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zoom RSS 「バンビ Bambi」、愛の調べ。

<<   作成日時 : 2015/05/03 14:02   >>

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愛は終わりのない歌のよう
人生が慌しく過ぎてゆき
希望が消えても愛の調べは不滅
夜明けと共によみがえる
 ―“Little April Shower”より


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「バンビ Bambi(デジタル・リマスター版)」(オリジナル版は1942年製作)
監督:デヴィッド・D・ハンド
製作:ウォルト・ディズニー
原作:フェリックス・ザルテン
脚本:パース・ピアース&ラリー・モーレイ
音楽:フランク・チャーチル&エドワード・プラム

美しい森の夜が明けた。ふくろうおじさんが穏やかなまどろみの中にいるころ、りすの親子や小鳥達、野ねずみ、たぬきの家族、うずらの家族、うさぎの家族…森に暮らす全ての動物達が、大慌てである場所に向かっている。明け方に“森の王子様”子鹿がついに生まれたのだ。生まれたばかりの子鹿に、みな口々にお祝いの言葉を述べる。子鹿はバンビと名づけられた。
バンビはまだ歩くこともおぼつかない。母鹿とともに散歩をするバンビの周りには、あっというまに動物達が集まってくる。子うさぎのとんすけは、バンビのことが気になって仕方がない。バンビよりもほんのすこし年上の彼は、バンビに歩き方や跳び方、言葉を教えて得意げだ。見るもの聞くものすべてが珍しいバンビ。飛び交う小鳥達を見て、はじめてしゃべった言葉は『バード』。尻尾に止まった『ちょうちょ』。あちこちに咲き乱れる『お花』。突然お花から顔を出したのは、スカンクの坊やだ。バンビはスカンクもお花だと思って、彼に“フラワー”と呼びかける。スカンクの坊やは照れながら尻尾で顔を隠してしまった。
森の天候は変わりやすい。雷が鳴り始めると、もう遊びの時間はおしまいだ。子うさぎのとんすけも帰り、母鹿と巣に戻ったバンビは、しかしはじめて見る雨のしずくにさえ興味津々。雨は森の尊い恵みでもあるのだ。雷が鳴り響き、稲妻が走る。動物達は雨が止むのを待つ。

ある日バンビははじめて母鹿と草原に向かった。バンビはうれしくて思わず飛び出していこうとする。が、母鹿に止められた。草原は森の中と違い、身を隠すものがない。外敵に狙われる確立が高いのだ。母鹿は用心して周囲の様子を探り、安全を確認すると、バンビと共に草原を走り回った。小川を飛び越え、水鳥の雛をずぶねれにしたり。草原の中では、とんすけ一家がクローバーの食事をとっている。とんすけに習ってバンビもクローバーの花を食べ、水面に映る自分の姿に見とれていると、自分と同じ姿をした子鹿がもう1頭現れた。彼女はファリーン。はじめて自分以外の子鹿を目にしたバンビは、恥ずかしくてごあいさつもできない有様だ。母鹿に促されてようやく小さな声で「ハロー」と言ったバンビをおもしろがり、ファリーンは彼をさんざんからかって遊ぶ。子鹿たちはたわむれながら、草原を走る大人の鹿の群れに目を見張るのだった。と、彼らが突然その場に立ち止まった。森の王者、大鹿が姿を現したのだ。誰よりも大きな角を頭上に頂き、賢く威風堂々とした彼は、バンビの姿を目にすると、しばし言葉もなく子鹿を見つめる。
大鹿は、空を飛び交う鳥の鳴き声にふと不穏なものを感じ、草原にいる動物達にその場から逃げるよう促す。いきなり走り始めた鹿たちに驚き、腰を抜かしてしまったバンビは、母鹿とはぐれてしまう。しかし逃げ遅れたバンビを導いたのは、あの大鹿であった。バンビと母鹿と大鹿がすんでのところで逃げおおせると、人間の放ったライフルの銃弾の音が草原にこだましたのであった。動物達を狩るために、森に人間がやってきた。森で生きることの厳しさを、またひとつ学んだバンビであった。
赤く色づいた葉っぱが風に舞い、季節は秋になった。風に乗って川にひらひらと舞い降りていた赤い葉っぱは、やがて寒風の中で枯れ果てていく。森の季節は、あっというまに秋から厳しい冬へと移ろうのだ。
ある朝バンビが目覚めると、巣の外に真っ白な雪が降り積もっていた。生まれてはじめて見る雪に大はしゃぎするバンビ。木の枝に積もった雪が落ちてきて、雪だるまになる。そこにいつも元気なとんすけがやってきた。湖が凍りつき、その上でスケートが出来るというのだ。上手に氷の上で踊るとんすけを見て、バンビも負けじと氷の上に飛び出していく。しかし体のバランスの悪い彼は、うまく立つことができない。結局とんすけと一緒にくるくると転がり、スカンクのフラワーが冬篭りをする巣の近くで雪の中につっこんでしまった。とんすけはフラワーを起こすが、彼は冬眠の真っ最中。ふわふわの尻尾を枕代わりに再び眠ってしまった。
冬はどんどん深まり、吹雪の毎日だ。木も枯れ、バンビたちは食べるものに事欠くようになった。長い冬を乗り切るため、母鹿は木の皮を剥いでバンビに食べさせる。でも育ち盛りのバンビはひもじい思いを堪えきれない。
辛い冬が終わる頃、雪の中では春を告げる若芽が芽吹いていた。バンビは大喜びで草をむさぼる。そのとき、母鹿は人間の気配を感じ取った。急いでバンビを先に逃がす。春一番の狩猟を行っている人間だった。銃弾が飛ぶ。バンビは、恐怖ではじかれたように走り続ける。
「振り返らずに走って!早く!」
母鹿の叫び声の後を追うように、もう一度ライフルの音がする。
巣に戻ったバンビは、母鹿が追いかけてこないことに気づいた。雪が降る中、彼は必死で母の姿を探し回る。暗くなった森の中を泣きながらさまよっていると、大鹿がバンビの前に現れた。
「母さんはもう戻ってこない。おいで、息子よ」

長かった冬が終わり、春が来た。花が咲き乱れ、鳥達は陽気な春の歌をさえずり、森の動物達はそれを合図に恋の季節を迎える。
ふくろうは、成長したバンビと再会した。角も生え、すっかり青年になったバンビ。春の陽気に誘われて、うさぎのとんすけ、スカンクのフラワーも現れる。3人は、ふくろうから恋の季節のことを教わった。素敵な異性と出会うと、誰しも皆一様にすっかりのぼせあがり、理性が吹っ飛んでしまうのだそうだ。彼らもお年頃だが、まだ恋を知らない。そんな恐ろしいことになるもんかとつっぱねる。だが、その舌の根が乾かぬうちに、フラワーはかわいらしい女の子スカンクにキスされて真っ赤に。お次はとんすけだ。セクシーに歌う女の子うさぎに、一目で骨抜きにされてしまう。バンビには、ひさしぶりに再会したファリーンがいた。彼女にほっぺたにキスされたバンビは、文字通り宙を舞う心持ちに。が、横から現れた別の雄鹿に逢瀬を邪魔される。交尾期を迎えた雄は別の雄に対して獰猛だ。無理やりファリーンを連れて行こうとする雄鹿に、バンビは勝負を挑んだ。背に森の青い光を受けながら、2頭の雄鹿は激しく角をつき合わせ戦った。彼らの戦いがヒートアップするごとに、周りの光も血を思わせる赤色に変わっていく。バンビはついに雄鹿を崖下に突き落とし、はじめての戦いに勝利を収めた。

君に届くようにぼくは歌う
恋人を探していると君に知って欲しいから
あなたに伝えたくて私は歌う
あなたの瞳に恋に焦がれる私が映るよう
春と若い頃に訪れるロマンス
あの日の出会いで実った想い
恋の喜びに震える心
甘いワルツの調べに二つの心が溶け合う
 ―“I Bring You a Song”より

2人は、あわい月の光を浴びながら草原を駆け回る。花びらが舞い、ほたるが輝きながら2人の恋に幻想的な色合いをそえる。森は恋人達を優しくその腕に抱いた。

森の遠くに煙が立ち上っている。大鹿はバンビに教えた。あれは人間達だと。今度は大勢でやってきたのだ。鳥達が空で警告を発する。彼らは動物達を森の奥へと導いていく。それぞれの隠れ家に身を潜める動物達。しかし、恐怖に耐え切れなくなった一羽のきじが不用意に飛び立ってしまい、あっというまに人間に撃ち落される。それを皮切りに狩猟という名の殺戮が始まった。あちこちで銃声が響く。逃げ惑う動物達。バンビを見失ったファリーンは、人間が放った猟犬の群れに追いかけられる。崖に追い詰められ、絶体絶命のファリーン。そこに間一髪でバンビが到着し、角で猟犬を蹴散らす。彼らを岩の下敷きにしたバンビは、川を飛び越えようとして銃弾を足に撃ち込まれてしまった。なすすべもなくその場に倒れ臥す。
人間達がテントを張っている場所で、焚き火の不始末から炎が徐々に周囲に広がっていく。炎は勢いを増しながら森をなめつくしていった。動物達は我先にと安全な川岸に逃げ出していく。バンビが倒れているところにも大鹿が現れた。父の鼓舞に痛みをこらえて立ち上がるバンビ。炎はすぐそこまで迫っている。2頭の行く手をさえぎるように燃え盛る木々が倒れてきた。彼らは一か八か滝下に身を躍らせた。
川岸でバンビの帰りを待つファリーン。彼は無事であった。2人は真っ赤に燃え上がる森を見つめながら、身を寄せ合うのだった。

火事の傷跡も生々しい森。しかし動物達は活気を取り戻し、焼け跡からは花や若芽が再び顔を出している。相変わらず居眠りするふくろうの元に、とんすけに率いられたうさぎ一家と、フラワー親子がやってきた。とっておきのお祝いがあるのだ。うずら一家ももぐらの親子も小鳥達も、皆茂みの中に集まる。ファリーンがかわいらしい双子の赤ちゃんを産んだのだ。
森を見渡す丘の上には、より威厳を増したバンビの誇らしげな姿があった。バンビを1人その場に残して、父大鹿はゆっくりと立ち去っていく。新しい森の王者の誕生であった。

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半世紀も前に生み出されたディズニーの名作「バンビ」が、新たにデジタル・リマスタリングを施されて、より色鮮やかに生まれ変わりました。
私も子供の頃に何度もビデオを見ましたし、それこそ絵本も擦り切れるほど読みましたが、今回子供のために購入したDVDで作品を再見し、以前とは異なる感動を覚えております。

バンビがこの世に生を受けた春から夏、秋、冬へと、季節ごとに色合いを変えていく森の描写は相変わらず素晴らしい。現在の最先端技術で生まれ変わった映像は、きっとウォルト・ディズニー自身が理想としていた通りの、目も覚めるような鮮やかな色のオンパレードです。おまけに、色のない夜のシーンでも、月明かりにけぶるような動物達の体の輝き、彼らが飛び跳ねるごとにぼんやりと照らし出される草や花びらが空に舞っていく様は、完璧な一服の絵画を眺めているような印象です。バンビがファリーンをめぐって雄鹿と争うシーンの、まるでスペインの闘牛を思わせるどす黒い猛々しさと相まって、バンビとファリーンの愛の映像は、劇中でも白眉だと思われます。
冒頭の深い奥行きを感じさせる森の遠景映像から、生き生きとした緑の中で動物達が自由闊達に遊び歌う躍動感あふれるシーンのどれを切り取っても、実際に熱い生命の息吹を目の当たりにするような驚きに満ちています。そんな中で、バンビが口の悪いうさぎのとんすけ (英語ではStomper。足をとんとんたたく様子からつけられた名前)、おっとりしたスカンクのフラワーたちと触れ合うシーンは、実にほほえましくユーモラス。きっとお子様をお持ちの方なら、より実感できるところなのではないでしょうか。それらは、彼らが成長して、それぞれ伴侶を見つけるコミカルなシーンへと流れるようにつながっていきます。
何もかもがのびやかな春のシーンと対照的に、雪に閉ざされる冬のシーンは一転して暗いトーンで統一され、食べ物もない厳しさに縛られているようです。早い春の訪れと共にバンビは母を失ってしまいますが、それも人間の身勝手な狩猟が原因です。実際に母鹿が殺されるシーンはスクリーンには出てきませんが、一発の銃声だけでその悲劇を連想させ、いっそうのやりきれなさを観客に与えますね。この作品では、一貫して人間の姿は描写されません。目線はあくまで動物達のものだからです。しかし非情な銃声が動物達を蹴散らしていく様と、また焚き火の不始末がやがて森に大惨事をもたらしてしまう皮肉で、私達人間が自然と共に住まう動物達にとっていかに恐ろしい脅威であるかを充分に知らしめてくれます。
炎が森を覆い尽くしていく中で、バンビと父鹿が逃げ道を求めて走るクライマックスのシーン。それは決して平和なものではありませんが、映画のもつ根源的な力強さに満ち、半世紀も前にこの映像が作り出されたことに改めて感服の意を新たにしますね。

バンビは様々な試練を経て、ファリーンとの間に愛の結晶を授かります。作品冒頭で自らが生まれたときと、全く同じシーンが繰り返されるわけです。それを見守る森の動物達も、その顔ぶれは1世代を経たもの。こうして動物は、自然のなかで親の世代から子の世代、孫の世代へと繁栄を繰り返していくのですね。バンビも母との触れあい、森の王者たる父との触れあいを通じて、自らが森の頂点に立つ存在へと成長していきました。
この作品は、自然を礼賛すると同時に、その恵みに抱かれて親から子へと受け継がれていくものの尊さを描いた、壮大な親と子の物語でもあったのですね。考えてみれば、私達人間も大自然の子供であり、その恩恵の元に発展を遂げた生き物の一つに過ぎないのです。この作品を観て痛感するに、私達は今一度自然とのあり方に対して謙虚さを思い出す必要があるのではないでしょうか。

故手塚治虫氏はこの作品が封切られた当時、手弁当持参で毎日映画館に赴き、飽くことなく朝から晩まで鑑賞し続けたそうです。そして後年彼のペンから「ジャングル大帝」が生まれるわけですが、その命脈は近年の傑作「ライオン・キング」へと受け継がれていきました。
「バンビ」で完成を見た、美しいオーケストレーションと映像の幸福な合体も、現在に至るまで引き継がれている伝統でしょう。バンビが誕生する春の歌 “Little April Shower”のコーラス、バンビとファリーンの愛の歌“I Bring You a Song”。思わず身をゆだねてしまうほどの陶酔に満ちたメロディーは、今もなお観客の心を捕えて離しません。
せわしない日常に疲れた現代人の心を癒す、壮大な映像詩をぜひ一度体感なさってみてください。

なお、2006年には、この作品の続編的一編「バンビ2/森のプリンス」が製作されましたが、日本では劇場未公開扱いとなっています。映像技術が格段に進化した現代に蘇った「バンビ」ではありましたが、残念ながら、オリジナル作品が潜在的に秘める芸術性の高さを再現するには至りませんでしたね。

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