Don’t steal my posts. All posts on this blog are written by me.

House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS “鋼鉄の男”の作り方―「アイアンマン Iron Man」

<<   作成日時 : 2018/04/29 20:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

「アイアンマン Iron Man」は、フランス語バージョンで観ても、やっぱり面白かったよ…。

「アイアンマン Iron Man」(2008年製作)
監督:ジョン・ファヴロー Jon Favreau
製作:アヴィ・アラッド&ケヴィン・フェイグ
キャラクター創造:スタン・リー他。
脚本:マーク・ファーガス他。
撮影:マシュー・リバティーク
視覚効果監修:ジョン・ネルソン
プロダクションデザイン:J・マイケル・リーヴァ
編集:ダン・レーベンタール
音楽:ラミン・ジャヴァディ
音楽監修:デイヴ・ジョーダン
出演:ロバート・ダウニー・Jr Robert Downey Jr(トニー・スターク)
ジェフ・ブリッジス(オバディア・ステイン)
テレンス・ハワード(ローディ)
グウィネス・パルトロー(ペッパー・ポッツ)
ショーン・トーブ(インセン)
レスリー・ビブ(クリスティン)
サミュエル・L・ジャクソン(ニック・フューリー)
ジャーヴィス(ポール・ベタニー)他。

トニー・スタークは、米国軍に最新兵器を供給する巨大軍事企業スターク・インダストリーズの社長であり、天才的発明家でもある。アメリカの正義を疑うことのなかったトニーは、自身の驚異的な頭脳を新兵器開発に注ぎ、父親から受け継いだスターク・インダストリーズを世界的な大企業に育て上げたのだった。その一方で、私生活でのトニーは無類の女好き、ハチャメチャな放蕩者という面も持ち、長年の友人であるローディに度々苦言を呈されるほどだった。
彼はある日、新型ミサイル“ジェリコ”のデモンストレーションを行うためにアフガニスタン入りする。しかしその直後、テロリスト集団“テン・リングス”に襲撃され、皮肉にも自社製品であるジェリコの爆風によって重傷を負ったまま拉致されてしまう。テン・リングスはトニーに、助かりたければ1週間でジェリコ以上に強力なミサイルの開発を行うよう命ずる。同じく囚われの身であった科学者インセンに命を救われたトニーは、彼と共にテン・リングスの監視の目を掻い潜って、スクラップの山を改良していく。ありあわせの材料から飛行可能なパワードスーツを開発したのだ。鉄の鎧で武装したトニーは、インセンの尊い犠牲のおかげで辛くも敵陣を脱出し生還を果たす。

この一連の事件によって、自社兵器がテロ集団に横流しされ、その活動に悪用されている現実を目の当たりにしたトニーは、スターク・インダストリーズの武器製造中止を宣言する。会社からはCEO解任請求をされて孤立するものの、彼の意志は固かった。1人密かにテロと自社兵器の撲滅を誓い、パワードスーツ改良に着手する。忠実な秘書ペッパーの支えだけを頼りに、試行錯誤の末、ついに驚異の攻防力と飛行能力を備えたパワードスーツを完成させる。だが、その技術を狙って、意外な人物がトニーの背後に迫っていた…。


画像

この作品の面白さって、きっと、アイアンマン完成にいたる過程の描写に尽きると思うのですよ。試作品1号機ができるエピソードは、状況の異様さもあって文字通り“必死の手作り”感覚。生還後、トニーがその科学力を駆使して人工知能と共にパワードスーツの改良に苦心する様は、ロボットに憧れたことのある人ならば惹きこまれること請け合いでしょう。毎年行われるロボットコンテストで、学生たちがロボット製作に試行錯誤する様子をテレビで観たことがありますが、あの雰囲気に近いでしょうかね。トニーと、彼の作業を助けるコンピューター、ジャーヴィス(声はポール・ベタニーですよ!)の掛け合い漫才のような会話の楽しさ、トニーに“不器用君”と茶化されながらも、彼のピンチの際には重要な役割を果たすロボットアームのキュートさなど(笑)、今作は細部に魅力がある映画です。また、映画の骨子であるパワードスーツ製造過程を丁寧に見せることで、クライマックスのアクションに納得とカタルシスをもたらす作用も然り、ですよね。昔懐かしいロボットアニメの世代なら、ラストのパワードスーツ同士の肉弾戦には心躍ったことでしょう。個人的には、展開が速すぎて何がなんだかわからなかった「トランスフォーマー」より、こちらのアクションの方が断然好みです。

ロボットだけではなく、もちろん生身の役者陣の魅力も地味ながら光ります。主演のロバート・ダウニー・Jrは、ドラッグ禍で何度も己のキャリアを危機に晒した人物ですが、そんなダメ男だからこそ(現在は完全更生)、トニーという荒唐無稽なキャラクターに味わいとリアリティが生まれたのだと思いますね。底辺を見た人間にのみかもし出せる、演技力に拠らない部分の渋みと余裕。無責任な放蕩者であったトニーが、試練を経験してこれまでの自身の生き方を反省し、周囲から孤立してでも真の正義を貫こうと奮闘する姿は、なんとなくダウニー・Jrその人の生き様を思い起こさせます。浮薄にも見える表の顔に、デリケートで真摯な表情が時折よぎっていくのも魅力的ですね。

今作の成功のひとつは、彼の起用にあったといっても過言ではありません。すっかり爺さん面になったジェフ・ブリッジスの悪役は、その海坊主的ルックスも相まって安全パイだとして、個人的に意外だったのがグウィネス・パルトローの魅力。いつもお姫様役をやりたがる彼女が、一見壁の花的存在の脇役に徹することで、本来の持ち味である可愛らしさ(トウは立ってるけどね)を嫌味なく漂わせているのです。主役に拘らず脇に廻って、おいしいとこ取りに成功したという事例でしょうね。

画像

日本での劇場公開時期が近かったためか、今作を評する際によく引き合いに出されたのが、同じくアメコミ原作映画「ダークナイト」でした。リアリズム、シリアス、へヴィネス、ダークネス…と、現代のフィルム・ノワールの体裁で完全武装した「ダークナイト」に対し、今作は、アメコミ本来の能天気さも程よく按配したバランスの良い内容だったと思います。

大体ね、軍事産業の頂点に立つ男が、正義を実行するために自社製品を駆逐することを誓うだなんて、考えてみれば自己矛盾もいいところの話なんですよ。しかも、テロ集団に武器の横流しをしていたのは、テロ壊滅のために戦っているはずのアメリカの軍事産業だったという、映画「ロード・オブ・ウォー」ばりのシニカルな筋立て。この辺りは、現実世界における情勢をちらりと風刺する意図も見られます。しかし今作の展開の上手い部分は、そんなシリアスな側面を必要以上に深刻に描かなかったことでしょう。映画全体の体裁は、あくまでも娯楽映画であることから逸脱しないのですね。トニー・スターク/アイアンマンが矛盾に満ちた存在であることは、劇中でさりげなく示されていますし、本人もそれを理解しています。にもかかわらず、私たちがついつい彼に共感を覚えてしまうのは、彼があくまでも“一個人として”最善を尽くそうとしているから。そして、その矛盾に満ちた己の姿を公に晒すことを怖れていないから。つまりトニーという男は、それだけ自分の行動に自信を持った、自立した人間であるといえるでしょうね。おそらくそんな背景が、今作を良質の娯楽映画として成り立たせているのだと思いますよ。

さて、この作品を表現するのに最適のエピソードをひとつ。

映画が終わり、明るくなった館内からお客さんが出ていくとき、こんな会話を耳にしました。60代ぐらいでしょうか、二人連れのおばあちゃんの会話です。一人が「ねえ、面白かったね!」と言うと、もう一方の相方がこう答えたんです。「うん、面白かったよ!がはは!」って。今作へのこれに勝る褒め言葉は、おそらくないでしょうね。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
“鋼鉄の男”の作り方―「アイアンマン Iron Man」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる