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zoom RSS 飛ぶ夢をもう見ない−「バーディ Birdy」(Dir. Alan Parker) Part2

<<   作成日時 : 2017/02/08 14:13   >>

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野良犬を捕まえたら、1匹1ドルで買い上げるとあのデブは言ってた。ジョーが世のため人のためになることをやるなんて、俺は最初から怪しいと思ってたよ。とにかく俺とお前は、網を持って野良犬を追い回すことになった。野良犬の集団が全速力で逃げ回るもんだから、俺たちは網を片手に車で追っかけた。俺たちの大活躍で犬どもは一網打尽。ところが、自分ちの飼い犬を返せって、すげー剣幕で走ってきた奴がいたんだ。ジョーはそいつの車に体当たり。そいつも俺たちのことを犬泥棒呼ばわりする。どうなってんだ。ジョーの言う目的地は、なんてこった、精肉工場だよ!電気で犬をショック死させてるんだそうだ。馬の死骸に蠅がたかってるのを見たお前は、ジョーに殴りかかった。その隙に俺は犬たちを逃がしたんだ。冗談じゃない、俺たちも一目散で逃げたよな。

しかし、あらぬ方向を見ていたバーディは無反応。あきらめてアルがきびすを返した瞬間、バーディは背後に猫の気配を感じ取った。猫は鳥の天敵だ。バーディは逃れようと暴れ始める。

やはり人が飛ぶのは無理なのか。鳥の暮らしは楽じゃないだろうが、いざとなれば飛んで逃げられる。そう、猫が足音を忍ばせて近づいてきても…。茶色のトラ縞猫がいつのまにかバーディの部屋に入り込み、パータを口にくわえていた。パータは一瞬後に息を吹き返し、元気に飛び始めた。よかった。本当によかった。

バーディはパータが飛び回る幻覚を追い続けている。時間がない。アルは、ぶん殴ってでもバーディをしゃべらせる覚悟だった。俺の話を聞け!一生この壁の中で暮らしたいのか!そうなりゃ、俺も道連れにされて鳥かご生活だ。サカナ人間の二の舞だぞ!焦りからアルはバーディに手荒くあたる。彼を小鳥呼ばわりし、声を限りに侮辱する。バーディに感情を、怒りの感情を思い出させたかったのだ。しかしハンナが邪魔した。ハンナに泣きつくバーディ。アルは涙ながらに訴えた。
「彼は俺の一部なんだぞ!」
病室を出たアルに、ハンナが近づいた。バーディへのアルの気持ちを理解する彼女は、アルもまた、戦争の傷跡に苦しんでいる男であることを思い出したのだ。女性の肌のぬくもりに久しく触れていなかったアルは、思わずハンナの胸に手を這わせる。彼は瞬時に我に返る。

病室のバーディは月夜に輝くベッドヘッドを止まり木にして、じっとうずくまっている。思い出すのはパータのことだ。夢の中で彼は真の姿になる。眠りが彼に力を与え、飛ぶ力を与えるのだ。彼はパータの上から舞い降り、彼女と一体化する。彼女の目で見て、彼女の羽に乗って飛ぶ。その一時、彼は孤独を忘れるのだ。

パータの生んだ卵が孵った。ひなが生まれたのである。自然の営みにあらためて感慨を新たにするバーディ。彼らをずっと見ていたい。ただ、彼らだけを。パータがひなに餌を与える様子を、彼は睡眠も忘れて見つめていた。やがて彼の手からえさを食べ始めたひなたち。ひなは、教えられずとも飛ぶことを知っている。本能が彼らに教えるのだ。ドリスから電話があった。プロムに誘ってくれという。気が進まないバーディは、それでも母の剣幕におされて、ドリスとプロムに出席した。

お前なあ、しょんべん我慢してる坊主じゃないんだぞ。もっとしゃんと女の子をリードしろ。ダンスホールで突っ立ってないで、リズムに乗って。お前はホールの床を掃除していた親父さんを見つけて、ドリスをほったらかして出て行った。ガールフレンドのデート代くれるなんて、ほんとにお前の親父さんはいい人だよな。
うわっ、すごいデカパイ。ドリスってすごかったんだな。ほら、お前も男なら甲斐性を見せろや。女の子に「好きにして」なんて言われるチャンスは滅多にないんだぞ。かわいそうに、お前がちゃんとリードしないからドリス行っちまったじゃないか。


帰宅したバーディは衣服を脱ぎ捨て、鳥達の中で眠りについた。パータは彼の背中に飛び乗る。まるで、彼をいざなうように。パータの羽音が始まり、幻想の中で大勢のパータたちが部屋の中で飛び立つ。彼にとって、もはや夢と現実の境界線は定かではない。アルに打ち明けたいが、その勇気がない。たくさんの鳥たちが飛び交う夢の中では、彼の心を悩ますものはなにもない。この世との絆すら。このまま死んで鳥に生まれ変われたら、どんなにかいいだろう。彼は鳥の目線で部屋を見回す。天井まで飛び上がり、窓から外へ飛び立つ。そして空からまっすぐ滑降するのだ。犬小屋を冷やかし、物置小屋の間を飛びぬけ、街の通りへ出る。そのまま、廃棄された車が並ぶ広場をつっきり、高く、高く、高く飛び上がる。どこまでも…雲に向かって…。

アルはバーディに食事を持ってきた。癇癪をぶつけたことを謝る彼。バーディは心を閉ざしたまま、食べ物に見向きもしない。その語らぬ背中にアルは言葉をかけた。
「正気に戻ってくれ、バーディ」

ベトナムでは、毎日雨がたたきつける。負傷した仲間を助けるため、アルは駆け寄ってくる救護班に声をからして叫んだ。早くしてくれ!しかし救護班は、仕掛けられていた地雷を踏んでしまい、木っ端微塵になった。そしてアルの顔も…。戦場の恐ろしい記憶から逃れられないアルは、泣きながらバーディの病室にやってきた。なあバーディ、俺もイカれそうだ…。その後、アルはヘリコプターに乗せられて戦場を後にした。アルはそのまま病室の前で眠り込んでしまった。
いつのまにか夜が明け、ルナルディがサンタクロースの歌を歌いながら古ぼけたかばんを持ってきた。バーディの母親からだという。やった!ボールだ!バーディ、もう大丈夫だ。フィラデルフィアから只今到着!信じられんがボールだよ!頼む、見てくれ、これが最後のチャンスなんだ!なにか反応してくれ!
しかし、床に散らばる泥まみれのボールを見ても、バーディは依然として無反応だ。アルは堪忍袋の緒が切れた。戦うのは怖かったが、今はもっと怖い。お前が必要なのに、お前は声一つ出してくれない。バーディ、なにか話をしてくれ…。

プロムの翌日、俺は眠い目をこすってお前んちに行ったんだ。何だよ、お前、裸で鳥小屋に寝てやがったのか!なあ、ドリスを抱いてそのまんまかよ!クソっ、うまくやりやがったんだな、話せよ。…なんだと、本当に飛んだ?鳥になった?バーディ、もういい加減にしろ。分かりたくもないよ、そんなこと。俺にも会わず、ひとりで飛ぶことばかり空想してる。そんなくだらん夢は忘れろ!
そして、俺はそのまま出て行った…。バーディ、ごめんな。悪いことを言った。俺はお前を傷つけたんだよな。


頭を抱えるアル。病室にワイス医師が入ってきた。もう少し時間をくれというアルの願いを却下し、医師は病院に戻るよう言い渡す。バーディはこのごろ食事もとらなくなった。容態はひどくなる一方だ。彼には点滴が必要だった。アルは、別れをしたいのでしばらく2人きりにして欲しいと医師に頼んだ。

俺はお前より一足先にベトナムに向かった。お前にさよならも言わなかったな。お前は、ただ黙って窓から俺を見ていた。でもパータが…お前のパータが外に出て行った。そのまま空を飛び回り、満足したのか、窓を閉めたままだったお前の部屋に帰ろうとした。パータは窓を突き破り、小さな、ちっぽけなカナリアは、死んだ。

バーディも召集され、戦場の只中に放り込まれた。負傷して泣き喚く仲間とともにヘリコプターに乗っていたが、それが墜落。奇跡的に命をとりとめた彼は、熱帯の珍しい鳥たちに目を見張る。鳥たちがふいにざわめき、飛び立った。上空から爆弾が落とされ、バーディのすぐ近くで爆発する。あたりには死体の山ができ、ジャングルの燃える焼け焦げた匂いが満ちる。恐怖から逃れるため、彼はその瞬間“鳥”になった。その場から飛び立ち、上空へ上空へとひたすら舞い上がる。必死に、後ろも振り返らず。

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そして、彼は今ここにいる。捕えられ、籠に入れられたのだ。泣きじゃくるバーディにアルは言い聞かせる。大丈夫だ、バーディ。俺も一緒にいるよ。
ハンナが病室の様子を伺いにきた。アルは無言でバーディを抱きしめている。ワイス医師が待っているという彼女の言葉に、彼は意外な答えを返した。
「行かない。病院には戻らない。もうなにも話したくない。何を話したって、誰も俺の話なんか聞いてくれない。俺はここに残ると医者に伝えろ」
ここにいてやるよ。外の世界ではとても生きていけない。俺たちの負けだ。お前も俺もイカれたんだ。生きていく術を失った。俺は俺なりに自分の道を生きてく自信があった。それがどうだ。あの野良犬と同じだ。砲弾が爆発したとき、肉の焼ける匂いがしたんだ。甘くて懐かしい匂いだった。俺の肉が焼けてたっていうのに。なあ、俺の顔はどうなったんだ。他人の同情を呼ぶ顔なんか欲しくないよ。アルの顔が欲しい。くそったれ!こんな世の中消えちまえ!俺はここを出て行かないぞ。結局お前が正しかったんだ。ここに隠れて時々イカれたふりをして見せよう。お前と俺で。
「…アル、お前はイカれてるよ」
バーディがしゃべった。信じられない。でもどうして急にしゃべったんだ。
「自然に言葉が出た。俺が必要なんだろ?」
「ああ、そうとも。危うくイカれるとこだった!」
ワイス医師がやってきた。しかしバーディは再び貝のように口を閉ざす。アルを連れ出そうとする医師を壁にたたきつけ、アルはバーディをかき口説く。さっきはしゃべったのに、なんのまねだ。口をきいてくれ!
「だって奴に言うことがない」
「このバカ!逃げよう、一緒に」
そこに、屈強な看護人たちが飛び込んできた。アルは彼らをのし、足の立たないバーディを抱いて脱走を図る。追い詰められて病院の屋上に上った彼ら。バーディは、なんと屋上から飛び立とうとした。アルの叫びもむなしく、バーディは飛び降りる。アルは絶望して屋上から下を見下ろした。

すると、そのすぐ下の段できょとんとした顔のバーディが彼を見つめ返していた。
「何だよ」
開いた口がふさがらないのは、アルの方だった。

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思えば、アラン・パーカー監督自身、最も脂ののっていた時期でしたね。

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彼はコピーライターとしてそのキャリアを出発させました。スタイリッシュなCMを多数撮影して注目された後、友人のデイヴィッド・パットナムが製作した映画「小さな恋のメロディ」の脚本を書いて映画界にデビューします。子役時代のジョディ・フォスターが出演したことでも有名な「ダウンタウン物語」で監督として一本立ちし、すべてのキャストを子供で構成するという奇抜なアイデアで一躍第一線に躍り出ました。その後1976年、オリバー・ストーンの脚本による傑作「ミッドナイト・エクスプレス」でいきなりアカデミー賞にノミネーションを受け、世界各国の映画賞を総なめにしました。1980年にはテーマ曲も大ヒットした青春群像劇「フェーム」を製作、1982年にはピンク・フロイドのアルバムを映像化した「ピンク・フロイド/ザ・ウォール」で飽くなき映像探求を押し進めました。「バーディ」は、パーカー監督のその次の作品として、ベストセラーとなったウィリアム・ワートンの原作小説を映画化したものです。上昇気運にのる者のみが放つ、一種の瑞々しいパワーが満ちたこの作品は、ベトナム戦争に青春時代を引き裂かれた若者の悲劇を、同じく戦争に無垢な幼年時代を奪われる前のアメリカへ、淡い憧憬をこめて描きました。1985年度カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールにノミネートされましたが、惜しくも受賞を逃し、審査員特別賞を得ました。

アルは、アメリカの片田舎に住む、どこにでもいるお調子者の若者でした。典型的なイタリア系で、癇癪もちの親父には頭が上がらず、女の子には手が早く、毎日いかにおもしろおかしく過ごすかしか頭にない。将来になんの憂いも持ってはいませんでした。アメリカがまだベトナム戦争を知らなかった、60年代の能天気さを体現したような男だったのですね。彼にとってはバーディも、いい奴ではあるけど地に足の着いてない少々風変わりな親友でしかありません。ベトナム戦争がなければ、バーディとの友情も高校卒業と共に自然消滅し、そのまま青春時代の良き思い出となったことでしょう。

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しかし戦争が全てを変えてしまいます。ベトナムは、アルのような若者の命を次々と飲み込み、命からがら祖国に戻った者の心と身体にも、耐え難い苦しみを刻印していきました。余談ですが、戦争も近代化すればするほど、戦場で戦う人間が精神を病む確立が高くなっていくそうです。兵士の“戦争による心的外傷”が医学界で認知されるきっかけとなったのは、このベトナム戦争でありました。
戦場で心も身体も傷ついて帰還したアルは、高校卒業のプロムパーティの夜以来喧嘩別れしていた親友バーディと、久方ぶりに再会します。ただし、精神病棟の鉄格子越しに。
彼の担当医から、最後の手段としてバーディと引き合わされたアルは、自身も戦争で受けた傷に苦しみながらも、彼を正気に戻すために2人の過去の思い出を語り始めます。映画は、アルの回想によって蘇る無垢なアメリカの田舎の風景を、淡いセピア色のタッチで描いていきます。アルとバーディの2人が体験する、なんということもない青春時代の思い出の一ページ。鳥になりたいと常に夢想するバーディに振り回されながらも、アルはバーディの途方もない夢に最後まで付き合ってやります。いつしか、アルにとってもバーディはかけがえのない存在になっていたわけですね。

突然現実に引き戻されると、そこはおよそ色のない冷ややかな監獄。バーディははじめアルを見ても、それが誰だか認識できません。彼は戦場の恐怖から逃れるため、一時的に自我を眠らせて精神を鳥と同化させていたのです。鳥になっているのですから、その行動は鳥と全く同じ。窓から差し込む日の光、あるいは青白い月明かりが、バーディにとっての自由の全てです。飛べない鳥である彼は、いつも“羽”を折りたたみ、止まり木にうずくまっています。しかしアルの声が遠い記憶を揺り起こし、無意識のうちに彼しか知らない過去の記憶をも呼び覚ましていくのですね。アルが正気を失っているバーディに向かって必死に語りかけ、むなしく肩を落として病室を後にするシーンと、高校時代の彼らの躍動感あふれるシーンとの落差があまりに大きく、私達はただ愕然とするばかりです。戦争が残した傷の根深さを思いやらずにはいられませんね。

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バーディが、全くの空白だった意識を抜け出し、自分自身の記憶の世界をさまよい始めた一方で、“若者を死地に追いやる側”つまり権力の象徴たるワイス医師は、バーディのこともその他大勢の傷病兵と同じように、機械的に処理しようとします。“不良品”として、社会からはじき出すわけですね。ワイス医師がアメリカの絶対権力ならば、バーディやアルは社会を構成するちっぽけな歯車にすぎないでしょう。そんな歯車が一つや二つなくなったところで、アメリカという巨大国家にはなんの影響もありません。そのことに気づいたアルは、バーディと同様自分も、戦争によってアメリカ社会から追われる皮肉に歯噛みするのです。祖国のためという大義名分のもとで地獄を味わったというのに、与えられた褒賞は祖国からの裏切り。アルにとって、バーディを正気に戻すという行為は、自分たちを裏切ったアメリカ社会へのささやかな報復を意味するものだったのでしょう。しかしそれも失敗に終わろうとしている。アルは次第に自分とバーディが一体化していく感覚に襲われます。今まで自分はバーディの保護者たる立場だった。現実との接点を失い、鳥と同化しようとしていたバーディを、友人として身を挺して守ってきた。しかし本当は、彼はバーディという存在を通して、自分自身の存在意義を見出していたに過ぎないのです。ラスト近く、慟哭するアルの本心は、そのことを如実に伝えてくれます。つまり、タフそうに見えるアルとて、バーディというかけがえのない友情なくしては、この世で生きていくこともできないのですね。それは、バーディがアルの支えなしでは現実社会で生きていけないのと全く同様なのです。

俺たちは2人とも負けたんだ…。アルは、ついにアメリカ国家そのものに降伏し、そこでやっとバーディの本心を理解しました。彼の本心―冷たい社会に対して心を閉ざし、大好きな鳥のことだけを思って暮らしたいという夢。今やアルにとって、それは唾棄すべき考えでもなんでもなくなり、そうしなければ生きていけない人間がいる現実の切実さに、身を切られるようになります。言ってみれば、彼はやっと親友という人間を真に受け入れられたわけです。その誠意はもちろんバーディの耳と心にも届いており、最終的に鳥の世界から彼を覚醒させることにもなります。

幸せだった頃と同じように憎まれ口をたたく親友の姿は、アルには未来への大いなる希望です。この映画のお話の後、2人は一体どうなるのでしょうか。ラストシーンの、人を食ったようなあっけらかんとした笑いがすべてを物語っているでしょう。アルによって自我を取り戻し、また、自身アルの支えとなったバーディは、きっと親友と手を携えて待ち受ける困難と戦っていけると信じます。それは彼ら2人にとっての、ささやかな戦争への勝利宣言なのですから。

パーカー監督は、光と影の対比を絶妙に映像に組み込む作家です。アルの回想シーンでは、明るい昼間の映像を多用し視点もアルを中心に据え、方やバーディを主体にする際には、彼がすべてのわずらわしさから解放されるときである夜のシーンを中心にしていますね。

この作品でも、月明かりにぼおっと浮かび上がるバーディの裸体が、幻想的な雰囲気すら醸し出していました。ある種非現実的な空間である精神病棟をさらに幻惑的に演出することで、観客は2人が体験した戦争のむごたらしさからいっとき解放されます。そう、この作品は、底に反戦メッセージを秘めているとはいえ、主題は2人の若者のドラマなのです。不条理なベトナム戦争の皮肉を通じて、心身ともに傷ついた彼らがどのような魂の変遷を経たのか。言い換えれば、若者の過酷な成長物語であるのですね。

パーカー監督はまた、このような若者の成長ドラマに、とりわけ冴えた手腕を発揮する人でもありました。若き日のマシュー・モディーン(当時25歳)とニコラス・ケイジ(当時20歳)の自然にこぼれる笑顔をスクリーンいっぱいに取り込めたのは、彼をおいて他にはいなかったでしょう。また2人の主役にとっても、その演技はキャリア最高の出来であったと言えるのです。

サウンドトラックを提供したのは、もはや“元ジェネシスのメンバー”という肩書きすら不要な英国のアーティスト、ピーター・ガブリエルです。彼が、既存の自作曲からボーカルを抜いてインストゥルメンタルに仕上げ、パーカーの瑞々しい映像をより引き立てるサウンドを作り上げました。特に印象的なのは、バーディが鳥となって空を舞う空撮シーン。風を切る音が耳元で聞こえるような錯覚に落ちるほどの、スピーディーな空撮とガブリエルのダイナミックな音が一体化し、作品に独特の開放感を与えています。

ともすれば感傷的になりがちなテーマを、ある程度冷静に昇華できたのは、やはり監督をはじめスタッフのほとんどがアメリカ人でがなかったことが幸いしたのでしょう。

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