魂を売るに等しい行為。チャズはこのまま刑務所行きになるのを覚悟で、口パク演奏を拒否した。レックスもピップも同様。3人は雄叫びをあげて群集の中にダイヴするのだった。

結局、チャズ達は誘拐罪で3ヶ月の服役となった。彼らは刑務所内で囚人相手に演奏する。機材を操り、MCも担当するのはイアン。ケイラとスージーは、ステージ横でセクシーな衣装に身を包んでダンスしている。ローン・レンジャーズのアルバム「監獄ライヴ」は、300万枚以上の大ヒットとなったのだった。


今から思えば非常に豪華な出演陣ですよねえ。いもっぽい雰囲気が抜け切らないところが逆に魅力的だったブレンダン・フレイザー、“変な顔”がトレードマークになり、今やテレビに映画に引っ張りだこのクセ者俳優スティーヴ・ブシェミ、そして大御所コメディアン、アダム・サンドラー。現在はエエ年の彼らが、まだ若くて瑞々しかった頃(遠い目)。

画像

サンドラーはこの作品に出た頃、ちょうどテレビのサタデー・ナイト・ライヴで人気が出た時期でして、テレビから映画の世界に進出しようと目論んでいたのですね。ですから、この作品ではフレイザー、ブシェミに続いて3番手。出番もさほど多くはないです。でも彼の芸風である、マッチョな身体と幼稚園児並の脳みそが生み出すアンバランスなお笑いは健在ですよ。ギャグも爆笑するようなネタではなく、ぷっと吹き出すような笑いを積み重ねていく感じですが、彼の子供のような顔を観ていると、なんだかほんわかさせられていい気分です(笑)。

意外と目立たなかったのがブシェミ。彼がいるなら、もっとはっちゃけたギャグを期待してしまうのが人情というものですが、この作品では、フレイザーとサンドラーの間に入ってバランスをとったり、ボケ役の2人にツッコミを入れたりする役回りだったようです。ま、彼がベースを抱えている図だけでも、充分笑えるのではありますが。

フレイザーは、実は田舎の出身でオタクだったという暗い過去(?)を持つ、ロックバカ、チャズを好演しています。チャズはただ自分たちの音楽を聴いて欲しいと願い、ロック史に残る名曲を残せるならどうなっても構わないと思いつめているんですね。そういう意味では純粋だと思うし、その演奏技術や知識等がどうあれ、生き様というか信念、存在そのものが正しく“ロック”ではないでしょうか。もちろんだからといって、なりゆきでラジオ局をジャックする羽目に陥るなんて、アホの極みですけどもね。

チャズ達は、“ローン Lone”(孤独な)とくるなら“レンジャー Ranger”と単数形にしなくてはいけないという、基本的な英語の知識もないほどおバカですが、その思い込みの強さで、次第に人質にしたはずの人々と意気投合していきます。人質になるラジオの人気 DJ役ジョー・マンテーニャは、どう贔屓目に見てもハードロック好き親父には見えない難点がありますが、彼の語る「レノンが死んでロックは死んだ」というセリフは意味深です。彼はビートルズやジョン・レノンを神聖視する世代なんでしょう。いまどきのハードロックバンドが、レコード会社のイメージ戦略に踊らされてアイドル扱いされている、現在の音楽産業の迷走振りに嫌気が差している。音楽に精神論を求めていた時代は終わり、全ては金次第というビジネスと化した音楽そのものに、情熱を感じなくなっているのですね。彼はロックンロールの時代も風前の灯だと薄々感じ取っています。マイクに向かってロックオタク達にシャウトするのも、半ば惰性か。だからこそ、今時珍しいほどのピュアなロックバカ、チャズになにか感じることができたのでしょう。彼らのデモテープといったって、音楽的素質というレベルでは決してたいしたものではないはず。最初こそ、銃で脅されていたからという緊急の事態でしたが、それが偽ものだとわかっても尚、彼らの音楽を公にすることに協力し続けたのは、3人の音楽に対する正直な姿勢や情熱に共感したから。

終盤、チャズ達、イアン、スージーは人質とハイジャック犯の関係を越えて、共に警察の妨害と戦います。ここで、チャズ達対警察の構図も大きく取り上げられますね。この作品は、まだロス暴動の記憶が生々しい時代に製作されたものですから、意図的に警察権力は悪役扱いです。局内から逃げてきた黒人の人質マーカスを、警察官達が一斉に取り押さえようとするシーンは、あのロドニー・キング事件のイジワルなパロディでしょうかね。

チャズ達の騒動をラジオの生放送で知って集まってきた野次馬は、さしたる罪の意識もないまま、ただおもしろそうだからと火事場に集まってくる連中と大差ありません。概して群集心理とは、目立っているものに無条件に心酔するという特徴がありますが、しかしラジオ局の周りに集まってきた連中は、皆ハードロック、ヘビーメタル好きばかり。格好こそレザージャケットにブーツにと恐ろしげですが、子供の頃はオタクだったり、学校新聞の編集長をしていたりと、ちっとも“クール”じゃない過去を背負っているのですね(笑)。つまりチャズ達と共有するものも多いわけで、犯人と群集の共犯関係が簡単に出来上がってしまうのも頷けるわけです。この辺りは、過去の名作「狼たちの午後」のオマージュかなとも感じます。ちなみに、「オレは学校新聞の編集長だったぞ」と怒鳴る強面ひげ面親父は、モーターヘッドの故レミーですよね?

画像

さて、チャズ達の騒ぎをビジネスに利用しようとするレコード会社は、対チャズ達のもう1つの構図ですね。重役ジミーは、現在の音楽業界を支配するヤッピー連の象徴です。彼らは音楽のことなどなにも知らない。その頭の中にあるのは、どう立ち振る舞えば世間の注目を集められるか、またそれを金に結びつけるにはどうしたらいいかということです。ジミーは、ラジオ局をハイジャックして、図らずも全米のメディアをもジャックしてしまったチャズ達を利用せんと、手のひらを返したように接近してきます。あれほど望んでいた契約なのに、なぜかチャズは割り切れないものを感じます。それは、自分たちの音楽を認めてくれたうえで持ちかけられた契約ではないからですね。そんな話題性だけで契約を結ぶなんて、悪魔に魂を売るのと同じことだと彼は気づきました。己の力で世間に認められたいという初心に戻ったチャズ達は、断固、ビジネスによる音楽の支配を拒否して、結局刑務所でライヴをする羽目になるのです。
それにつけても、音楽業界を牛耳る連中の抜け目なく、あさましいことか!世間に名前を売りさえすれば、それが犯罪であろうがなんだろうが関係ないのですね。すべてを“宣伝” に利用しようとするその根性はいっそ見上げたものです。それに、金もうけに繋がるのであれば、権力に物言わせて犯罪もみ消しまで厭わないという部分は、残念ながら現在の音楽業界やエンターテイメント業界にはびこる悪癖でもあります。この作品では、こういった業界の内情を笑いの中にさりげなく盛り込んでおり、コメディとしてはいささかゆるい映画を結構おもしろくしているのですね。
まあチャズ達にしても、結果的には自分たちのアルバムを大量に売ることができ、イアンという心強い仲間も得られたわけです。自ら犯した犯罪を、意図せずして自分たちの音楽の宣伝に利用したとも考えられるわけで、それはそれで皮肉を感じずにはいられませんね。

そうそう、エンドロールにはラモーンズの歌が流れます。作品中でも、演奏シーンやライブハウスのシーンなどで、ロス界隈のロック野郎が大挙してカメオ出演も果たしています。この作品は、その出来がどうこうというより佇まいそのものが“ロック”だとも思えますね。真のロックバカによるロックバカのための映画。マイクに向かって「ロックンロール!!」と叫ぶことにシンパシーを感じられない方は、観ない方がよろしいかもしれません。

ハードロック・ハイジャック [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2008-09-05

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ



Rock'n Roll!! ...lol

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い
ロックバカの魂―「ハードロック・ハイジャックAirheads」  House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる