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zoom RSS ミスター・タンブリンマン、もう1人の「さすらいのカウボーイ」…Bruce Langhorne

<<   作成日時 : 2014/10/02 23:14   >>

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Bob Dylan used to call Bruce Langhorne "Mr. Tambourine Man" and Bruce healed Peter Fonda's film 'The Hired Hand' by his hands.


“最初、ブルースにスコアを依頼するとスタジオに知らせたとき、『ブルース?そりゃ一体誰だ』と言われたよ。ブルースは1人でオーケストラを演奏しちゃうマルチ・ミュージシャンだから、きっと費用も安くつくよって重役連中を説得したんだ(笑)”−ピーター・フォンダ(「さすらいのカウボーイ The Hired Hand」ディレクターズカット版DVD発売記念インタビューより)

・「さすらいのカウボーイ The Hired Hand」当館内記事Part 1, Part 2

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(画像向かって左から2人めの人物がブルース・ラングホーン Bruce Langhorne)


The Hired Hand
Blast First Petite
2005-10-18
Bruce Langhorne

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●収録曲
1. Opening
2. Dead Girl
3. Leaving del Norte
4. Riding Thru the Rain
5. Three Teeth
6. Spring
7. Windmill
8. No Further Need
9. Arch Leaves
10. Harry & Hannah
11. Ending

ピーター・フォンダの監督デビュー作「さすらいのカウボーイ The Hired Hand」に提供された、正真正銘、ブルース・ラングホーン唯一のオリジナル・スコア集がこれです。

映画をご覧になった人は、あの鼓膜の奥にいつまでも余韻を残すような、独特のギターの音色に驚かれただろうと思います。ギターとバンジョーを用いた、カントリーというよりも、むしろ19世紀アパラチアン・ミュージックの系統に属するルーツ・ミュージック。徒に音符の数を連ねず、大切に選ばれた音のひとつひとつがしっとりと辺りに広がっていく印象です。映画の背景と相まって泥臭さも濃厚な音なのに、どこかプログレのような空間的広がりと洗練も感じさせる、摩訶不思議なメロディ。ジャンル分けするのは不可能ですね。強いて表現すれば、今流行のアンビエント・ミュージック、あるいはヒーリング・ミュージックに近い趣きがあります。

画像

「さすらいのカウボーイ」はラングホーンが初めて手がけた映画ですが、前述の国内版DVD用インタビューによると、肝心の映像は一切観ず、映像に流れる“音”だけを聞いて、そのシーンに合いそうなメロディを作っていったそうです。なんというか、いつでもどこでもお日様のようにニコニコしている、常に自然体の人らしい作曲法といえませんか(笑)?今スコアで使用されている楽器は全てラングホーン自身が演奏していますが、どの楽器も突出した主張を持たず、音の陰影の隙間をたおやかに流れつつ緩やかな調和を保っています。それが、ささくれ立った聴き手の心をいつのまにか宥めてくれるのですね。

今作についてはラングホーン自身も、自作のスコアの出来と、音と映像の見事な融和具合にすこぶる満足しているとか。ところが、ただ一箇所だけ、本人の意図と異なる編集をされた部分があるそうです。編集を担当したフランク・マゾーラの意見をフォンダが容認した結果なのですが、尤も、まさかラングホーンがそんなことをいつまでも根に持つとも思えない(笑)。くだんのインタビューでも、“僕は映画音楽は初体験だったからね。全てピーターとフランクに任せっきりだったんだよ” とニコニコ答えていましたし。
とにかくこの映画に関しては、ラングホーンのかもし出す独特のメロディと、ジグモンドのカメラが捉える美しい映像が溶け合い、ある種の酩酊感と中毒性を作品に付与しています。結果オーライということでしょう。フォンダも、新たにディレクターズ・カット版を編集しなおす際に、 1971年バージョンでは未使用のままだったラングホーンの音を最大限追加したそうです。この事実からも、如何に彼が今作の映像と音の融合に心血を注いでいたか、わかろうというものですね。


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ブルース・ラングホーン Bruce Langhorne

オデッタ、ジュディー・コリンズ、ボブ・ディラン、ジョーン・バエズ等、有名なミュージシャンのバックで演奏してきたマルチ・ミュージシャン。ディランのアルバム「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」の録音にも参加し、ディランの名曲“ミスター・タンブリンマン”のモデルにもなったという。
7歳のときに遭遇した事故により、左手の指のうち2本は動かすことが出来なくなってしまった。そのため、彼は所謂“ギターソロ”というものは端から弾かない。音と音の間の隙間が極端に大きく、従って他の楽器との調和を乱さない。ハーモニーの中で1人静かに佇むような、ある意味達観したメロディは、それ故余計に美しいフォルムを際立たせることにもなる。指が動かないという、ミュージシャンにとっては致命傷になりかねない悲劇をあっさり乗り越え、己に出来る範囲内で音を紡いでいくことを、最大の個性にしてしまったのだ。

…なるほど、だからラングホーンの音は耳と心に優しく響くのか。さすらいの果てに帰郷し、命を落とした哀れなハリーの魂をも、この音はきっと慰撫してくれるのでしょう。

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